未病(みびょう)という言葉をご存知でしょうか。
未病とは、一言でいうと、病気ではないものの、心身ともにパフォーマンスが落ちている状態。
東洋医学では、伝統的に未病の診察・治療を重視していますが、また、様々な研究者によって診察や治療技術が発達を続けています。
たとえば、大多数の方が悩んでいる肩こり、慢性的なだるさや疲労感。女性の方なら足の冷え。
病院に行って、現代医学的な検査を受けても、「異常なし」の結果が出ることがほとんどです。
もちろん、こういった症状は、深刻な病気の前兆であることも珍しくありません。
気になるなら、病院で検査を受けるべきですが、現代医学的な異常が見当たらないなら「未病」だと考えてよいでしょう。
病気ではないとはいっても、本人にとってはかなり辛いもの。
大多数の場合、睡眠や入浴方法の改善、ストレスに対するセルフケア、過度なセックスの禁止、そして食事を変えれば、かなりの確率で改善すると言われています。
99年に書いた拙著「漢方200パーセント活用術(現在は絶版)」でも、薬膳や気功といった、セルフケアの方法を書いています。特に食事の改善(食養生といいます)は、方向性が間違っていなければ、短時間で未病の改善が見られることが少なくありません。
面白いことに、食養生といっても、精力がつくと言われているものを食べればいいというわけではありません。
また、スーパーでふだん買い求めている食材が、未病を引き起こしていたり、逆に改善してくれることもあります。
たとえば、精力がつくと言われているオタネニンジン(高麗人参)、体をあたためると言われるショウガも、体質によっては、摂取すると逆に体調を崩すこともあります。
食事で未病を改善する「食養生」という方法があります。
一部の理論では、食物アレルギーなどがなければ、補腎(東洋医学では、腎臓に目や精神活動、生殖、下半身の筋肉を動かすエネルギーが蓄えられており、適度に食事で補う必要があると考えられています)となる、ヤマノイモやトンブリなどを摂取すること。
加えて、体が熱くなりやすく乾燥しやすい(実症)、尿や汗が出にくく冷えやすい(虚症)の改善に効果がある食品を取りながら、体調を整えていくことを実践すべきとしています。
現在治療中の病気などによっては、摂取が好ましくない食物も出てくるはずですので、医師に相談なく、ご自分でいきなり試されることはおすすめできません。
とはいえ、社会的に問題になっている生活習慣病も、広い意味では「未病」です。上手な食事の取り方や、簡単な運動で、あのいやな体のだるさや疲労感、足の冷えなどから開放されるとしたら、魅力的ですよね。
そういった意味でも、今回のABCクッキングスクールと神奈川県の提携は、健康増進のためにも斬新な取り組みとも言えると思います。
※写真は足成から http://www.ashinari.com/