■先日、勤務校の文化祭が行われた。台風24号の影響で時程の変更があったりしたが、大勢の方が訪れ、とても盛り上がっていたように思う。ところで、文化祭の出し物といえばどのようなものをイメージするだろうか。定番はやはり飲食物の模擬店。そして、縁日や人探しなど来場者参加型のゲーム企画。そして、演劇・ダンス・合唱などの芸術発表などが挙げられるだろう。しかし、最近の文化祭ではかつては見られなかった新しいタイプの出し物が登場するようになってきた。
■近年、SNSが中高生の間に広く普及している。なかでも、インスタグラムがブームになっているようだ。その影響を受けているのか、文化祭の出し物として「インスタ映え」を狙ったフォトスポットの展示を行うクラス・学校が急増している。私の勤務校でも、いくつかのクラスがフォトスポットの展示を行っていた。具体的には、黒板をチョークなどでポップな色合いに装飾したり(黒板アート)、カラフルな風船で教室内を装飾したりし(風船アート)、訪れた人にそこで写真を撮ってもううというものだ。撮影した来場者の多くは、インスタグラムにその写真を投稿する。このような出し物は、インスタグラム登場以前にはまったく見られなかった新しいタイプの企画だ。
■「インスタ映え」を文化祭の出し物に取り入れるセンスは、流行に敏感な中高生ならではだろう。フォトスポットは来場したお客さんに楽しんでもらえる出し物である。インスタグラムを利用しない生徒の保護者世代の来場者がやや置いてけぼりにされている感は否めないが、私は現代の世相を反映した出し物として好意的に眺めていた。また、フォトスポットで撮影した来場者が学校名をタグ付けしてインスタグラムに投稿することによって、学校の知名度アップにもつながるというメリットもある。もちろん、文化祭の展示がフォトスポットばかりになってしまうのは味気ないので、従来の模擬店やゲーム企画なども存続してほしいと思う。新しい要素を取り入れながら進化していく「文化祭」。来年もさらに盛り上がる展示を生徒たちがしてくれることを期待したい。