【人間観察】揺れる車内で立ったままお酒をあおる人について妄想せざるを得ない

  by ダダダダ田  Tags :  

JR通勤快速に乗った。

揺れに揺れている社内の中で立ったまま
チューハイの500ml缶を飲んでいるサラリーマンが3人もいた。60代、50代、40代。

日本のサラリーマンは、お疲れなのだなと思った。

それと同時に「立ってまで飲まなきゃいけない何かがあるのか」とサラリーマンを心配した。
だってまだ月曜日だもの。年末の忙しい時期とはいえ。

しかもそのうちの一人(推定58歳)は、柿ピーをつまみにストロングゼロをあおっている。
まだ、お酒を飲むのはわかる。お酒とはいえ飲み物だもの。中身がお茶でペットボトルならよくいる人だもの。
でも、その人はつまみも食べていた。ここが電車内じゃなくて家のリビングで、立ったままじゃなくてソファに座っていれば、完璧に家で晩酌をする普通の後継なのに。

電車内でつまみ飲まなきゃいけない理由は何か。この推定58歳のサラリーマンは今日何があったのか。あるいはこの後なにがあるのか。
会社で失敗をしたのかもしれない。部下の陰口を聞いたのかも。家で晩酌をする野を奥さんが嫌がるのか。・・・奥さんが出て行った?
電車内でお酒をあおる58歳サラリーマンにはいくつもの背景が想像できた。

つまみが追加されることによって、ここまで他の500ml缶をあおるサラリーマン二人に対して何も思わなくなるのかと感心さえした。
柿ピーというチョイスも、58歳という年齢(推定)には似つかわしくないストロングゼロというチョイスも、想像せざるを得ない何かがあった。

しかし、そこで考えた。もし今この柿ピーが電車の揺れでこぼれたらどうすればいいのだろうと。

電車内に散乱した柿の種を拾って、どうすればいいのか。私はごみ袋の代わりになるような袋を持ち合わせていないのだけれど、
本人は持っているのか。もし持っていなかったら、受け皿にした左手の柿ピーのごみはどうすればいいのか。
柿ピーはご存知の通り、甘辛い醤油のコーティングがしてあって、ずっと持っているとべたつくお菓子である。
おじさんがごみ袋を差し出してくれなかったら、私は左手にこのべたつく、芳ばしいかおりを放つお菓子を持ったまま電車に揺られることになる。
時間は午後7時。夕食や晩酌に思いをはせる人たちにとって私はテロリストのような存在になってしまうだろう。
そう考えると、拾いたくないと思ったが、人が困っているときに見て見ぬふりをするような大人にだけはなりたくない。
私は、拾うべきか否かという選択の間で揺れていた。

そんな私の心配をよそに、推定58歳サラリーマンは柿ピーを食べ終え、ストロングゼロを飲み干して大宮駅でおりて行った。
日本の頑張るサラリーマンに幸あれ。

ダダダダ田

現在新潟の大學に在学中の21歳女子大生です。 出身は群馬県。安中と高崎のハーフ。 好きなことはお酒を飲みながら本を読むこと。 日々の思うことなどを書きます。