マーケティングと広告業界に人工知能が与える5つの影響

  by 早瀧正治  Tags :  

自動運転車や人型ロボットなどに人工知能が搭載され、人工知能は大きな注目を集めていまが、デジタルマーケティングの分野でもAI利用は進んでいます。

この記事では、マーケティングと広告業界に人工知能が与える5つの影響を紹介します。

1 – 検索

昔、Eコマースサイトで商品を検索しても、欲しい商品が見つからない、なんてことはありませんでしたか?2005年なら、クロックスが欲しくても、「クロックス」という言葉を知らないと見つけられませんでした。検索エンジンは昔と比べってずっと賢くなったので、簡単に探している映画や商品を、NetflixやAmazonで見つけられます。

このような検索機能の向上は、以下のテクノロジーの進歩が大きく影響しています。

  • Elasticsearch 分散処理マルチテナント対応のオープンソース検索エンジンの普及。この検索エンジンは、小規模なEコマースストアでも、キーワード一致以上の検索機能を導入できます。
  • Indix などの、DaaS(データ・アズ・ア・サービス)企業により、巨大なソースからデータを取得し、検索エンジンに使う人工知能の教科学習に利用できます。
  • 一般的な誤字脱字を認識するソフトウェアの普及
  • 自然言語検索

Googleの Talk to Books は、アプリに自然言語で問いかけると、Googleの人工知能が、100,000冊(6億文)を検索し、本を引用して答えてくれます。

近い将来、検索はキーワードを入力するものではなく、自然な日本語で話しかけるものになるでしょう。

2 – 推薦エンジン

推薦エンジンは、Amazonの「閲覧履歴からのおすすめ」に使用されているアルゴリズムです。Eコマースだけでなく、Spotifyのおすすめプレイリスト、ブログやウェブメディアのおすすめ記事など、あらゆる企業によって活用されています。

このテクノロジーは、人間が手動で設定したパラメータに従って製品のリストを作るようなシンプルなものではありません。まるで、人間が友人に音楽をお勧めするように、ニュアンス的なデータから顧客の嗜好を読み取り、音楽や製品などをおすすめします。

3 – プログラマティック 広告

プログラマティック広告とは、データに基づいたリアルタイムな広告枠の自動売買のことです。 運用型広告とも呼ばれ、古典的な例としてはGoogle Adwordsがあります。このプロセスは、人工知能を使用し、モバイル、ディスプレイ、ビデオ、ソーシャルチャネルにおける、リアルタイム自動入札機能を活用しています。

 

人工知能技術には、訪問者の行動を分析するアルゴリズムがあり、コンバージョンの可能性の高いオーディエンスに対してリアルタイムの自動キャンペーン最適化が可能です。

 

自動買い付けプログラムには、DSP、SSP、DMPが利用されています。DSP(demand side platforms)は、買い付けを行うためのプログラムです。DMP(data management platforms)は、クッキーデータを分析して、ターゲットオーディエンスにリーチしやすくするデータ管理プラットフォームです。

プログラマティック広告は、広告枠の販売側と、広告を出稿したい企業に、巨大な経済性をもたらします。また、人間が介在しないという点で、個人情報保護にも大きなメリットがあります。

 

4 – マーケティング予測

マーケティングデータから得られるインサイトの一部です。しかし、ビジネスインテリジェンスデータの最も直接的なマーケティングへの応用は、AIの開発によって大幅に強化された予測機能を支援する能力です。

Google Analyticsを使ったことがある人はご存じでしょう。多くのマーケターは、データの不足よりも、データの洪水のほうが大きな問題です。人工知能とビジネスインテリジェンスツールは、っでー他の処理と分析を自動化し、この問題を解決します。

クリック、ビュー、ページの滞在時間、購入、メールへの返信など、インターネット上の顧客による行動の大部分は、定量化ができるので、人工知能をトレーニングするためのデータは十分にあります。

人工知能を活用したマーケティング分析がより商用化されれば、予測的マーケティングはより進化するでしょう。

5 -RPAによる事務作業の自動化

マーケターの仕事はマーケティングだけではありません。会社で勤めている限り、上司や顧客、株主のためにレポートを作成したり、メールに対応したり、出張を申請したりなど、数多くの事務作業が存在します。これらは、本質的な意味で、付加価値を生む作業ではありません。また、マーケターの専門知識と経験をフルに活用するものでもありません。

WorkFusion などが開発・提供している、人工知能を搭載したロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)は、複数のソフトウェア、データベース、パソコン、書類などをまたいだ事務作業を自動化するソフトウェアで、すでに銀行など繰り返し業務を大幅に自動化し、コスト削減と作業の正確性向上に貢献しています。

RPAが導入されれば、マーケティングの担当者は、わずらわしい事務作業に時間をとられず、本質的な仕事により時間を集中できます。

リモートワークで海外企業と働きながら、ヨーロッパの田舎町でスローライフを送っています。

Twitter: @mhayataki