さまざまな技術やサービスは、退職者が、働くことを容易にし、健康を保ち、家庭で暮らし、友人や家族や社会との接触を維持する。 2015年11月29日
By Joseph F. Coughlin、WSJ
定年退職を迎える世代の人達に対する、とっておきの質問は、「これから先、どのように、長生きしますか?」という単純なものだろう。
多くの人達は、定年退職したあと、長い生きして、より多くの自由な時間を、どのように過ごすかも、大きな課題になるだろう。
(続き)
6)健康を監視するマシン。
定年退職の皮肉の1つは、「自分の状況を管理するための能力が減少すると、人々は、やむを得ず、いくつかの慢性的な条件に対処していることに気づく。」ことである。
さらに悪いことに、多くの高齢の退職達は、さまざまなことについて、知らない状況で、生活している。
人々は、さらに齢を取ると、精神的、および、肉体的な衰退に対処しがちになり、危機的な状況において、医療助手を頼りにするようになる。
「モノのインターネット(IoT)」は、健康に対するケアが必要な、退職者や家族の生活を助けるために有望な技術である。
スマート・デバイスは、高齢の退職者が、アポイントメントを思い出すよう、予定を追跡管理し、通知するようになるだろう。
スマート・コーヒ・メーカは、スマート歯ブラシと、無線ネットワークで、通信できるようになり、高齢者が、通常、目が覚める時間を学習するようになるだろう。
遅く寝たり、早く起きたりすると、スマート・デバイスは、高齢者が、通常のルーチンから外れたことを、医師に警告するようになる。
高齢者の顔をスキャンしたりして、心臓発作かストロークの心血管疾患とリスクの兆候を検出する、医療デバイスとして機能する、スマート・デバイスも出現するだろう。
スマート・デバイスは、高齢者が、記録して、報告する必要がある、物理的なデータ(脈拍、心拍数、体温、血圧など)を測定し、監視するようになるだろう。
スマート・トイレは、高齢者の体重や血糖値などのデータを収集し、測定結果を、病院のコール・センターに報告するようになる。
衣料も、スマートなウェアラブル・デバイスになり、下着に取り付けられた、スマートな素材やセンサーで、心拍数や体温といった、高齢者の健康に関するデータを検出できるようになる。
これらの衣料は、高齢者が、ころんだときの影響も緩和できるだろう。
スマート・カーペットは、センサーで、高齢者が足を引きずって歩くといった、変な動きを検出し、家族や医師に警告するようになるだろう。
スマート・ロボットは、看護師や介護士の役割を果たし、高齢者の健康状態に関したデータをレビューしたり、医師に報告したり、高齢者のおしゃべりの相手をしたりして、高齢者をケアする負担から、ある程度、家族を解放するだろう。
しかし、これらの医療用や介護用のスマート・デバイスは、新たな疑問をもたらすだろう。
1つには、コストの問題がある。
モノのインターネットのサービスは、便利になり、高齢者のケアに重要になるが、かなり大きなコストを必要とするだろう。
まだ、米国でも、富と貧富の格差は広がっており、殆どの米国の高齢者は、退職後に十分な資金を蓄えておらず、老後に、どれぐらいの資金が必要になるか、想像することもできないだろう。
これには、国や州政府などの機関が、米国の高齢者に、どのように対応すべきかどうかを、再考する方法を提示し、支援を提供していくことが必要になるだろう。
高齢者が一人で暮らすことができれば、多くのシニア住宅が必要になるのだろうか?
高齢者は、スマート・トイレ、スマート歯ブラシ、あるいは、スマート・トースターから得られる、健康に関するデータで、どのように、自分達の健康を管理をすればよいのだろう?
殆どの医師や看護師は、高齢者の家を訪問中に、健康状態について話し合う時間が、あまりないので、スマート・デバイスで得られた、高齢者の健康状態に関するデータを、病院で収集して、分析し、家にいる高齢者と、スマートフォンなどのビデオ電話を通して、話し合うことができるようになる。
ビッグデータのプライバシーの問題は、高齢者には制限されていないが、高齢者は、社会の、最も脆弱なメンバーになるだろう。
結局、技術だけでは、高齢者の問題を解決できないことを認識することは、極めて重要である。
スマート・アプライアンスが、人間に取って代わるわけではなく、高齢者の苦痛や欲求不満を取り除くことができるようになるわけでもない。
スマート・アプライアンスは、高齢者が望んでいることに対するビジョンがなければ、利益を提供することはできないだろう。
生活する方法における、コンテキストや期待は、さまざまであり、多くの高齢者にとって、人生の次のステージで、何をすべきであるかを認識することは、極めて厳しいことである。
これまでの高齢者の世代と異なり、ベビーブームに生まれた人達、および、それ以降に生まれた人達にとって、定年退職後の状況を想像することは、極めて難しいことであるが、退職後、どのように暮らしていくかを、計画的に考える必要があるだろう。