「クィア(Queer)」という言葉をご存じだろうか? 英語で「奇妙な・変な」を意味する、性的に「ふつう」でないとされる人に対する蔑称として使われてきた言葉だ。
その「クィア」を逆手にとって、「ふつう」といわれる性のあり方を問い直す映画祭がある。2005年から始まり、今年で13回目を迎える「関西クィア映画祭」だ。
映画祭のテーマはLGBTや、同性愛にとどまらない。性と民族、障害など、複数の課題が交差する映画作品も、数多く取り上げてきた。13回目となる今年は、特集上映・招待作品に加え、公募から選りすぐられたコンペ作品など36本が、大阪と京都の2都市で上映される。
【大阪】 9/21(土)-23(月祝) とよなか男女共同参画推進センター すてっぷ
【京都】 10/18(金)-20(日) 京都大学西部講堂
ジュールズ・ロスカム監督、10年の軌跡を追う特集上映
今年の注目プログラムは、アメリカ人“クィア”監督 ジュールズ・ロスカムの特集上映。
音楽専門チャンネル・MTVからキャリアをスタートしたロスカム監督は、2005年から“クィア映画”を制作。デビュー作「トランスペアレント」(*画像)はアメリカの公共放送PBSでの放映の他、世界50を超える国々で上映された。
関西クィア映画祭では同作に加え、ロスカム監督の「トランス物語に抗して」(2009)、「クィアな仲間の作り方」(2012)、「パパのやり方」(2018)他、7作品を上映する。
コンペティション部門を新設、6作品を上映
同映画祭は、日本のクィア映画制作を後押しするために、今年からコンペティション部門を新設。特別招待作品「マイ・シェアメイト」(田中麻子)の他、
「痛みのサンバ」(浜村満果)、「普通の恋」(飯田藍)、「愛達」(稲津勝友)、「半径3メートル以内の片隅で」(佐島由昭)、「お前、本当に梅吉か?」(高山直美)、「Dancer of the woman」(小野光洋)の6作品を上映。監督トークセッションの後に、観客投票によって受賞作品が決定する。*( )内監督名、敬称略
映画祭は、シネコンで観られない名作に出会えるチャンス。この機会に、普段あまり馴染みのない“クィア映画”に触れてみてはいかがだろうか?
第13回関西クィア映画祭
https://kansai-qff.org/ [リンク]
※ 画像は映画祭提供