1尾345万円で落札も!? 幻の怪魚「オオニベ」を捌いて食べてみた結果……!! →アレがとんでもないことが判明

みなさま、日本三大怪魚はご存じでしょうか? そう、アカメ、ビワコオオナマズ、イトウですね! そしてそれに次ぐ怪魚としてオオニベは知られています。

日本では釣り人以外にはあまり知られておらず安価なニベ科のお魚たちですが、韓国や中国では高級魚として扱われており、2007年には体長166cm、体重54kgの巨大オオニベが23万元(当時のレートで約345万円)で落札されて話題になりました。

また、天然もののオオニベは数が少なく「幻の魚」といわれています。そんなオオニベを入荷したと連絡を受け、急いで行きつけの魚屋「海鮮市場マルモト」(神奈川県伊勢原市伊勢原1−3−37) に行ってきましたε=ヘ( *’з’)ノ !

ニベ科、オオニベについて

ニベ科の魚は頭の中に耳のような働きをする大きな耳石(じせき)を持っており、浮袋を振動させて「グーグー」と愚痴を言っているような音を出すため、「イシモチ」や「グチ」という総称で呼ばれています。

ニベとオオニベはそっくりなのですが、オオニベは「胸ビレが第一背ビレ後端よりも短く、尾ビレは上下に直線状になってて中央部だけ少し突き出ている(W文字のように中央部が突出する形になる)」のが特徴で見分けるポイントだそうです。(・ω・;)ムズカシイ

そしてニベとオオニベの最も大きな違いは大きさです。オオニベは最大で1.5メートルほどにもなる巨大魚です。

オオニベの生息場所

もともとは九州などの暖かい海域で水揚げされる魚で、マルモトの田中店長も「昔はこの辺(関東)では全く見なかった。」と言っていました。しかし温暖化の影響で近年は関東でも水揚げされるようになったそうです。温暖化問題はここにもみられるのですね……。

天然のオオニベは「幻の魚」と呼ばれていますが、宮崎県では養殖が行われており、種苗放流の対象にもなっているためか、最近では「よく釣れる」という話も出てきています。

オオニベを捌く

今回も田中店長は生け簀で泳がせて待っててくださいました・:*+.(( °ω° ))/.:+スゴイー

オオニベは血の凝固がとても早く、すぐにジェル状に固まってしまうため、血抜きしたら素早く魚体を海水や塩水にさらすことが捌くポイントになります。

あとはウロコを剥がして(ウロコは大きいけど柔らかくて剥がしやすいです)普通に3枚におろしていきます。

ウロコはメタリックにキラキラ輝き、見る角度によって色合いが変化します。本当に綺麗!

ここで最大のポイントです。「ニベ科は浮袋が中華の高級食材になるらしいよ。」と田中店長が教えてくれました。

※血や内臓が苦手な方向けに画像を加工しています。

そういえば野食ハンターの茸本朗氏も「イシモチの浮袋は高価!」というブログや動画を公開されてたな。少しだけ調べてみると、1個100万円以上で取り引きされることもあるとのこと∑(゚Д゚)

浮袋も調理法があるみたいなので、それに関してはまた後日別でレポートします!(→コチラ

今回は田中店長にウロコ、エラ、内臓だけ落としてもらい、家に帰って観察しながら自分で捌きます(`・ω・´)

▲結構長くて鋭いトゲがあります。でもヒレ自体が柔らかくてぶっ刺さりづらいので、あまり危険視しなくて大丈夫そうです。

▲尾は羽のように柔らかく色味も美しいです。

▲頭は体と比べてとても小さいです。歯と口の中が硬く鋭いので、素手で勢いよく突っ込むと手が切れました。大けがはしませんが、頭を開く際は念のため手袋をした方が良いかもです。

▲私が捌くのが下手すぎてガッタガタの切り身になっちゃった。゚(゚´ω`゚)゚。血合いは濃い赤と褐色です。

▲皮つきだと身が透明で皮が透けているためか、灰色がかって見えます。

身は非常に柔らかくて、触るだけで水分量が多いのが分かります。そのため下手くそな私には切るのが難しい(・∀・;)

てか血合い骨なくない!?!?!? ある!?!?!? どっち!?!?!? 教えてくれよぉぉぉぉぉぉ。

分からなかったので今回は血合い骨はないものとして未処理で調理を行いました。

本日のお品書き

・刺身
・唐揚げ
・煮つけ
・ムニエル
・塩焼き
・清蒸(チンジョン)

オオニベの刺身

見るからにみずみずしく、透き通る白身でとても美味しそうです。オオニベはよく「マズイ」とか「水っぽい。味がない。単調」など言われますが、実際はどうなのだろう(・ω・;)

(。・н・。)パクッモグモグ ものすごくムチムチもっちりコリコリした食感で少しだけトロっとしています。見た目通りみずみずしいです!

脂が少なくあっさりしており、臭みやクセは皆無。でも評判通り淡泊で旨みが薄いので、可もなく不可もなくの単調な味です(この個体がまだ若く小さいせいもあるかもしれませんが)。

確かにこれだけ味がないと、マズイという評価をくだす人たちの気持ちも分かるなぁ(´ω`)食感も好き嫌い分かれそうだし。

オオニベを一晩寝かせてみる

というわけで旨みを引き出すべく20時間ほど寝かせてみました。

色は透明さが抜けて白っぽくなりましたね。味は変わったかしら? 食べてみよう(。・н・。)パクッモグモグ

衝撃的な美味しさに絶句……。今まで食べた刺身の中で一番美味しいかもしれない。

身はフワッと柔らかく、かつ、サクッと歯切れがよく、プリっとしたみずみずしさも残っています。そして旨みが非常に濃く、あっさりしつつも甘えびのような濃厚な甘味が口に広がります。

刺身が嫌いで食べられない友人も「なにこれ美味しい!!!!」とペロリと完食していました。

刺身界のビーフジャーキーかっていうぐらい旨みが濃いです。

これはこの美味しさが知れ渡ったら瞬く間に高級魚の仲間入りしそうな予感です。

惜しむらくは今回は刺身の状態で寝かせたので表面が乾いてしまったこと(>人<;) 寝かせるならサクのままが良さそうです。

※寝かせる前に熟成について調べたところ、「オオニベは足がはやいから熟成には不向き」「熟成させるなら傷み防止のため、血抜きして内臓を落としただけの、ウロコつきの状態で行うのが良い」という情報がほとんどで、刺身の状態で寝かせることに不安がありました。

が、今回に関しては傷みは全くなくとても美味しく頂けました(次の日も全然平気でした)。

なお、昆布締めで寝かせても昆布締めでなくても、味に差はほとんどありませんでした。

オオニベの唐揚げ

醤油とみりんにおろしニンニク、昆布茶少々を加えた調味液に1時間ほど漬け込んでから、天ぷら粉をまぶしてカリっと揚げました。

(。・н・。)パクッモグモグ これも美味しい(*´ω`*)!!!!!!

臭みは一切なく、カラッと香ばしい衣を噛むと、身がホロホロっと柔らかく崩れます。

しかし身は繊維質で噛みごたえがあり、噛むごとに旨みが口の中にジュワッと広がります!

水分量の多い魚なのでめちゃめちゃジューシー!!!!

これはもしかすると鶏の唐揚げよりもこっちのほうが好きな人もいるかもしれないです!

オオニベの煮つけ

醤油(大さじ3)、みりん(大さじ3)、砂糖(大さじ2)、酒と水(大さじ6)、しょうが(6スライスぐらい)を鍋に入れて火にかけます。

沸騰したらオオニベの切り身を皮目を上にして投入し、真ん中に十字の切れ込みを入れたアルミホイルなどで落とし蓋をして10分ほど煮ます。

魚に火が通ったら落とし蓋をはずして、煮汁をかけながら3分ほど煮詰めます。

身がふんわりホロホロになって、でも噛みごたえはしっかり残っていて旨しです!ご飯との相性もバッチリ!

オオニベはゼラチン質の多いお魚なので、次の日にはプルプルの煮凝りができてました(*゚∀゚*)

ムニエル

両面に塩コショウをし、小麦粉をまぶして、バターを溶かしたフライパンでこんがり焼きます。

身は火を通すと反り返り、脆く崩れやすくてひっくり返すのが難しい:(;゙゚’ω゚’): うまくひっくり返せずに崩れてしまいました(ノω<) アチャー

味はまぁ普通に美味しいです。身が締まっていて噛みごたえがあり、甘味もあります。 冷めても美味しい。

皮はゼラチンが溶けてフライパンにくっつきます。そして短時間ではサクッと焼きあがらず、硬くて嚙み切れません……。皮は弱火でじっくりを焼き上げるのが良さそうです。

オオニベの塩焼き~冷蔵庫にあったしなびた柚子を添えて~

ただ塩ふってグリルで焼いただけの一品です。火に入れた瞬間に急激に身が反り返って皮がはがれてビビりました。

ムニエルよりも身が締まって噛みごたえがあるかも? 柚子をかけると激うま!!!! でも柚子がなければ可もなく不可もなくなお味です( ̄ω ̄;)

オオニベはやはり非常に淡泊なお魚なので、何かで香りや旨みを補ってあげる調理法が良いです。

オオニベのカマと頭の清蒸(チンジョン)

耐熱皿にしょうがとネギのスライスを敷き、その上にオオニベのカマと頭をのせ、さらにしょうがとネギのスライスをのせます(しょうがとネギはお好みの分量でOKです。私はそれぞれ下に3スライス、上に3スライスほど使いました)。

お鍋に水を入れ、オオニベをのせた皿を置き、蓋をして20分ほど蒸し焼きにします(鍋の水の分量はオオニベの皿に水が入らない程度にします)。

蒸している間に醤油(大さじ3)、酒(大さじ2)、砂糖(大さじ1/2)を合わせてレンチンしてタレを作っておきます。オオニベから蒸し汁が出たらそれを大さじ2ほどとりタレに混ぜます。

オオニベが蒸しあがったら千切りにしたしょうがとネギ(分量はお好みで)をのせ、フライパンで熱々に熱したごま油(大さじ2ぐらい)をジューーーッとかけて完成です。

蒸すことで食感がふっくらホロホロもっちりになります。また、骨から良い出汁が出てオオニベの味がよく味わえます!

しかしゼラチン質が多い魚のためか、翌日になると少しアンモニア臭が出ました。そして魚臭さも少し出ましたので、カマと頭を使った清蒸はその日のうちに食べきったほうが良さそうです。

▼出汁をとった後の骨。みぞにプルプルのゼラチン質が詰まっています。

オオニベの評価

星4~4.5 ☆☆☆☆

とにかく寝かせた刺身が戦慄するぐらい美味しかったです!! ただこれはマルモトの田中店長が上手に丁寧に血抜きをし、神経締めしてくれたためかもしれず、私のようなど素人にはちょっと敷居が高い&まだ1尾しか食べていないし成魚の味を知らないという点がマイナスポイントです。

寝かせないと非常に淡泊で可もなく不可もなくの味ではあるのですが、唐揚げなど調理法によってはすごく美味しくなるお魚です!

ぜひ釣り上げたり、スーパーなどで切り身を見つけたら食べてもらいたいお魚です!

※画像は全て筆者撮影

人智を超えた世界の神秘が好きです。