川端総務大臣、900MHz帯からの周波数オークションは十分可能ですよ!

  by 平成の龍馬  Tags :  

行政刷新会議が提言型政策仕分けで実施すべきと結論付けた700/900MHz帯の周波数オークションについて、昨日の衆議院総務委員会で川端達夫総務大臣は実施しない考えを示しました。

川端大臣は、「700/900MHz帯の3.9世代携帯電話の周波数割り当ては、急増するトラフィックに対応するために急務である。関連業界もこの前提に立って準備を進めている」と発言しました。この発言には非常に違和感があります。

「関連業界もこの前提に立って準備を進めている」というのはおそらく、ソフトバンクが900MHz用の基地局を一兆円かけて全国に整備しているということを指しているのでしょう。しかしそれは900MHzもらえるという総務省の公式な決定無しにソフトバンクが勝手に設備投資をしているだけです。

なぜ一事業者が勝手に設備投資をしているのに、総務大臣が「事業者が設備投資してるから今更変更できない」などと気遣う必要があるのでしょうか?まだどこの事業者に割り当てるか決まっていない段階でのこのような発言は、すでに裏でどこの事業者に割り当てるか総務省と事業者の間で内定しているかのような発言です。

川端大臣が900MHzの周波数オークションに反対する理由をまとめると
・スマートフォンやタブレット端末の普及によって、携帯電話事業者の使用する周波数はかなり逼迫している
・電波オークションを行うには電波法の改正が必要であり、時間がかかる。来年空く900MHzを早急に携帯電話事業者に割り当てないといけない
ということになります。

しかしこの理由は簡単に論破できます。
まず電波オークションを行えるようにするための電波法改正ですが、これは電波法に「電波は競売で割り当てる」という1項目を付け加えるだけで、後は政令や省令の変更で済む話です。このような手法は官僚たちの常套手段であり、自分たちに都合のいい政令や省令をどんどん作っているにも関わらず、官僚に都合の悪い電波オークションのことになると「電波法の改正に時間がかかる」という言い訳をするなど言語道断です。

百歩譲って電波法の改正に時間がかかったとしましょう。そのせいで来年割当てられるはずの900MHzの割当が遅れたとしましょう。しかし、例え遅れたとしても大勢にはほとんど影響しません。

900MHz帯で新たに携帯電話事業者に割当られるのは上りが900~915MHz、下りは945~960MHzで一つのセットになっています。周波数帯幅で言えば上りが15MHz、下りは15MHzです。しかし総務省の周波数再編アクションプランをよく読んでみると、900MHz帯ですぐに利用できるのは、上り900-903MHz、下り945-950MHz、つまり周波数帯幅で言えば上りが3MHz、下りは5MHzだけで、残りは他の用途に使われているので、2015年ないし2018年まで待たないと携帯電話用には使えません。詳しい解説

来年から使えるのは30MHz割り当てるうちのたった8MHzしかありません。この割当がもし一年ずれこんだとしても、もともと使える周波数帯幅が少なくて電波の逼迫状況を打開するにはあまり役に立たないので、大した影響はありません。(周波数帯幅は広ければ広いほどたくさんデータを送受信できます。)

すなわち
・電波法改正はすぐできる
・例え電波法改正に時間がかかって、電波の割当が遅れても大勢に影響なし

ということです。

野党時代に電波オークションの議員立法を提案した川端総務大臣はこれでもまだできないと言うつもりでしょうか?

IT、メディア等について記事を書きたいと思っています。日本を変えるような記事を書けるよう努力しています。特に電波の有効活用について興味があります。電波オークションの導入や地上波テレビ局が使ってる電波をモバイルに転用させることによる「電波利権の打破」を目指しています。池田信夫先生主催のアゴラ執筆メンバーです。

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