年賀状を出す頃にだけ話題になるのが、今年の干支(えと)は何?である。と問われれば、ほとんどの人が辰年と答えると思うが、これは正しくない。
実はわれわれが、慣例的に「えと」と読んでいる「干支」というのは、「十干十二支」の略であり、十干と十二支の組み合わせなのだ。十二支についてはご説明不要であろう。まさしく今年は辰年である。
では、十干とは何か?これは、中国の陰陽五行説に基づき、万物の元となる五つの要素「木・火・土・金・水」のそれぞれに陽(兄)と陰(弟)をつけ、十に区分したものである。この兄を「え」、弟を「と」と読む。よって、たとえば木の兄を「きのえ」、水の弟を「みずのと」と呼ぶわけだ。「えと」の語源はここから来ている。
この「えと」に対し、漢字をあてたのが、「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」である。この数え方で言うと、一回りがちょうど10年だから、西暦の下一桁とシンクロする。ちなみに甲は下一桁が4、乙なら5の年になる。今年は2の年だから、壬で「みずのえ」になる。これに十二支の辰を足して、「壬辰(みずのえたつ)」というのが今年の干支である。
つまり、ご自身の生年の西暦下一桁と十二支がわかれば、干支は簡単にわかるわけで、たとえば東京五輪の1964年は「甲辰(きのえたつ)」、東京タワーの1958年は「戊戌(つちのえいぬ)」である。
ちなみに、高校野球の聖地「甲子園」は、「きのえね」にできたことを示す名前で、十干十二支の最初の組み合わせになる。また、この十干と十二支の組み合わせは、10と12の最小公倍数で60となり、自分の生まれた干支に戻るのは、60年後となる。それで、60歳のお祝いを暦が還ると書いて還暦ということになるわけである。
さて、壬辰を過去振り返ってみると、752年には東大寺の大仏開眼、1592年の文禄の役(秀吉の朝鮮出兵)などがあり、1892年には第二回衆議院議員選挙や神田の大火などが起こっている。
また、マヤの暦の2012年地球滅亡説などが話題になったこともあり、今年はなんとなく年回りを意識してしまう方も多いのではなかろうか。
年の初めには皆で希望をもって、「立つ年」とシャレてまとめてみたい。