「手間なし時短で美味しい!」米粉パンの新バイブル
日本で古くから食べられてきた主食、米。しかし近年ではパンの消費量が増大し、美味しいパンを取り扱うイベントがあちこちで開催されています。その一方で、食物アレルギーなどから小麦粉が主原料のパンを食べられない、という悩みもよく聞かれるようになりました。
ご飯よりも手軽なパンは食べたいけど、アレルギーは避けたい……。そんな人に嬉しいのが米の粉で作った“米粉パン”。でも、いざ買いに行ってもバリエーションが少なかったり、小麦粉のパンに比べると値段が高くてガッカリした経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そんな悩みを吹き飛ばしてくれるのが『発酵いらずですぐおいしい かんたん米粉パン』(多森サクミ/立東舎)。自分で「食べたいときすぐに」作れて「焼きたてホカホカ」を美味しく食べられる、米粉パンのレシピブックです。
偶然の発見で……パンづくりの難関“発酵”を攻略!
著者の多森サクミさんは、神奈川県川崎市で米粉を使ったパンやお菓子の教室“あれこれキッチン”を主宰する、米粉料理研究家。米粉を使った新メニューを多く発表しており、教室や出張レッスンはいつもキャンセル待ちが出るほどの人気ぶりです。
今回、多森さんが注目したのはパン作りの最難関とも言える“発酵”。パン作りの工程で欠かせない発酵は、気温などの条件に左右されやすく、発酵しすぎや発酵不足を起こすこともしばしば。実際にパンを作ってみたけど、ここで失敗した人も多いのでは?
おまけに発酵にはそれなりの時間がかかるので、「食べたい!」と思って作ってすぐ食べられるわけでもありません。逆に、発酵させずに作る「クイックブレッド」「即席パン」などは味がイマイチな仕上がりになりやすく、風味が落ちることも。
ところが、「偶然の発見で」多森さんは「発酵いらずですぐ作れる」のに「サクサクふわふわの美味しい米粉パン」レシピを編み出すことに成功。本書は、その黄金比を活かした多彩なレシピが満載です。
米粉パンでここまでできる! 多彩なレシピ約50点
米粉パンの魅力は、しっとりふんわりした食感とやさしい味わい。元がお米なので、お菓子から惣菜パンまでどんな食材とも相性バツグンです。
発酵いらずで作る基本のミニ食パンから、まるパン、コッペパンなど、普段の食卓に嬉しいシンプルなパンのほか、コロッケパンやおやき、カルツォーネなどの惣菜パン、シナモンロール、揚げパイなどの菓子パンレシピまで、たっぷり約50点掲載。シンプルなパンを使って楽しむサンドイッチやタルティーヌのアイディアも、お弁当にピクニック、持ち寄りごはん会など人が集まる日に活躍しそうです。
主食からスイーツまで、米粉パンでここまでできるのか! と思える豊富な内容ですが、すべてのレシピが小麦粉・卵・乳製品不使用なので、アレルギーの方にも嬉しい仕様。基本のレシピはシンプルで簡単、子供と一緒に作ったりもできそうです。生地の混ぜ加減の見極めは慣れるまで少し難しく感じるかもしれませんが、この本の特設ページ(http://komeko100.com/books/nonferment.html)で生地の混ぜ加減の動画を紹介しているので、米粉パンを作る前にのぞいて見ることをおすすめします。
米粉パン作りに関する素朴な疑問や「膨らまない」「焼き目がつかない」といった失敗の解決策、食材の代用情報など、さまざまなトラブルシューティングは巻末のQ&Aページに。また、米粉パン調理のための道具や材料の話、焼きたてはカットしずらい米粉パンの切り方・保存のコツなどもフォローしているので、隅から隅まで本に目を通せば、確実に美味しい米粉パンを焼くことができます。
発酵を待つことなく、食べたい時にすぐ作れて、しかも美味しく体にいい。まさにいいことずくめの米粉パンレシピ! 日々進化する米粉パンワールドを、ますます手軽に楽しめる最新のバイブルとして、必読の一冊です。
撮影:馬場わかな
スタイリング:駒井京子
料理の本棚シリーズ
『発酵いらずですぐおいしい かんたん米粉パン』
(立東舎刊)著者:多森サクミ
定価:本体1,400円+税PROFILE
多森サクミ(たもり・さくみ)
川崎市の古民家にて、米粉のパンとお菓子の教室「あれこれキッチン」を主宰。教室のほか、全国各地で開催する出張レッスンも常にキャンセル待ちがかかる人気ぶり。日々新しいグルテンフリーメニューの研究開発にいそしむ。レシピづくりのこだわりは「キメと食感」。企業や雑誌へのレシピ提供も行う。著書に『フライパンでできる 米粉のパンとおやつ』(立東舎)、『はじめてでもおいしく作れる 米粉のパウンドケーキ』(マイナビ出版)などがある。http://komeko100.com