従来は規制されていた選挙期間中のウェブサイト更新や『Twitter』を利用した投票の呼びかけなどを解禁する公職選挙法改正案が19日に参議院で可決・成立し、今年7月の参院選から本格的な“ネット選挙活動”がスタートすることになりました。そんな中、公選法改正案が成立した翌日の20日に民主党の細野豪志幹事長が『Twitter』で昨年11月に亡くなった政治評論家の三宅久之氏になりすましたアカウントを本人と誤認すると言う珍事が発生して話題となっています。
昨年12月の第46回衆議院議員総選挙における1票の格差をめぐって違憲判決が相次ぐ中、衆院選挙区画定審議会は3月28日に小選挙区を従来の300から5減の295として1票の格差を「1.998倍」とする新たな区割りを答申し、政府・与党はこの区割りに基づいた公選法改正案の審議入りに応じるよう野党に呼び掛けていました。しかし、民主党など複数の野党が比例区の定数削減を主張し協双方が折り合わなかったため、法案は与党単独で18日から審議入りし19日に衆議院の委員会で可決されました。
この問題に関して細野氏が20日に『Twitter』で「与党は、政府の0増5減法案だけを委員会で質疑し、我々の対案をたなざらしにして一切審議しようとしませんでした。そして強硬採決です」と民主党の立場を説明したのに対し、昨年11月15日に亡くなったはずの三宅氏を騙るなりすましアカウントが「何故それを、政権運営中に行わなかった?だから批判されるのである。」と批判し、三宅氏が既に亡くなっていることを知らなかった細野氏がなりすましアカウントを本人と誤認して以下のようにコメントしました。
三宅先生からコメント頂けるとは光栄です。与党時代、定数削減の協議を幹事長間で何度となく行い、民主党から妥協案も提示しています。
※該当ツイートは現在、削除されている
すかさず、このやり取りを見ていた第三者から昨年11月に亡くなった三宅氏がコメント出来るはずがなく細野氏がコメントを返したアカウントは“なりすまし”であるとの指摘がなされて細野氏は偽の三宅氏に対するコメントを削除しましたが、別のユーザーからは「あの、そんな調子でネット選挙活動解禁って大丈夫ですか?」と心配される始末。
細野氏が三宅氏の訃報について不知だった理由は、三宅氏が亡くなったのが昨年11月16日の衆議院解散前日だったためニュースの扱いが小さかったことや民主党が大敗・下野した総選挙の直後に細野氏の家庭内で不幸があったことなど複数の事情が重なった結果である可能性も否定できませんが、今年2月にもかつて政治団体・平成維新の会を率いていた経営コンサルタント・大前研一氏の語録をつぶやくBotを本人のアカウントと誤認して「大変、ご無沙汰しております」と呼びかけていたのに対して今回と同様に間違いを指摘されたことがありました。いずれにせよ、今回の珍事は“ネット選挙活動”本格解禁を前に、政治家本人もスタッフも情報発信ツールの使い方や流儀を試行錯誤しながら覚えて行く必要性を示したものと言えるかも知れません。