先日、ハーバードビジネスレビューで、野中郁次郎一橋大学名誉教授の「リーダーは実践し、賢慮し、垂範せよ」という論文が出ていました。(2012年1月号)
ここで野中先生はアルフレッド・ノース・ホワイトというイギリスの哲学者の言葉を引用し、「目を向けるべきはモノではなく、コトの生成消滅するプロセスにある」と指摘されています。つまり物事の現象を追うのではなく、本質をつかまえる必要があるということです。りんごが木から落ちるのをただ、りんごが落ちたと捉えずに、なぜりんごが落ちるのか、それは万有引力があるから、と考えるように、モノではなく「コト」を考えることが日本の未来を救うと指摘されています。これは今後の日中、日韓関係においても同様でしょう。先日、韓国が在韓日本大使館の前に、「慰安婦の碑」を建立したということが報じられました。今回は、慰安婦の銅像がつくられたという表層面、で捉えるのではなく、なぜ彼らはこれをつくったのか。その意図する戦略は何かという点に思いを巡らしてみたいと思います。
「慰安婦の碑」とは、元慰安婦の少女時代を題材にしたというブロンズ像であり、日本大使館をみつめるといった位置関係になっており、日本に抗議し続けるというメッセージを示したものとなっています。
そもそも従軍慰安婦問題とは、一九八三年に吉田清治が出版した『私の戦争犯罪―朝鮮人強制連行-』に端をを発します。本書には慰安婦二〇五名を調達するため、韓国済州島で強制連行したと証言し、贖罪の碑を天安市に建立しました。
これは初めての「加害者による証言」だと大々的に報道されましたが、韓国メディアが調査したところ“事実無根”であることがわかり、済州島の郷土史家、金奉玉は「数年間も追跡調査を行った結果、事実ではないことが明らかになった。この本は日本人の浅ましさをあらわす軽薄な商魂の産物であると考える」と非難するまでに至りました。
後に秦郁彦日本大学教授(当時)が調査したところ、吉田は「人権屋に利用された私が悪かった」と反省の弁?を述べたといいますが、それが尾をひいてここに至ったわけです。 じつは私は日韓友好を促進すべく、韓国人留学生を招いて、日本と韓国のついて討議します。すると多くの韓国人留学生は「従軍慰安婦などは存在しない」と皆さん口を揃えて言われます。これは男性だけでなく、女性も含めて。
ただし、「歴史を知らない人や、マスコミの言うことを鵜呑みにする人は信じているのもいるけど」という注釈がつきますが。
こういったことから、ウソも100回いえば本当になるとよく言ったものですが、だんだんと当時を知らない世代と反日教育で脳みそが洗脳されつつある世代が増えることで、こういう虚構を真実だと思い込む人は韓国でも今後増えてきそうな予感はあります。
学校教育というのはホントにバカにできないもので、日本でも一時期、南京大虐殺30万人説をホンキで主張する人がいたくらいですから、教育というのは恐ろしいものです。
しかも韓国では先日、こんなニュースが流れました。
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聯合ニュースによると、韓国東部の江陵警察署は8日、旧日本軍の慰安婦にされた女性らは自らの意思で慰安婦になったとの内容をインターネットの掲示板に書き込んだ韓国人男性(30)を、虚偽事実による女性らへの名誉毀損容疑で書類送検した。
同署によると、男性は日本に留学経験があり、日本で右翼的な人物と交流して影響を受け、今年8月に書き込みをした。掲示板を見た人の告発で捜査が始まると、男性は書き込みを削除して謝罪文を掲示板に掲載。男性の家族が元慰安婦を支援する市民団体に謝罪したため告発が取り下げられ、起訴はされないという。
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http://sankei.jp.msn.com/world/news/111208/kor11120823500003-n1.htm
私はこの記事をみたとき、私と関わった元留学生ではないかと心配しましたが、違ったようで内心ホッとしましたが、ここまで韓国政府がするというのは正直、驚きました。
これは今月12月に扶桑社新書から上梓した拙著『日中韓2000年の真実』で書いたことですが、韓国では日本の日教組が入り込んで、反日親北朝鮮教育をおこなっています。これは当然、北朝鮮と「連動」してのものであり、北朝鮮が韓国という船を乗っ取るための戦略であるとともに、赤くなった韓国からさらに日本を溶解しようとする戦略で動いているわけですね。
だから最近、妙に左がかった連中が、日韓友好を説くのはそのような背景があるからです。(ひと昔前なら、左は北朝鮮一辺倒で、韓国を擁護した時点で右翼などと言われたものです)
北朝鮮にとって日本は目の上のたんこぶであり、朝鮮戦争の際も韓国軍を釜山まで追い込みながら、北朝鮮軍が撃破できなかったのは、日本から韓国軍へ物資支援が続々と届いたことが原因とされています。(このことは金日成自身が自著で書いています)
そこで北朝鮮にとっては日本と韓国の間を離間、もしくは日韓両国を親北化してしまうのが狙いであると考えるべきであり、同時に日教組などの反日団体からすれば、日本に対する包囲網を形成することができるわけで、互いの利害関係がここで合一するわけです。
日本がこれらを防ぐためには、韓国にいる本当の親日家を支援することであり、日本にきた留学生に、日本のことをキチンと知ってもらう努力をすることが大事です。
韓国が個人的にキライなのは大いに結構なのですが、日本が近代において、あれだけの戦争をしなければならなかったのは、朝鮮半島の保全が日本の安全保障に直結したからです。
このままでは、韓国は北朝鮮に牛耳られることになり、すでにその兆候は出てきています。それは今年10月26日にあったソウル市長選挙の結果が物語っています。
この選挙は野党系無所属候補の朴元淳氏が、与党ハンナラ党候補の羅卿瑗氏に圧勝するというかたちで決着がつきました。朴元淳氏は親北派ですが、これが圧勝したことは韓国国内に激震がはしりました。
しかもこの勝利の裏には、若者の得票が大部分、朴元淳氏に流れたことがありました。地上波放送3社の共同出口調査によると、20代の69.3%、30代の75.8%、40代の66.8%が朴氏に投票していたのです。
韓国の経済低迷に対する不満もあるでしょうが、まさに反日教育を受けてきた世代が、熱狂的に親北派を支援するという図式ができていることがわかります。
来年は韓国大統領選があるわけで、ソウル市長選はその前哨戦という位置づけだったわけですが、親北派の市長が圧勝し、しかもその原動力が反日教育を受けてきた若者であるという事実は、今後の韓国の命運をしめしていると言えるでしょう。
つまり、来年はノムヒョン同等か、それ以上のアカが韓国大統領に座る可能性が極めて高いといえるわけです。
そのため、来年以降、日韓関係はかなり紛糾するでしょう。しかも最悪なことに、日本の与党は反日政党、民主党であり、日韓が負の共鳴を起こし、日本の国益とアメリカの影響力を排除するように動くことは明らかであり、深刻な状況になることが想像できます。
日本はこの濁流に巻き込まれないように、明確な戦略が必要だと考える次第です。