『情けは人の為ならず』の解釈が間違った人が多いらしいのです。正しい意味は人に対して情けをかけて良い行いをしていれば、巡り巡って良い報いが自分にも返ってくるということなのですね。
人に対して良く接すると言うことは人間社会において基本なのだと思います。でも、良いことをするのにちょっとした勇気って必要なのですね。その勇気を惜しまない小さな努力って大切だと思います。
財布を失くしてもしっかり戻ってくる日本の治安、これ素晴らしいです!正直者が多い勤勉な国家。これはね、逆に日本を訪れた外国人が実感してくれることでしょう。
さて、私は生き馬の目を抜くと言われる大都会のニューヨークに生活していますが、こちらは最近富に治安が悪いです。先ごろも職務質問した白人警官が、質問を受けた側の黒人にいきなり発砲され、残念なことに亡くなりました。警官は25歳と言う若さで殉職されたのです。銃の発砲も珍しくないし、強盗、強姦、窃盗などの犯罪には事欠きません。決して誉められた都市ではありません。
しかし、だからと言ってニューヨークがダメな街と決めつけるのはご法度です。
私は過去、うかつにも財布を2回落としたことがありました。一度は全く記憶がないうちに財布がなくなっていました。スリにあったわけではないと思うのですが、友人との昼食を終えレストランで支払いを済ませ会社に戻るまでになぜか失ってしまいました。財布の中には現金他、身分証明書、クレジットカード、グリーンカードなど重要物が多く入ってあり、グリーンカードを紛失すると移民局まで出向いて、かなりの長時間待たなくてはならなくなるため憂鬱でした。
程なくして、ニューヨーク警察から連絡があり、財布を預かっていると言うのです。身分証明書を持参のうえ警察に出頭するよう命ぜられました。悪いことをしているわけではないのですが、ニューヨーク警察に足を踏み入れるのにはなかなか緊張する出来事でした。
財布とクレジットカード、グリーンカード等の重要な物もそのままで、ただ現金に関しては警察が財布に入っていた額を小切手にして手渡してくれました。いくらぐらいいれていたか記憶にありませんが、妥当な額面の小切手を手渡されました。
もらった書類には拾ってくれた人の住所と名前が書かれていたので、日本であれがば財布の拾得者に2割ほどの謝礼をするものだと思ったので、その2割分を切手にして送りました、ただ、送信者である私の名前も住所もなしの礼状を添えてのお礼でした。
2回目の財布の紛失は郵便局に置き忘れだったので、戻る確率は半々くらいに思っていましたが、これもしっかり戻ってきました。大きな郵便局だったので、財布をなくしたことを職員に言うと、不在郵便を受け取る場所に行くように言われ、そこで順番を待ち財布をなくしたことを言うと、財布の色、特徴などを訊かれ、それで持ってきてくれた財布の身分証明書と私が一致して返却されました。
これはかなり運がよかったと思います。2回財布をなくして、2回戻ってくる、戻ってきた場所はニューヨーク。
しかし、運をよくするには冒頭に記した『情けは人の為ならず』を常に実践していることをお知らせしておきましょう。街を歩くといろんな出来事に遭遇します。つい先だってバックパックの女性の後ろのポケットのファスナーが開いたままで、それにはなんとお金が入っていて財布代わりに使っているようでした。私は、小走りにその方に近づき、でも不審者に思われないように優しい声で「後ろのポッケあいてますよ…」と注意を促すと、とてもとても感謝されました。いちいち「キャッシュが見えていますよ!」のような野暮なことは言わず、当人はポケットに現金を入れていることはわかるのですから、ポケットを開けていることが緊急事態であることは即わかります。
他にもおじいさんが歩いていて、ポケットから財布を取り出した後、小さなメモがポケットから出て路上に落ちたままで先に進んでいます。メモが重要書類のようにも思えないけど、場合によっては重要かもしれません。遠巻きに見ていた私は他の人たちがそのメモを拾わずに無視して通り過ぎるのを見ていたので、小走りでメモを拾い、おじいさんに駆け寄り渡しました。それはおじいさんにとり大事はメモではなさそうでしたが、見過ごすよりよかったと思っています。
小さなことかもしれませんが、常日頃、なるべく良いことを他人様にしようと努力していると、不意の災難でもそれが円満解決することが多いのです。
ちょっと試してみませんか?当たるも八卦当たらぬも八卦ですぞ….