良心に背くということ

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『暴力脱獄』という映画がある。
監督はスチュアート・ローゼンバーグ、主演はポール・ニューマン。
日本では1968年に公開された映画である。

『暴力脱獄』は刑務所の腐敗を描いた映画だ。
看守はみな、囚人に過酷な労働を強いて暴力で彼らを支配する。
それが正義だと信じている。
しかし、ある時一人の看守が懲罰房の外から囚人である主人公にこう語りかける。

「俺達も本当はこんなことをしたくはないんだ。悪いな。これが仕事なんだ。分かってくれ」

今まで、看守たちの理不尽な態度に全く怒る様子を見せなかった主人公はこの時初めてこの看守に対して激怒する。
なぜ、激怒したのか?
それは、この看守が良心に背いた行為をしたからなのだ。

看守たちは刑務所で粛々と職務をこなしている。
囚人を暴力で支配すること、それこそが正義だと信じて。
しかし、この看守は違った。
心の中で、本当は間違っていることなのだ、と分かっていながらもそれを隠していた。
仕事だからという言い訳を盾に自分の良心に背いていたのだ。

仕事だからという理由で、良心に背くことは肯定され得ない。
自分の良心に背くことは、大きな罪なのである。
各々のこの行為が巨悪を生み出し、果ては戦争までをも巻き起こす。
『暴力脱獄』は良心に背くことの罪深さを描いた傑作である。

※画像 IMDb http://www.imdb.com/title/tt0061512/

映画好きの経済学部生。 専攻は産業組織論。 来年から某SIerでエンジニアとして勤務予定。 ゆとり世代です。

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