世間的には、さして有名ではない「八王子ラーメン」ですが、取材を重ねるごとに、その圧倒的な実力と言うか旨さに驚く筆者で御座います。
「言うほど、美味くないんじゃね?」
と、思っている人も少なくないと思われますが、それは甘いですね。
ラーメンブームがドーンと来る前から、八王子では「八王子ラーメン」が地域に根付いているのです。
もはや「八王子市民のソウルフード」と言っても過言ではありません。
昔から多くのラーメン屋さんが「八王子ラーメン」と言う様式美を追求し、お互いに腕を磨き工夫を重ね、一杯のラーメンを高め合っているのです。
まず、一度も「八王子ラーメン」を食べた事が無い人は、今すぐ八王子に赴くべきでしょう。
ベスト・オブ・ベスト『タンタン』
今、八王子で美味いラーメン、もとい「八王子ラーメン」の店を挙げるなら、確実にベスト3に入る『タンタン』で御座います。
いや、むしろ「ナンバーワン」と言っても過言では無く、土日祝日は定休日、そして夜の営業は一切なし… つまり
「平日の11:00~14:00のみ!」
と言う、極めてスパルタンな営業時間にも関わらず、毎日確実に行列させる超絶人気店なのです。
「八王子ラーメン」の実力を計るならば、まず『タンタン』の一杯を食べなければなりません。
『特チャーシューメン』を食す!
そして、毎度の事ながら超絶人気店なので店内も常に満席であり、店内の写真撮影は非常に難しいモノがあります…
さすがに人の頭越しで撮るのは非常識ですからね。自分のラーメンを撮るのが精一杯で御座います。
と、言う訳で絵が足りない可能性は否めませんが、ソコは『特チャーシュー麺』の圧倒的なビジュアルで、ゴリ押しするまでの事です。
ちなみに「八王子ラーメン」のベーシックを知って欲しいと言う事で、前回は『並ラーメン』(550円)の記事でしたが、今回は二回目なのでチャーシュー解禁です。
いや、むしろココからが本番じゃないですかね?
と、言う事で必然的に『タンタン』のフラッグシップである『特チャーシュー麺』(950円)を食べる事にします。
チャーシューがデカい!
写真を見れば伝わると思いますが、チャーシューがデカいです。超デカいです。そんな巨大チャーシューを贅沢に5枚ほど使い、完全にラーメンを覆ってしまっています。
厚さは3㎜弱ですが、とにかく一枚が異常に大きいので、これはボリューム満点ですね。
『タンタン』のチャーシューは、スープの寸胴で煮てからタレに漬けられるようです。
この時も常にチャーシューの状態を気遣い、竹串で火が通っているかチェックしていました。
つまり、肉に火が入った時点でスープから上げてしまうのです。
あまり煮込むと柔らかくはなりますが、豚肉の旨みがスープに流れてしまうデメリットがあります。
『タンタン』のチャーシューは、豚肉の旨みって言うか「肩ロースの美味しさ」を追求したチャーシューなのです。
早い話が『タンタン』に行ったら、チャーシュー麺を食べなきゃ損するぞって話ですよ、お客さん。
ちなみに『タンタン』のチャーシュー麺は、大きさによってチャーシューの大きさが変わります。
なので『並チャーシュー麺』が売り切れなのに、何故か『特チャーシューメン』はオーダー可能だったりする現象が起きるので、御了承下さい。
スープが絶品の『タンタン』
まさに「八王子ラーメン」の見本と呼べるのが『タンタン』の洗練されたスープです。
スープだけで見れば『吾衛門』か『タンタン』のどちらかで決まりだと思います。(筆者個人の見解です)
「八王子ラーメン」ならではの、澄んだスープに が浮かび、そこに「微塵切りされたタマネギ」が加わる事で、この『タンタン』のラーメンになります。
ちなみに「八王子ラーメン」は、この「タマネギ」が肝でして、コレが入っていなければ「八王子ラーメン」を名乗れません。
タマネギは水に晒したりしませんが、ラーメンの表面に浮かぶラードなどの熱い油に浸かる事で、生のタマネギ独特の「辛味」が飛ぶのです。
そして、スープもマイルドになり、血液もサラサラになると言う相乗効果も微妙にあります。
なので、写真だと結構「油ギッシュ」に見えますが、食べてみると「あっさり系」の醤油ラーメンである事が分かると思います。
麺のボリュームがヤバイ件
『特チャーシュー麺』の「特」は「特大」の意味で御座います。つまり『大チャーシュー麺』の上ですね。
そして、この「特大」はチャーシューの大きさもですが、何気に麺の量がヤバイですね。
普通の『並ラーメン』でも、細麺にしては麺量がそこそこあるのですが、その二倍はあります。
その上、あの巨大なチャーシューも加わるので、成人男子でも結構満腹になる『特チャーシュー麺』かと思われます。
ちなみに『タンタン』では麺の硬さを聞かれるので、このボリュームの場合は「硬め」でオーダーするのも正解ですね。
そして、ボリュームだけでは無く、その麺の美味しさも特筆に値します。
細めのストレート麺ですが、コシがあります。
よ~く写真を見ると「2層構造」のように見える麺ですが、この中心部分が「コシ」を支えているのでしょう。
この中心部まで透明っぽくなると、完全に「茹ですぎ」であり、非常に残念なラーメンに堕ちてしまうのです。
スープに浸かっている部分の染まり具合からして、それほど加水率は低くありませんが、細麺なのでスープの運びは良いですね。
長さもベストで、丁度良い「啜り加減」で食べられます。
ここら辺の「地味に重要なポイント」もラーメンの味を左右するのですが、長年に渡り研究し改良され、極まりつつある『タンタン』は、そこら辺は当然押さえてあります。
歴史が長ければ良いって訳ではありませんが、やはり経験に裏打ちされた技術とノウハウは、新規の店よりもアドバンテージがある事は間違い有りません。
メンマも普通に美味しい『タンタン』
最近は「メンマ」にコダワル店が増えているので、今となっては「普通に美味い」って表現になってしまいますが、何気に『タンタン』のメンマは美味しいです。
メンマ自体が美味いと言うよりは、スープや麺と合わせた時に「メンマの存在」が出てくるタイプですね。
このメンマがラーメンに入っていないと、きっと物足りない感が半端ないと思われます。
『特チャーシュー麺』 総評
まさに八王子を代表する『タンタン』を満喫出来る『特チャーシューメン』で御座います。
っていうか、連食する予定で無ければ、この『特チャーシューメン』をオーダーしないのは勿体ないですね。
かなり早い段階で「売り切れ」になるので、食べられる時に食べておくべき「一期一会メニュー」と言っても過言ではありません。
あと、かなり全体的にボリュームがあるので
「ネギ増し」
は必須かと思われます。筆者はマシにしなかったのですが、中盤辺りで「タマネギ飢饉」に陥りました。
麺が2倍な時点で、タマネギ二倍必要である事を、予見出来なかった筆者のミスです。
とにかく営業時間が厳しい『タンタン』ですが、やはり有休と使ってでも食べたいラーメンですね。
食べ終わった後の「満足感」を考えると、有休を使うに値するラーメンだと筆者は思っています。
「八王子ラーメン」を評価するなら、まずこの一杯と言う感じで、この『タンタン』のラーメンを食べずに「八王子ラーメン」は語れません。
それでは、みなさんも時間を作って『タンタン』で『特チャーシューメン』を食べてみて下さい。
『タンタン』
東京都八王子市子安町1-30-6
営業時間 11:00~14:30
定休日 土日祝日