先週、名古屋にある「名門会」という家庭教師の派遣や個人指導を行う会社の面接試験を受けてきた。過去20年くらい自分の塾で指導してきて外の世界が全く分からなくなっているので外部の空気を感じたかった。昼間は空いているので情報収集と収入を兼ねて出かけてみた。
ネットで英語講師を募集している名古屋の予備校や専門学校を探すと、河合塾や駿台が出てくる。でも、そういう大規模予備校は誰でも受け入れるから「とんでも生徒」が多い。それは、バブルの頃に7つの予備校や専門学校で14年間講師をしていたから知っているのだ。
私はそんな生徒を教えたくない。それで、上位層のみを指導対象にしている予備校を探していた。実際に通った生徒のコメント欄が一番信用できるので、公開してあるコメント欄を読んでいたら「桁が一つ違うくらい授業料が高い」「講師に学生アルバイトがいない」「講師の学力は確か」といったコメントが並んでいた。
そこで、公開してある講師の経歴を見たら「東大卒」「京大卒」「早稲田卒」「慶応卒」などが並んでいた。私がかつて指導させてもらっていた予備校や専門学校には旧帝卒の講師がいなかった。それで、
「ここならまともな生徒が担当できるかも」
と思ってネットで履歴書を送ってみた。
すると、すぐに卒業証明書や顔写真付きの履歴書の提出を求める返信がきた。そこに、英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格していることとそのコピーを添付しておいた。すると、面接に来てほしいと連絡が入った。それで、先週面接に行ってきた。久しぶりの名古屋だった。
今までに勤務した予備校や専門学校は履歴書の提出だけで信用してもらえたけれど
「どんな資格をお持ちの方も筆記テストを受けてもらいます」
ということで、面接のあと1時間くらいの筆記テストがあった。
そのテストを見てビックリ。発音問題やら穴埋めやらが半分。もう半分は長文問題と英作文だった。発音問題は近年リスニングに代わって出題されることはなくなりつつあった。センター試験には出ていたけれど。穴埋め問題は私立大学によく出題されている。
そこで、私は発音問題と穴埋め問題は適当に間違いにしておいた。長文と英作文は完璧に仕上げておいた。こうしておけば
「この人は文法問題はダメだけど、英作文はすばらしい」
という採点結果になる。賢い人なら
「センター試験や私立志望の指導はしないというメッセージか」
と分かるはず。
面接から1週間経っても反応がなかったので
「あれだけ発音問題や穴埋め問題を間違えたら不採用になったか」
と思っていた。ところが、1週間後に名門会から電話があった。
「申し訳ありません。採用に関する会議がもめまして」
と前置きがあり、英作文がとても良い結果だけれど文法問題に少々ミスがめだつとの連絡。予想通りの結果だから驚かなかった。結局、採用が決まり登録用紙が来週送られてくるらしい。どうやら、こちらのメッセージは届いていないようだった。しかし、
「この講師は英作文専用講師」
と思ったのではないだろうか。
私は共通テストや私立志望の生徒は教えたくないのだ。それは、名門会の講師募集に書いてあったのだが東大、京大、阪大、名大志望の生徒の指導は1コマ90分指導で9000円だけれど、レベルの低い生徒の指導は5000円程度なのだ。どうせ指導するなら報酬の高い方の指導がしたい。
面接官がざっくばらんに語ってくれたが、やはり富裕層をターゲットにしたビジネスモデルらしい。そりゃ、桁違いの授業料を払える生徒の保護者は富裕層に違いない。だから、国立大学の医学部を志望する生徒も多いらしい。偏差値が65から70超えの生徒の指導は普通の講師にはできないから講師を雇うのは簡単ではないはず。
私のように京大二次で8割を超える成績表を開示して、「私の京大合格作戦」に3年連続で載っていて、英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格している、アメリカで教師経験や河合塾学園などの有名校で指導経験がある講師なんて滅多にいないはず。
たぶん、こちらの計画どおり賢い生徒を担当させてくれるのではないかなぁ。