調理時間
炊く前5分、炊けたら40秒
材料 2人分
米 1合
にんじんジュース 1合分(180cc)
しらす お茶碗かるく1杯ぶんぐらい
おしょうゆ スプーンなみなみ 2杯
塩
作り方
【1】
米をとぎます。塩をふたつまみ。おまじない程度入れてください。【2】
お米におしょうゆをまわしかけ、しらすをのっけます。
にんじんジュースでごはんを炊きます。
【3】
炊けたら混ぜます。
【ワンポイント】
味が足りなかったらお塩で調整を
あればごま油をひとたらしか、ごまをまぶしてもおいしいです。
●にんじんジュースとしらすの混ぜごはんのお話
できれば、包丁をつかいたくない。
調理に使うおなべも一つですませたい。
もりつけるお皿も一つですませたい。
材料の皮剥いたりとかめんどくさい。
会食の多い仕事柄、結構いろんなお店の味を覚えさせてもらいました。
酒飲みなので甘いものはほとんど食べないのですが、ごはんものや揚げ物、
おつまみになるようなしょっぱいおかずなどを食べるのは大好き。
お料理を作るのももちろん嫌いではない、
というか一時期没頭していたことがありました。
多分仕事がつらかったり家庭の中のごたごたがあったりで、ストレスのはけ口を
お料理を作ることに求めていたんだと思います。
火や刃物を使う行為は危険が伴うので、調理しているときはいろんな
悩み事を考えずにすみますし、出来上がったものは、食べたら消えてくれる。
その頃は、自宅でどうアレンジするか、ということを念頭に置きながら
食べ歩きをしていたと思います。
けれど、あるときとてもおいしいプロのお皿を前にして
「これ、自宅でどうやったら作れるだろうか」と考えていた時にふと思いました。
「どうやって作ったんですか?」と聞くこと考えることが何かきっと野暮だろうなと。
むしろ失礼かもしれない、とか・・・。
プロの作るごはんの味を「家庭で再現」することなどできるわけがない。
いまは「好きな味」を記憶にだけ残して、自分なりの作り方に変換することにしています。
気楽なお料理というか実験というか。
人に食べさせて「おいしいとね」という言葉の見返りを求めない
自分のためだけに作る食事が私は好きです。
「寺内貫太郎一家」や「阿修羅のごとく」など、多くの名作を残した
脚本家の向田邦子さんは、締め切りの合間につくる気楽なお料理の達人で、
いくつものレシピを開発しました。
エッセイに発表するだけではなく、妹さんの向田和子さんが切り盛りする
小料理屋「ままや」のメニューにも登場させました。
そのメニューの定番だったのが、「人参としらす」。
すり下ろした人参としらすを、ごま油としょうゆで汁気が飛ぶまで炒るだけの
かんたんなもの。かんたんだけれどごはんの進むあとの引く味。
「おいしいのはわかってるけど、にんじんをすり下ろすのがめんどくさい。
それに、洗うお皿は一つですむごはんがいい」
という、ずぼらの神さまにもどつかれそうな理由で、わたしはアレンジを考えました。
にんじんジュースでごはんを炊いちまえ、というものです。
野菜のもっているアクやえぐみをやわらかくして、飲みやすいジュースにしているものを
炊き込んでいるのですから、一口食べると、くせのない優しい味。
しらすのやさしい塩気もうれしいです。
●ごちそうさまでした。