AlphabetのGoogleは、Chromeオペレーティング・システムを、Androidオペレーティング・システムへ統合し、モバイル・コンピューティングの優位を増す計画のようだ。2015年10月29日
Androidは、世界の最も広く使用されている、オペレーティング・システム(OS)であり、10億台以上のスマートフォンに搭載されている。
GoogleのCEO、Sundar Pichai氏は、2013年に、Chrome OSと共に、Android OSの責任者にもなっていた。 2015年10月29日
By Alistair Barr、WSJ
AlphabetのGoogleは、モバイル・コンピューティングの優位を増すために、同社のPC用のChrome OSを、モバイル用のAndroid OSに統合する計画をしているようだ。
Googleの技術者たちは、ChromeとAndroidの両オペレーティング・システム(OS)を結合するために、約2年間、取り組んできたという。
AlphabetのGoogleは、2017年に、新しい、Chrome OSとAndroid OSを結合した、単一オペレーティング・システムを発表する計画であり、2016年に、β版を提供するようだ。
Chrome OSは、従来のPC環境で動作すると共に、Chromebooksと呼ばれる、ラップトップ用のOSとして採用されている。
ただし、IDCによると、Chrome OSを搭載した、Chromebooksは、2014年において、世界のPCの出荷台数の3%未満だという。
GoogleのAndroid OSの新版は、PCでも動作し、PCユーザが、100万種類以上のアプリを提供する、GoogleのPlayストアへアクセスできるようにするようだ。
Googleは、検索エンジンやYouTubeといった、広告の収入を増やしている、ソフトウェアやサービスを、できるだけ多くのデバイスで利用できるようにしたいと思っている。
また、Googleは、独立系ソフトウェア・ベンダのAndroidアプリを、殆ど修正することなく、できるだけ多くのデバイスで動作し、利用できるようにしたいとも考えている。
Chromebooksは、教育分野などで使用されるようになってきたが、まだ、市場を確立していない。
Gartnerによると、世界のChromebookの出荷台数は、2014年から27%増加し、2015年には、730万台になる見込みであるという。
Googleは、Chromeという名前を、PCとモバイル・デバイスの両方で動作する、Webブラウザの名前として残し、Chrome OSを、Android OSに統合する計画のようだ。
Googleは、Chrome OSを、他のベンダが、Chromebookのような、ラップトップを作成できるよう、オープンソースのオペレーティング・システムとしても残すようだ。
Googleの技術者は、Chrome OSの保守を続けるが、Android OSを、ラップトップで動作するよう、拡張することに焦点を合わせているという。
2009年に、Chrome OSの開発を導いた、GoogleのCEO、Sundar Pichai氏は、「コンピューティング・パラダイムとしてのモバイルは、デスクトップとして考えているものと、ブレンドしていく。」と、アナリストに語った。
Microsoftは、PC用とスマートフォン用のWindows 10オペレーティング・システムを作成し、両方のデバイスで、同じアプリを利用できるようにするという、Googleと同じようなアプローチを採用している。
これに対し、Appleは、スマートフォンとタブレットにはiOS、Mac PCにはOS Xという、異なったオペレーティング・システムを維持している。
Googleで、Android OSの上昇と、Chrome OSの下降は、同社のOS戦略における、大きなシフトを表している。
Googleは、Webで誕生し、Webサービスで繁栄している。
Chrome OSは、Web中心の世界を、より多くのコネクティッド・デバイスにもたらすための方法を提供する、Linuxの派生オペレーティング・システム(OS)として考えられている。
反対に、Androidは、同じく、Linuxの派生であるが、デバイスにダウンロードされたアプリに、焦点を合わせ、最初から構築された、オペレーティング・システム(OS)である。
社内で協議した後、Googleは、両方のアプローチを追求したが、既に、モバイル・デバイスとアプリの利用が急増しており、Android OSは、世界に広く普及していた。
Googleが、2つのオペレーティング・システム(OS)を結合することには、長い間、さまざまな思惑があった。
Android OSの開発を導いた、Andy Rubin氏が、ロボットのプロジェクトへ移動した、2013年に、GoogleのCEO、Sundar Pichai氏は、Chrome OSと共に、Android OSの責任者にもなると思われていた。
2014年に、Sundar Pichai氏は、Androidの担当役員、Hiroshi Lockheimer氏を、Chrome OSの監督に指名した。
2015年9月に、Googleは、Android OSを搭載した、Pixel Cと呼ばれる、ビジネス向けのタブレットを発表した。
このPixel Cは、GoogleのラップトップとタブレットのPixel製品ラインにおける、最初のデバイスである。
2014年に、Googleは、Androidアプリを、Chromebooksで利用できるようにした。
Chrome OSとAndroid OSは、Linuxオープンソース・ソフトウェアにおける、共通の遺産を共有している。
しかし、技術者たちは、Chrome OSとAndroid OSの両方のOSを結合するのは、簡単なことではないと語った。
ラップトップは、モバイル・デバイスよりも、大きな画面を持ち、キーボードを持っており、ユーザは、複数のウィンドウを表示させ、同時に、複数のアプリを並行して実行させ、使用しており、また、互いにコンテンツを転送している。
Android OSベースのスマートフォンとタブレットは、同時に、複数のアプリを並行して実行できるが、画面に、複数のアプリを同時に表示し、簡単に切り換えて使用することは難しい。
市場サイズが比較的小さい、Chrome OS用アプリを開発したいという、ソフトウェア・ベンダは少ないので、Chrome OSベースのラップトップのユーザが利用できる、Chrome OS用アプリは、あまり多くない。
Googleが、Android OSに、Chrome OSの機能を統合し、ラップトップに、Adroid OSを採用できるようにすることは、既に、多くのユーザが、Android文化に馴染み、利用しているので、適切な判断だと思うと、共同住宅サービスを提供する、AirbnbのAlex Davis氏は述べた。
Chrome OSを、Android OSに統合することは、Googleが、より多くのビジネス・ユーザに、DocsやSheetsといった、生産性アプリを、PC、タブレット、および、スマートフォンなどさまざまなデバイスで利用できるようにするのを助けるだろう。
ユーザが、Android OSを搭載した、PCやラップトップの大きな画面で、複数のウィンドウを開き、容易に切り換えて、複数のアプリを並行して、同時に利用できるようになれば、既に、多くのビジネス・アプリが、Webブラウザ上で、クラウド・サービスとして利用できるようになっているので、Android OSベースのPCが、ビジネス、教育、および、家庭でも、広く利用されるようになるだろう。
従業員は、スマートフォンやタブレットを、より多くの仕事に利用するようになるので、PCと共に、さまざまなデバイスで、ソフトウェアやドキュメントが、アップデートされることを期待している。
Googleにとって、Android OSに、Chrome OSを統合するかどうかだけでなく、PCやラップトップで、ユーザが、マルチウィンドウで、複数のビジネス・アプリを同時に利用できるようにしたり、ビジネス・アプリをスマートフォンやタブレットで使えるようにしたり、Webブラウザで、ストレスなく、ビジネス・アプリを利用できようにしたりして、ビジネス分野での、Android OSベースのデバイスの利用を拡大させることが、Googleの課題になるだろう。
Googleは、スマートフォンやタブレットで、ビジネス・アプリやサービスを利用できるようにすることで、モバイル・デバイスでのビジネス分野で先行し、PCやラップトップ、さらに、ウェアラブル・デバイスへと、さまざまなデバイスで、Android OSの採用を拡大させることに取り組んで行くようだ。