今回は「八王子ラーメン特集」と言う事で、まずは筆者がイチオシの『吾衛門』(ごえもん)を紹介してみようと思います。
しかし、まず「八王子ラーメン」を知っている人も少ないと思うので、まずは「八王子ラーメン」の説明から入りましょう。
「八王子ラーメン」とは、なんぞや?
いわゆる地域に密着した「地ラーメン」とか「ご当地ラーメン」のジャンルに入りますが、東京都の片隅にある「八王子」を中心に発展したラーメンが「八王子ラーメン」となります。
特徴としては醤油ベースのタレで、必ず「タマネギの微塵切り」が乗っているのがポイントです。
つまり、この世に醤油味のラーメンは星の数ほどありますが、その中でも
「タマネギの微塵切り」
が乗っていなければ「八王子ラーメン」に成り得ないと言う結論に至ります。あえて「長ネギ」ではなくタマネギにコダワルのが八王子なのです。
他にも基本的には「あっさり味」で煮干し系のスープが主軸となっていますが、鶏ガラを併用しコクを出している店もあります。なので、スープに関しては割と自由度が高いとも言えるでしょう。
ちなみに「八王子ラーメン」の歴史は意外と古く、昭和34年(1959年)頃に「刻みタマネギ」を乗せるスタイルが確立されたようです。
つまり「八王子ラーメン」自体は、さしてメジャーな存在ではありませんが「ラーメンブーム」が始まる前から、八王子に根付いていた歴史ある本格派ラーメンと呼べるのです。
ここら辺を考察すると「御当地ラーメンブーム」に後乗りした
「にわか御当地ラーメン」
とは違い、ちゃんとした歴史と主張、すなわちバックボーンのある
「本物のラーメンである」
と言えるでしょう。その事実を頭にブチ込んだ上で、記事を読んで頂けたら幸いです。
人気店は基本的に並ぶ模様
「栄えている感」の薄い微妙な東京都八王子市ですが、美味しい店のラーメンは基本的に並ぶのがデフォです。
正直、地方からわざわざ食べに来るほど有名ではないと思われる「八王子ラーメン」で、まさかの行列とか、ちょっとびっくりです。
逆に、それだけ地元の人の「八王子ラーメン」に対する愛と言うかリスペクトが半端ないと言う事でしょうか?
またラーメンとしてはサッパリ味なので、割と御年配の方達も行列に並んでいますね。子供連れの家族から、老夫婦まで幅広い層に愛されているようです。
この分厚い客層が「八王子ラーメン」を支えるチカラになっているのでしょう。
八王子ラーメンの代表格『吾衛門』の中華そばを食す!
そんな訳で『吾衛門』の『中華そば』(500円)をオーダーしてみました。基本、盛ってナンボの筆者ですが、今回は
「より幅広い層に八王子ラーメンの良さを知って欲しい!」
と言う趣旨なので、とにかくひたすらベーシックスタンダードを貫く所存で御座います。どんだけチャーシューが美味しそうでも筆者のオーダーは不変です。
麺も「堅め」などのオーダーが出来る店もありますが、とにかく基本を重視して茹で加減もノーマルとします。
それが筆者の「八王子ラーメン」に対するリスペクトです。
ちなみに基本のラーメンはラーメンではなく『中華そば』と呼ぶ店が多いのも、ある意味「八王子ラーメン」の特徴かもしれません。
確かに、あっさり味なのでラーメンよりは『中華そば』と呼んだ方が、しっくりくる気がしますね。
『吾衛門』も卓上には各種調味料があるのですが、珍しいところでは「スープダレ」があります。これを使えば濃い目に出来るので、使うか使わないかは別にして、あった方が幸せになれる予感です。
『吾衛門』のスープが恐ろしく旨い件
そして実食! 当然、ココはスープからです。
ん!
コレは想像以上に美味しいと言うか、期待以上のスープですな!
『吾衛門』はスープに豚骨も使っているらしいのですが、全然「豚骨臭さ」がありません。しっかり下処理をした豚骨を使って、丁寧にスープを取っているのでしょう。
他には魚介系、いわゆる「節系」(かつお節など)の香りが良いです。しかも「節系」独特のエグさがない。
ケチって少ない材料をガッツリ煮込むと、どうしても苦味と言うか独特のエグさが出ます。
逆に、大量の「かつお節」やら「煮干し」を使って、丁寧に出汁を取ると美味しい「節系スープ」になります。
調べてみると『吾衛門』では、「鰹節」(宗田節)の他にも「鯖節」「煮干し」を使って出汁を取っている模様。
「節系」は原価が安くはないので、どうしてもケチりたくなるものです。しかも、どうせ鶏ガラや豚骨と合わせるならと思ってしまうもの…
そこら辺を妥協せず、丁寧に仕込んだスープである事は間違いないでしょう。この超絶旨いスープが『吾衛門』の人気の秘密と言えます。
八王子ラーメンと言えばタマネギである
この絶品スープにアクセントを加える「タマネギ」の存在も重要です。これが無ければ「八王子ラーメン」とは呼べません。
『吾衛門』のタマネギは、結構ランダムな大きさの微塵切りですが、逆にそれがアクセントになっていて、タマネギの存在をより大きなものにしています。
調べてみると、なんと
「わざとタマネギの大きさを変えている」
との事… 恐るべし『吾衛門』。
チャーシューも手抜き無し!
500円の『中華そば』ですが、チャーシューも入っています。その味も文句なしの出来栄えです。
部位としては腿肉でしょうか?
しかし、味わいは限りなく「肩ロース」な気もするので、ここは「グーグル先生」に答えを聞いてみました。
色々と調べてみると、やはり『吾衛門』は「肩ロース」のようですね。でも、脂身の少ない肩ロースなので、パッと見た感じは「腿肉」と間違えても仕方ないかもです。
どちらにしても、この『吾衛門』のチャーシューが美味しい事は間違いありません。これなら『チャーシュー麺』を頼んでガッカリする事は絶対にないでしょう。
いや、むしろ筆者は『チャーシュー麺』をオーダーしなかった事を激しく後悔したと言っておきましょう。
麺は赤池製麺の麺を使用
麺は「八王子ラーメン」の基本とも言える「ストレートの細麺」です。
細麺にしては加水率が低めな気がしますが、独特のコシと弾力がある力強い麺で、個人的には好きなタイプですね。
八王子に店を構えているのに、わざわざ相模原市の製麺所の麺を使っているのですから、きっと色々な製麺所の麺を試して、この麺にたどり着いたのでしょう。
ちなみに「八王子ラーメン」はストレートの細麺が主流ですが、どの店も結構「麺の量」があるので、物足りない感はありません。
吾衛門『中華そば』 総評
筆者はそこそこ「八王子ラーメン」を食べ歩いたのですが、個人的に一番好きなのは『吾衛門』ですね。
スープも良いのですが、特に「麺」が筆者のツボにはまりました。どちらかと言うとラーメンは「太麵派」の筆者ですが、この『吾衛門』の麺なら細麺も悪くないと思えます。
細麺だと、どうしてもコシや弾力は太麺に比べて弱く思えるのですが、この『吾衛門』は別格です。
いや~、この『吾衛門』のラーメンなら行列も納得って思った次第です。
正直、筆者も最初は「八王子ラーメン」をなめていたのですが、この『吾衛門』のラーメンを食べて、本気で「八王子ラーメン」と向き合う決意を固めました。
実際に「八王子ラーメン」と言うジャンルを抜きにしても、ここまで美味しいラーメンには、なかなか巡り会えないでしょう。
そんな訳で、筆者的にマイブームな「八王子ラーメン」ですが、その中でも確実にトップクラスの『吾衛門』に是非、みなさんも訪れてみて下さい。
『吾衛門』
住所:東京都八王子市千人町3-3-3
営業時間:11:00~17:00
定休日:日曜祝日