秋田県秋田市には、無数に魅力的な飲食でが存在する。有名店も多数あり、実際に食べに行くと、そのおいしさに驚かされる。しかし、知られざる地域住民に愛される有名ではない名店も多数ある。ユーチューバーもブロガーも目をつけないし、派手さはないが、素晴らしい店が多数あるのだ。
めちゃくちゃ良い店だったのに閉店した秋田グルメ店10選
あまりにも良いお店だったにもかかわらず、閉店してしまった名店も複数ある秋田市。そこで今回、秋田出身の筆者も含め、秋田人が絶賛する秋田市の「めちゃくちゃ良い店だったのに閉店した秋田グルメ店10選」をご紹介したいと思う。あなたの記憶に残っている店はあるだろうか。
1. あきこうまえ茶屋(秋工前茶屋 / 庄司商店)
秋田工業高校のすぐ前にあった駄菓子屋+ゲームセンター+食堂のような店で、高校生だけでなく、地域に住む子たちが集まる集会場のような場所であり、若者たちの聖地だった。子のお小遣い価格でお菓子が食べられただけでなく、アーケードゲームも遊べたことから、「あきこうまえ茶屋で育った」という人がいるほど愛されていた。
ヤンキー的なお兄さんたちが多く訪れていたことはあまりにも有名。店舗の近くを流れる旭川で鯉などを釣りをした帰りによる子も多かった。お店に空き瓶を持ち込むとお金をもらえた記憶があるが、皆さんにはどんな思い出があるだろうか。
ちなみに、あきこうまえ茶屋はその後にリニューアルされたが、今回の閉店情報は初代あきこうまえ茶屋に対してのものである。「あきこうまえ茶屋」(秋田県秋田市保戸野金砂町2)
2. 佐々木商店
営業当時は、子らがお小遣いを握りしめて、佐々木商店にダッシュで向かった。店内は極めて狭いが、駄菓子とくじ引きが多数陳列されており、店内に入っただけでワクワクが止まらない駄菓子屋だった。
今も大人気のビックリマンはもちろんのこと、ロッテではなくロッヂのビックリマンっぽいけど「コレジャナイ」なシールも販売されており、ビックリマンを買えない子たちには大人気だった。特にトップ製のくじ引きやスーパーボールが絶大な支持を得ていたが、いちばんの魅力は店主の「佐々木のおばちゃん」の人柄なのは言うまでもない。「佐々木商店」(秋田県秋田市千秋北の丸5)
3. たいあん弁当 手形店
最近まで、秋田市には3軒のたいあん弁当の店舗が存在していたが、現在は「たいあん弁当 東通店」(秋田県秋田市東通6-1-21)のみ営業を続けている。しかし、いにしえの秋田市民であれば一番思い出深い店舗はたいあん弁当手形店ではなかろうか。
少なくとも35年以上前から秋田市に存在し、移転しつつも最近まで営業していたたいあん弁当手形店。ここの名物はデカ盛りすぎるから揚げ弁当で、あまりにもから揚げが大量なため、弁当箱に入りきらず、フタが閉まらない。ここのから揚げ弁当は、そのまま食べるのではなく、付属のソースをたっぷりとかけて食べることにより、おいしさが爆上がりする。食べ進めつつかじるインゲンと玉子焼きは格別だ。
ビジュアル的に、食欲的に、上位互換の山菜から揚げ弁当を食べたくなる気持ちはわかるが、シンプルにから揚げ弁当を食べてほしい。それこそベストだ。可能ならば、復活してほしいたいあん弁当手形店。そう思っている人は少なくないはずだ。「たいあん弁当 手形店」(秋田県秋田市手形山崎町10)
4. 100円ラーメン藪松
もはや伝説級の100円ラーメンのお店で、シンプルだけどおいしくて安いということで、多くの地域住民を支えてきた名店。特に中高生に絶大な支持を得て、少ないお小遣いでおいしいラーメンを食べるため、藪松に通っていた子は多い。看板はないようなもので、初見ではここがラーメン屋であることはわからない。
勇気をもって引き戸を開けると、その瞬間からラーメンを茹ではじめる。何を言わなくともラーメンが出てくる。メニューは100円ラーメンしかないので「入店 = 100円ラーメンを食べる人」なのだ。店内に入ったら、100円をカウンター的な場所において、あとはラーメンができたら食べるだけ。わざと1円や5円で払うイタズラ小僧もいたという。
店主は寡黙で、ややぶっきらぼうな人。それゆえ、筆者は何度も通ったが、何度行っても緊張した。このような逸話がある。藪松に入ろうとしたところ、店主が出てきたため「もう閉店で帰るのかな」と思ったら、無言で店内に戻ったという。閉店だと思ったので申し訳なく思いそのまま帰ったが、そのあと「閉店しようと思ったけど僕がいたから麺を茹でに戻ったんだ!」と気がついたそうだ。そう、実は優しい店主なのである。
そもそも、100円で営業し続けられるはずがないのだが、赤字なのでアルバイトをしながら営業を続けたという話もある。どうしてそんな状況でも営業を続けたのか? それには諸説あり「過去にひどいことをしたので罪滅ぼしをしている」とも言われているが、それはまた別の話。「100円ラーメン藪松」(秋田県秋田市大町5)
5. 焼きかつの店 かつ亭
秋田駅前にある飲食店ビルの2階にあった知られざる名店で、トンカツはトンカツでも「焼きカツ」という特殊な製法で作られたグルメが堪能できる名店だった。まだグルメブームが日本に訪れていなかった昭和から平成にかけて、唯一無二の焼きカツを食べるために多くの人たちが訪れていた。
狭いカウンター席からは厨房が見え、カツを焼いているシーンを見て楽しむことができた。底が平らなフライパンにたっぷりと油を注ぎ、そこにトンカツを入れて、じっくりジワジワ焼いていた。ディープに焼くため、やや濃いめのダークブラウンに仕上がることが多かったが、晩年はライトな焼き加減になっていたようだ。今では、日本各地で見かける焼きカツのお店。店を見るたびに思い出す、秋田の名店なのであった。「焼きかつの店 かつ亭」(秋田県秋田市中通4)
6. ぼてふく
記憶が確かならば、ぼてふくがオープンするまで、秋田市の中心部には本格的な大阪風お好み焼き屋がなかった。そしてぼてふくがオープンし、多くの秋田市民が「本場大阪のお好み焼き」を知ることになった。
そしてなにより、ぼてふくは、うますぎた! 声を大にして言いたい。ぼてふくはうますぎた! ぼてふくでお好み焼きのおいしさを知り、その後、多数の大阪のお好み焼き屋に行ったが、正直、ぼてふくを超える味に出会えていない。大げさではなく本当に。食材と記事のシンクロ率が高いことは言うまでもないのだが、女将さんの生地をかき混ぜるテクニックが秀逸なのである。
ぼてふくのお好み焼きは多くの学生たちを魅了。特に女子に絶大な支持を得て、下校時にここでお好み焼きを食べる者たちが続出。老若男女に愛される名店だった。筆者のオススメはライス入りお好み焼きと、納豆入りお好み焼きである。また復活してほしい秋田市の飲食店としてトップクラスに位置する名店なのであった。「ぼてふく」(秋田市千秋城下町5)
7. 焼鳥屋
店名がなかったため、焼鳥屋と呼ぶしかない。場所は「とんかつあべ」(秋田県秋田市手形新栄町2-15)のあたりで、外から焼き鳥を焼いている店主の姿が見える店舗だった。引き戸を開けて入ると、「いらっしゃーい」と優しいトーンで行ってくる店主。
焼鳥は1本20~30円ほどから売られていた記憶があるが、一番安い鳥皮が極上のうまさ。絶妙な火入れ、絶妙な味付け、そして極上の肉汁。ここで大量に焼鳥を購入し、紙袋に入れてもらい、持ち帰ってゲームをしながら食べる焼鳥は至高だった。
ちょうど通学路にあったこともあり、大人だけでなく学生にも絶大な支持を得ていた焼鳥屋。「食べることは楽しい」「味で喜びを感じる良さ」をこの焼鳥屋で教わった気がする。インターネット上で調べてもこの焼鳥屋についての情報が全く出てこないのは、やや心に響くものがある。このように時代とともになかったことになっていく飲食店があると思うと、いろいろと考えさせられる。「焼鳥屋」(秋田県秋田市手形新栄町2)
8. キタヤパン(キタヤのパン)
地域住民には「キタヤのパン」もしくは「キタパン」「北山さんちのパン」として愛され続けていたパンの名店。JR秋田駅前の大通り沿いにあったパン屋で、北山さん一家が手作りしていた、おいしい絶品パンを購入することができた。店内はかなり広く、パンの種類も多かった思い出がある。
キタヤパンでは大判焼きを焼いていて、おばあちゃんが焼いた大判焼きを購入して食べることもできた。その大判焼きは例話の時代に出しても間違いなく絶賛される味をしており、大量に買って持ち帰り、家族や仲間と食べる人が多くいた。
地域住民の子らがキタヤパンの周囲で遊んだり、キタヤパンでパンを買ったりと、ある意味、この地域のワクワクする場として存在していた印象がある。また食べたい、キタヤパンのパンと大判焼き。「キタヤパン」(秋田県秋田市千秋久保田町2)
9. グリコア
JR秋田駅前に突如としてオープンした、ハンバーガーのファストフードレストラン・グリコア。記憶が確かならば、グリコアオープン当時はドムドムハンバーガー、ロッテリア、モスバーガーがJR秋田駅から徒歩圏内にあった。マクドナルドが駅前になく、秋田市民はマクドナルドが欲しくてたまらなかったが、そんなところにオープンしたグリコア。
グリコアは、やや価格が高めだった印象。しかしインターネット上で調べてみると、メニュー表の価格はさほど高額ではなかった。秋田出店時は価格が値上げされていたのだろうか。
それにしてもグリコアには夢があった。ボリューミーで、新しさがあり「アメリカンな映画の中のカフェテリア」なイメージが浮かんだ。突如として食べたくなり、店舗に行ってみると、いつの間にか閉店していた。さほど買っていなかったにもかかわらず、その時のショックは大きかった。「グリコア」(秋田県秋田市中通2)
10. 秋田ステーションデパート
秋田ステーションデパートの1階には、おにぎりと中華まんを販売するテナントがあり、そこで売っている「とろろ昆布のおにぎり」と「肉まん」が極上のおいしさだっだ。閉店理由は不景気だからではないだろう。時代の流れとともに秋田ステーションデパートがトピコにメガ進化する過程でなくなったと思われる。
それにしても、ここのとろろ昆布のおにぎりは極上だった。保温されたケースの中に手作りされたおにぎりがたくさん陳列されていて、なかでもとろろ昆布のおにぎりはビジュがトップクラスで最高オブ最高。とろけるとろろを堪能しつつ食べる秋田米のおにぎりは今でも記憶に残っているほど極上のうまさ。
肉まんのケースもそうだが、おにぎりのケースに水蒸気が結露となって発生しており、そのビジュが、激しく食欲をそそらせるのである。それ以来、保温ケースの結露は筆者にとってご褒美であり、「おいしいよ」という証として認識されるようになった。また食べたい、秋田ステーションデパートの1階のおにぎりと肉まん。「秋田ステーションデパート」(秋田県秋田市中通7)
11. 茂内商店
かつて、JR秋田駅から千秋久保田町の通りを進んでいくと花屋があり、その向かいにあった茂内商店。ここは駄菓子だけでなく野菜やフルーツ、惣菜、ドリンク、パン、雑誌、何から何まで購入できる便利な存在だった。かつて秋田市にはコンビニエンスストアがなく、近くにデイリーストアができるまでは茂内商店の天下だった。
茂内商店には頻繁にビックリマンが入荷し、抱き合わせ販売もしていたが(笑)、そうだとしても今は良い思い出。ビックリマンと抱き合わせになっていたポッキーやプリッツなどを食べつつシールを眺めたり、ゲームをしながら食べたりした思い出がある人は少なくないはず。ここで朝食のパンやおにぎりなどを買って出勤・通学しいた人も多くいた。
なにより茂内商店は週刊少年ジャンプや週刊少年マガジンなどの雑誌がどこよりも早く入荷する店だったため、早朝、オープンとともにジャンプを買いに行く学生も多くいた。ここでジャンプと駄菓子を買い、登校前の自宅や学校で至福の時間を過ごすのだった。「茂内商店」(秋田県秋田市千秋城下町5)
あまりにも良すぎる名店が多すぎて、10選なのに11選になってしまった。また、それぞれの店の写真は、筆者が店舗を撮影したものか、筆者が店舗付近を撮影したものをイメージとして使用した。発掘して当時の写真が見つかれば、改めて更新し、掲載していきたい。
地域住民に愛されながら消えていった名店がたくさん存在
今回ご紹介した店以外にも、地域住民に愛されながら消えていった名店がたくさん存在する。今後も秋田県秋田市のみならず、日本各地の消えてしまった名店をご紹介していきたいと思う。あなたにとって心に残っている消えた名店はどこだろうか。
ほかにも「東北出身者が選んだ秋田グルメ / 実際に食べて本当に感動した秋田県の最高グルメ10選」という記事も掲載しているので、旅グルメの参考にしていただければ幸いである。
実は、閉店した「大勝軒」(秋田県秋田市千秋城下町5)も極上の街中華が食べられる名店だったのだが、それはまた別の話。

