渡辺大知「ウブなふたりですが、切実なセリフもたくさんある」究極の恋愛オムニバスドラマ『初情事まであと1時間』インタビュー

  by ときたたかし  Tags :  

橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平など豪華監督陣が同名コミックを原作に脚本を書き下ろし、恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間を赤裸々に描く恋愛オムニバスドラマ『初情事まであと1時間』(MBSほか・“ドラマ特区”枠)が現在放送中です。可笑しくて切ない、不器用でメンドクサイ、だけどどうしようもなく愛おしいというアノ瞬間を切り取ったドラマ群で、各話とも実力派俳優が集結。等身大の恋を体当たりで熱演していますが、第7話「プラスマイナス、インタレスティング」に出演する渡辺大知に、多彩な恋愛事情を通して浮かび上がる人間模様についてうかがいました。

■公式サイト:https://www.mbs.jp/hatsu-jouji/ [リンク]

■ストーリー

初情事…それはすべての恋人たちに一度だけ訪れる特別な瞬間。
ソノことで頭がいっぱいなのになかなか切り出せなかったり、
そんなつもりはなかったのに突然そんなことになってしまったり。
それぞれの想いが交錯し絡まりあう愛の営み直前の1時間。
日常にありふれた、知っているようで知らない、知ってみたい……。
いろんなカップルの、いろんな愛のカタチを、ちょっと覗いてみませんか?

●テーマを描くための着眼点がすごいと思いましたが、最初の印象はいかがでしたか?

情事にいたるまでのわずかな時間を描いたシリーズを作ると聞いて、面白そうな企画だなと思いました。豪華な監督たちも参加されるということで、すごくわくわくしました。その上で面識もあり、信頼も置いている大九監督の回に出演させていただけるというのがすごく光栄だなと思って、台本を読む前からやりたいなと思いました。

●出演は7話ですよね。物語の感想は、いかがでしたか?

コミカルでファンタジーなお話ではあるんですが、読んでいて親近感がわくというか、ウソみたいな話なのにすごく感情移入できちゃうところが、大九マジックにかかった脚本だなと思いました。どうすればいきいきとしたお話にできるか不安もあったんですが、現場で趣里さんがどういう感じでお芝居をするのか想像できなかった分、かえってわくわくしました。

●演じられたキャラクターとの共通点はありましたか?

お馬鹿な感じの役をたくさんいただくので、そう見られているのかなと思うんですけど(笑)、彼のように諸突猛進しちゃうタイプは共感もするし、あこがれている部分もあるので、すごく演じやすいところがあって、やっていて楽しかったです。自分にもそういう部分はあるけど、日常では抑えちゃっているので、似ているなではなく、わかるなあと思っていましたね。

●コミカルななか映像も素敵でした。その中なで何を気をつけて、どう演じましたか?

原作の雰囲気を真似しようとするんじゃなくて、そこで描かれている人間臭い感じ、伝えようとしている大事な部分を、大切にしていました。僕はそういうつもりでいて、大九さんもたぶん、その思いだったと思います。原作のままではなく、生身の人間がどう置きかえてやればいいかを考えていたような気がして、そのために映像的にもきれいにカッコよく見えるようにしていったんだと思います。

●その大事な部分とは、具体的には何でしょうか?

人と人が出会って情事にいたる短い時間の中に、人は自分のことをどれだけわかっているのかとか、相手のことをどれだけ自分は見れているのかという葛藤は誰の中にもあって、一言で言うと、相手のことを考えるとはどういうことか、というテーマがあるような気がしたんですよね。それこそ情事にいたるってことは、相手とどう向き合うかみたいなことじゃないですか。

●つまり、対話になりますよね。

相手のことを考えているうちに、自分自身のことにも気づかされるみたいなこともあると思うんです。他者と自分との共存関係みたいなものをすごく考えさせられる内容だなと思いました。そういうところを引き継ぎたいなと思ったんですよね。

●今日はありがとうございました!ドラマを待っているみなさんへメッセージをお願いいたします。

僕が出演する回のエピソードでは、嵐だ雷だと、劇的な状況なので(笑)、その映像の仕上がりも楽しみで、ワンシチュエーションのドタバタした会話劇がもちろん見所なんですが、そういう映像を作り出す特殊効果にも注目してほしいです。あと、引いて観るとバカバカしいくらいウブなふたりですが、切実なセリフもたくさんあるので、観ていて一緒に考えたくなるだろうし、笑いながらも自分のことに置き換えて考えるのも楽しいドラマになっていると思います。

(C) 「初情事まであと1時間」製作委員会

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo