アメリカの若者の間でかつてないほど銃規制を要求する運動が盛り上がっている中、『YouTube』のホワイトハウス公式チャンネルが、FPS(鉄砲でもって撃ち合うゲーム)などの中からグロいシーンばかりを集めた動画を公開しました。何の説明もなく唐突に掲示された政府公式のこのグロ動画には、およそ2000件の「いいね」評価に対して6.7万件もの「悪いね」が付き、否定的なコメントが殺到。一体、何の目的でアップされたのでしょうか?
動画:Violence in Video Games(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=0C_IBSuXIoo [リンク]
赤い血がドバドバ流れたり人体が切断されたりと、なかなかエグい表現を含む動画なので閲覧注意。世界中のゲーマーに衝撃を与えた『Call of Duty:Modern Warfare 2』から「殺せ、ロシア人だ」も。
この動画についての解説のようなものは見当たりませんが、恐らくホワイトハウスは「やっぱりゲームの暴力表現に規制は必要だと思うだろ?」と訴えたいのだと思います。
『ワシントン・ポスト』によると、ホワイトハウスでは先週、ゼニマックス(『Fallout』シリーズ発売元)やテイクツー・インタラクティブ(『グランド・セフト・オート』シリーズ発売元)など大手ゲーム開発会社とビデオゲーム業界団体ESAの幹部、それにゲームを含むメディアの表現規制を求める議員や団体の役員らを招いて非公式会合が開催されました。その会合の冒頭でトランプ大統領は、最近の有名なゲームの中から残酷な場面ばかりを集めた動画を見せて「ほら、暴力的だろ?」と同意を求めたとのこと。この動画はその時の映像と同一のものかもしれません。
動画を見た人たちの反応
・全体を無視して暴力的なシーンだけを抽出した酷い編集だ
・ホラーとかアクション映画でも同じような切り抜き動画を作れるけど?
・「ゲームはとても暴力的だ」と彼は銃を売りながら言った
・ビデオゲームが登場するずっと前から暴力はあったよね
・ゲームは人を殺さない。人が人を殺す
・NRAが批判の矛先を変えさせようとしているな
・じゃあなんで同じゲームをやってるカナダやイギリスでは銃犯罪がないんだ? ゲーム関係なくね?
・イギリスでも同じゲームを遊べるけど銃犯罪はほとんどないぞ。違いは厳しい銃規制があることだね
・暴力的なゲーム・映画・テレビ番組は世界中どこでも手に入るけど、大きな銃撃事件のほとんどはアメリカで起こる
暴力的な映画やテレビ番組も多い中で、特にゲームが槍玉に挙げられやすいのには“インタラクティブ性”があるためだと言われます。作られた映像を見るだけの受け身のメディアである映画・テレビに対し、能動的・主体的に暴力的行為を行うことのできるゲームばかり遊んでいると、実生活でも暴力的行為を行うようになる、という主張です。ただ、この理論についてESAは「様々な研究結果から、ゲームと現実の暴力には何の関連もない」と全否定する声明を発表。ゲームソフトの内容を審査して購入できる年齢制限を定めたレーティング制度を実施していることなども盾に、今後もゲームソフト規制に対するロビー活動を続けていくものとみられます。また一部の民主党議員からは、本当の問題――銃の販売に関する新たな規制を探ること――から目をそらすものだとして、トランプ大統領の試みを軽蔑する声も上がっているということです。
日本版のみ切断・欠損表現がなくなっていたり血が緑になっていたりすることからも分かる通り、欧米ではゲームの暴力表現規制は割と緩め(逆に性的表現は日本より厳しいことが多い)。イギリスでもカナダでも同じ暴力表現のゲームを遊んでいるのに銃撃事件はアメリカでばかり発生する。なぜなんでしょうねぇ?
画像とソース引用:『YouTube』および『ワシントン・ポスト』より
https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2018/03/08/inside-trumps-private-meeting-with-the-video-game-industry-and-its-critics/?utm_term=.3fa4e43f3210[リンク]