慈善団体を支援するためのアプリが宣伝のために、ヨーロッパアルプスで放牧されている牛たちとのキスを呼びかけていることについて、オーストリアの環境相が「危険で無意味である」と警告を発した。
このアプリは、ユーザーが人目につく動画を投稿すると、その動画から得られた収益の半分を慈善団体に寄付することのできるアプリ。宣伝のためにインフルエンサーたちが牧場で牛と“ベロチュー”している動画をアップし、「#KuhKussChallenge」とハッシュタグを付けて他のユーザーにも参加を呼びかけている。ある種の人たちにとっては、承認欲求を満たすと同時にいいことをした気分にもなれるアプリとして需要があるのだろう。
動画:KuhKussChallenge – Landliebe 2.0 bei Castl | Castl App(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=y0NmDNlE5HY[リンク]
この宣伝行動について、オーストリアの環境相は「ヨーロッパアルプスでの不注意は過去に重大な事故を引き起こした。まったく危険で無意味なイタズラだ。この種のチャレンジはまったく理解できない」と警告を発した。
オーストリアでは2019年2月、牛の群れに踏まれて亡くなった行楽客の遺族が起こした民事訴訟について、牧草地を柵で囲っていなかった牧場主の過失を認め6000万円もの賠償金を支払うよう命じる地裁判決が出たばかりだった。ドイツから山歩きに来ていた45才の女性が、犬を連れて柵のない牧草地(牧草地を示す標識は立っていたという)に侵入したために、犬に興奮した牛の群れに襲われてなくなった事故だった。
よそ者が勝手に引き起こした事故で到底払いきれそうにない巨額の賠償命令が出たことについて、現地の農業団体は「まったく現実が見えていない判決だ。放牧できなければ牧場を完全に閉鎖するしかない」と反発。この事故を受けてオーストリア政府は、山歩きやハイカーのための“行動規範”を公表しようとしていたところだった。
環境相は「牧草地は動物園ではない。適切に行動しないと母牛は子牛を守るために攻撃的になることもある。このような宣伝行動はアルプスの牧草地で行楽客と牧場主が互いに良い関係を築くための我々の仕事を妨げる」とグロテスクな宣伝行動を非難した。
画像とソース引用:『YouTube』『kurier.at』『thelocal.de』より
https://kurier.at/chronik/welt/gefaehrliche-influencer-challenge-kuesse-eine-kuh-mit-oder-ohne-zunge/400496335[リンク]
https://www.thelocal.de/20190223/austrian-farmer-ordered-to-pay-german-widower-over-fatal-cow-attack[リンク]