遠藤健慎インタビュー「今まで見せたことがない表情を出せたと思います」 長崎を舞台に切ない恋描く映画『こん、こん。』で主演

  by ときたたかし  Tags :  

若手俳優の遠藤健慎さんと長崎県在住で活躍する塩田みうさんがダブル主演で贈る映画『こん、こん。』が公開になります。

原案・監督は長崎県佐世保市出身の横尾初喜で、映画『こはく』に続いて今作も長崎県オールロケによる2作品目に。地元の若い世代が参加して活躍できる作品にしたいという想いから、自身の映画としては初のラブストーリーに挑戦。多くの県民キャストも出演を果たしています。

長崎を舞台に、美しい自然、人々、食、そして大学生の切ない恋の物語を描いた本作について、主演の遠藤健慎さんにお話をうかがいました。

■公式サイト:https://bluemountain-nagasaki.com/konkon/ [リンク]

●長崎を舞台にした切ないすれ違いの恋の物語は、観ていて辛くなる瞬間もありましたが、心に響く素敵な物語でしたね。

「賢星、よくないよねー!」と僕自身も思うところはありました(笑)。より一層、同級生の七瀬宇海(塩田みう)ちゃんに寄り添ってしまう瞬間が僕自身にもあったと思います。なので台本をいただいて話を覚えるというよりは、悲しいストーリーを自分の中で受け止めてしまったという感覚はありました。全部、賢星のせいだよね、俺のせいだよね、と。

●その大学生の堀内賢星というキャラクターは、遠藤さんはどう理解して演じたのですか?

賢星という男は、監督が僕に当てて書いてくださったんです。なので、引っ込み思案なところ、消極的になるところ、俺はフツーと自分で言い張りながらも本当はそうは思っていないところとか、僕自身が嫌いな自分の性格がたくさん入っているんです。

●それは演じにくそうと言いますか、大変な作業ではないですか?

監督に「課題だよ」と言われていました。それって最初は経験がほぼないアクションなどがたくさん出てくるということなのかなとも思ったのですが、そうではなく。自分がこれまで封印して来たもの、閉じこもっていたもの、羞恥心的なものを超えていくことが僕にとっては「課題」だった、ということだと思うんです。なので大変な作業ではありました。

●ロケ地である長崎の人々との共同作業は、いかがだったのでしょうか?

最初、アウェイかなとか思っていました(苦笑)。でも、とっても温かった。地元の方たちの想いが、とにかくすごかったんです。それはこの作品でどうにかしたいみたいなことではなく、あのひと夏をこの映画に賭けるという想いです。正直なところ長崎に入るまで、そこまで僕は思い至らなかったので、恥ずかしい気持ちになりました。初日で反省しました(笑)。単なる思い出作りじゃない、本気で映画を作る気持ちですよね。

●ふたりの恋物語は、観る人それぞれの心に響くものがあるかと思いますが、お芝居の最中、どういうことを考えていましたか?

いつも映画を観て、どうなってほしいか考えています。それが一番かなと思います。それこそ今回の『こん、こん。』だと、分かりやすく泣いてもらえたらうれしいし、泣かせたいと思って僕自身も演じているし、それがあるからこそすするべき演技が明確になる。それは意識しています。

●映画を待っているファンのみなさんには、今何を伝えたいでしょうか。

今回、受け身の遠藤健慎が常にいるんです。表情ひとつひとつ見たことないがないものがあるかも知れないし、だとすれば今までとは違う表情だと思うんです。

それこそみなさんが僕を知って下さったのは去年の『恋い焦れ歌え』『美しい彼』なのかなと思うのですが、それとはまったく違うキャラクター。今まで見せたことがないような表情、お芝居になってると思うので是非観てほしいです。「同じ人には見えない」という誉め言葉があると思いますが、そう思っていただけたら俳優冥利に尽きますね(笑)。

■ストーリー

何事も「フツー」な毎日を送る大学生・堀内賢星。ある日突然、同級生の七瀬宇海と衝撃的な出会いを果たす。「好き」がたくさんある宇海との会話はどこか噛み合わず、自分と真逆な彼女に戸惑うも、不思議な魅力に惹かれていく。

謎の踊りと染め物のTシャツ。苦手な激辛カレー。興味のなかったカメラ。部屋に飾られた大小の手形。空港が見える秘密の裏山。

賢星は、宇海と来るはずだった海岸を見つめ、「特別」な毎日を思い返す。愛に溢れた彼女の抱えるものとはなんだったのか?

豪快な宇海と、合理的な賢星。クスッと笑えて、すれ違いに切なくなる。長崎を舞台に描く、対極的なふたりの「恋」の物語。

(C) 2023 BLUE.MOUNTAI
2023年9月29日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

撮影=塚本桃

メイク:古橋香奈子
スタイリスト:吉田ナオキ

公式Instagram:https://www.instagram.com/kenshinendo_official/ [リンク]
公式サイト:https://www.hirata-office.jp/talent_profile/men/kenshin_endo.html [リンク]

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo