スカウトマンVSヤクザの果てなき闘い!全国の繁華街“スカウト狩り”の真相とは?!

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

今年6月4日午後10時、東京にある日本最大の歓楽街・新宿歌舞伎町2丁目の路上で、指定暴力団住吉会系組員4人とキャバクラや風俗での仕事を女性に勧めようとするスカウトグループの男3人が、互いに体を投げ飛ばすなどの暴行を加えたとして、傷害や暴力行為等処罰法違反などの容疑で警視庁に逮捕されました。

なぜこんな事件が起こってしまったのか? それは両者がスカウトマンの引き抜きを巡り、トラブルになったからということです。ヤクザと強気で渡り合うスカウトグループの存在が明るみになり、話題になりました。

スカウトとは、歓楽街で通りすがりの容姿のいい女性に声をかけて、キャバクラやガールズバー、風俗店やモデル、AV女優などで仕事をするように誘って、女性の紹介料を報酬として受け取る仕事です。一般的にその店や会社との雇用関係はない場合が多く、フリーでスカウト活動を行うことが多いとのこと。

事件が起こった数日前から、暴力団組員はターゲットとなったスカウトマンを歌舞伎町の路上で捜しまわって、“スカウト狩り”などとネット上は騒然。事件を起こした当事者たちは、逮捕当時いずれも否認や黙秘をしていたといいます。

本来は暴力団同士の抗争で血で血を洗うヤクザが、女性をメシの種にすることを生業とするスカウト集団との間で、なぜ全面抗争を起こすようになってしまったのか。今回はこの事件について、様々な事情通にインタビューをして解説していきたいと思います。

スカウトグループ『N』とは?

まず、ヤクザと全面的に争っていると思われるスカウトグループについて、東京を根城に風俗店を展開している代表者のE氏に話を聞きました。

丸野(以下、丸)「このスカウトグループとはどこのことなんでしょうか?」

E氏「丸野さんも知っていると思うけど、以前あった『〇〇』が前身のスカウトグループ

丸「ああ、『〇〇』ですか」

E氏「そこに関してはうやむやになっているとは思うけど、スカウトグループ『N』に成長したわけですね。ここはとにかく商売がうまいし、資金力がある。若い連中がついていくし、結束力が強い。相当な組織力で巨大ですよ。確実な人数はわからないけど、数百人規模でしょうね。力をつけてきたから、暴力団に対して敵意がむき出しになってきたということがあるかもしれない。独立系武闘派の半グレがバックに付いているという噂もある。ヤクザ側は影響力が大きくなられると困るわけだから、“出る杭を打つ”ともりで拳の力に頼ると……

丸「スカウトのグループって多くても10人くらいのものじゃないですか? すごい人数ですね」

E氏「『N』は、ここ数年ほど前から歌舞伎町でスカウトをスタート。その実力で手を広げて、歌舞伎町のほかには、六本木や渋谷、池袋、大宮、横浜など首都圏とその近隣エリアで活動しているようですね。これは、Webでのスカウト求人と同時に行っているようで、風俗グループ企業やAV制作会社、モデル事務所など様々な企業が高い報奨金を出していると噂です。全国の繁華街に広がっているようですね」

丸「スカウトって重宝されているんですね、そんなに」

なぜスカウトが珍重されるのか?

しかし、なぜそこまでスカウトは大切にされているのか。そのスカウトとヤクザが全面抗争になるという理由がわかりませんし、スカウトがなぜそんなに力を持っているのか、よく理解できません

そこで、さらにスカウトについて詳しいライターのW氏に事情を聞きました。

W氏「スカウトに沈められると、入ったら抜け出せない“女が堕ちる仕組み”があるんですよ。簡単にいうと、――例えばいろいろな飲食店や風俗店が入店している観光ビルがあるとしますよね。スカウトに声をかけられて、キャバ嬢としてお店に入店した女が、店長にそのビルの中にある闇カジノに連れていかれて、借金をする。それを返済するために同じビルの風俗店へ移籍。徐々に借金を返している途中で、また同じビルにあるホストクラブへ誘われ、ハマってまた借金……

丸「ちょっと待ってください、蟻地獄じゃないですか!

W氏「そのうち、バンス(前借り)を繰り返して、挙句の果てには、AV出演やデリヘル・ホテヘル、それから系列のビル内にある売春闇風俗にまで売られるハメになるわけです。ひとりの女で、それだけ錬金ができると……。結局、食事や欲望を満たすのはひとつのビル内で完結してしまうんですね。ひとつの会社に預けられた女は、何度も何度も煎じられていくわけです。だから、上物の女性を紹介されて、数十万の報酬を払っても痛くもかゆくもないわけです

丸「恐ろしいですね」

高級時計に高級車、タワーマンションに住むスカウトマン

複数の女性に仕事を紹介するだけで、巨万の富を得られる夢のある仕事だという、スカウトマン。では、実際にスカウトを仕事にしていた男性はどのように考えているのか、元スカウトのH氏(26歳)にインタビューする機会をいただきました。

丸「実際に『N』でスカウトをされていたわけですか」

H氏「はい。キッカケは、同級生からの誘いでした。『N』の先輩からスカウトマンとしてのノウハウを伝授されて、僕は渋谷の路上が担当で……。スカウトした女の子が働く店からは、10万くらいもらえましたね。もちろん、その子が売り上げた金額からバックマージンをもらえるお店もあって、いいときには月収で60万以上あったんじゃないですかね。実家暮らしだったし、数日働くだけで贅沢できましたよ」

丸「上納金のようなものはなかったんですか?

H氏「僕たちからはないです。でも話を聞くと、僕らの売り上げからは別でいくらか抜かれていたようですね。そりゃ、幹部の皆さんはタワマンに住んで、高級時計のウブロやオーディマピゲを着けて、ベントレーなんかに乗ってるんですから、吸い上げないとできないですよね

丸「暴力団とのトラブルは?」

H氏「数年前、僕がいたときにはなかったですね。ここ最近、『N』がさらに力をつけたからじゃないですかね。ヤクザは縄張りの整理はしていましたが、僕自身は仲が悪いわけではなかったですよ

通行人が行き交う中で起こった暴行傷害事件。

東京オリンピックなどを控えて、都内にある繁華街では警察による安全対策が進められてきました。

今回の取材を鑑みると、警視庁組織犯罪対策4課が事態を重くみることは当然で、粗暴性があるとみられるスカウトグループの実態解明、関係者の摘発などを急いでいるといいます。安全で安心して過ごせる街を目指し、頑張っていただきたいと思います。

(C)写真AC
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丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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