リストラが実施されると、会社で何が起こるのか

  by 増田不三雄  Tags :  

「人員削減に伴う影響」(引用:リストラとワークシェアリング ・熊沢誠・岩波新書)というデータが興味深い。会社が人員削減をした時、会社内でどのようなことが起こったかをまとめたものです。

もしあなたの会社でリストラが実施された場合、職場でどんなことが起きるのか、データから推測することができます。

(1)まず、残された社員たちは「次は自分では…」「倒産するのでは…」という不安から士気が低下(51・5%)していきます。特に解雇・リストラが日常のアメリカと違って、日本の職場では、社員を解雇するのは幾つもの要件(解雇の4要件と言います)が必要なぐらい”滅多にない”状態。社内では動揺が広がるでしょうし、なかなか「売上を上げよう」「今後もこの会社で頑張っていこう」という気になれないのは、当然と言えば当然ですよね。

(2)次に、転職先に困らないような優秀な人材が外に流出(33%)しはじめます。日本では「転職年齢35歳限界説」なんてものもありますから、「優秀とはいえ、年齢が高いとなかなか転職できないんじゃないの?」なんて思ってしまいがちです。しかし、統計局の労働力調査によれば、40〜50歳代の転職者であっても、うち1割〜2割は転職後に給与が上がっています。優秀な人は、何歳であっても行き先がある、ということなんですねー。

(3)そして一方で、リストラを逃れたとしても、待っているのは「いなくなった人たちの仕事のカバー」です。残された社員たちは、なんとか生産性を上げたり(35・9%)、残業する(45・8%)ことで、いなくなった従業員の仕事をこなそうとします。しかし、士気が下がっているのに業務量が増える事態が起きれば、当然残された従業員たちのストレスは増加しそうですよね。

こうして見ると、日本の職場ではリストラが与える悪影響が強いことが分かります。例えリストラで企業の財務上の体質は改善したとしても、社員の士気が下がり、優秀な人が流出し、残された人の負担は増加する…。その先に待つのは明るい未来でしょうか?ううむ、私にはなんとも言えませんね。

「いよいよリストラ実施だ」なんて崖っぷちの経営者の方、あるいは「リストラが行われても自分は大丈夫」なんて自信がある社員の皆さんには、参考になるんじゃないでしょうか。「リストラも終わったし、我が社も再出発するぞ!」なんて簡単にはいかない、厳しい現実が見えてきます。

サラリーマンとして働きながら、職場のトレンドや問題を追いかけています。

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