頬がりんごのように赤くなることから「りんご病(伝染性紅斑)」と呼ばれる病気があります。
ヒトパルボウイルスB19がもたらすこの病気は、乳幼児に多く見られる疾患です。14日~20日ほどの潜伏期の後、頬が赤くなり、手や足にも編み目状の発疹が現れる特徴があります。
一般的に重篤な症状を見せることはなく、中には罹患していることにも気づかず治癒することも珍しくありません。
とはいえ、注意を払わなくてよい病気ではありません。妊婦さんが感染した場合、胎盤を通してウイルスが胎児に感染し流産や死産に至るケースが知られています。また、このウイルスに対するワクチンはなく、母子感染(お母さんからおなかの赤ちゃんに感染すること)を確実に防ぐ方法も発見されていません。
国立感染症研究所の発表によると、定点観測している小児科約3000箇所から受けた報告では、10月16日~22日までの報告は前週比32パーセント増しの0.78人。過去10年間の同じ時期の中でもっとも多い状態。ちなみに、警報の基準となる2.0人を越えたのは、大分、熊本、秋田の3県です。
これを受けて、伝染性紅斑の蔓延を予防するため、警報を発令したり、注意喚起を促す自治体も増加しています。北海道の千歳保健所は、11月18日に警報を発令。また広島県も19日に西部保健所管内で警報基準値を超過したことから、県内全域に注意を呼びかけています。
首都圏においても同様で、埼玉県の坂戸保健所管内、狭山保健所管内では、小児科の医療機関からの報告が増えているとして警戒を強めています。
伝染性紅斑の原因となるヒトパルボウイルスB19は、感染力が強いため、ふだんからお子さんに予防を心がけることが重要です。
・風邪の症状がある人と可能な限り接触させない。保育士などの小児と接触する機会が多い職業に就いている人は十分留意する
・手洗い、うがいなどをこまめに行せる。また、外出時はマスクを着用させる。
・乳幼児と食器を共用するのをさけ、口移しで食事を与えたり、キスをしたりしない。
こういった予防を心がけた上で、万が一、お子さんに発疹などの症状を見つけたら、速やかに小児科専門医の診察を受けさせることがきわめて重要です。
※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2009/03/16-015374.php