老舗から新鋭まで約1200もの店がしのぎをけずっているラーメン激戦区、大阪。
一口には言えないさまざまな暖簾の味がある中で、僕が“間違いない!”と今回ご紹介するのは日本橋の黒門市場近くに鎮座するこのお店。
『らーめん天地人』。
天地人のラーメンのなによりの特徴はメインメニューである『元味らーめん』のスープ!
丁寧にとられたトンコツ出汁、モンゴル産岩塩から作られた蒙古醤油、鶏のガラや脂身をミキサーにかけたペーストが三位一体となり、なんとも玄妙な味のアンサンブルを奏でている。
一見こってりしていそうに見えるが口にふくめば意外にサラッとしており、味は深いが上品にあっさりといただけるのだ。
白髪ねぎや海苔、マー油もただの添え物ではなく、酸甘辛苦渋と味と香りの世界観を広げるアクセントの役割を果たしている。
はっきり言ってこのセンス、ただ者ではない!
中細の麺もスープとよく絡む性質。
現在も一律に行っているかどうかはわからないが、麺をあらかじめスープで煮込んでいた時期もあったくらいスープと麺の一体感に心を砕いている様子を僕は見てきた。
そしてもう一つ、天地人のメニューでラーメン以外に忘れてはいけないのが十勝風の本格豚丼。
じっくりと炭火であぶられ甘辛のタレにからめられた、やや厚切りの豚肉は米との相性バツグン!
そこらのラーメン屋の丼ものはあり合わせの材料で作ったようなテキトーなものが多いが、こちらの豚丼はラーメンに勝るとも劣らぬ主役級の存在感だ。
本来、ラーメンは白米と合わせてナンボと思っている僕だが、ここ天地人に来た時に限っては必ず豚丼を注文する。
麺をすすり、スープを飲み、豚丼をほおばった口をスープで洗い、ふたたび麺をすすりこむ……
この恍惚のルーティンに、濃厚な味わいのせめぎ合いに身をまかせるのだ。
僕はその昔、ここからほど近いミナミの悪所『味園ビル』でバーを営んでいたのだが、疲れ果てた週末の朝には仮眠をとった後、必ずマッサージ店と天地人を訪れて心と体を癒していた。
少しささくれだった20代半ばの自分にはじんわりと優しく染みてくる味だった。
その懐かしさも相まってか、今でもミナミ界隈を訪れる時には自然にここに足が向いてしまう。
『らーめん天地人』
【住所】
大阪市中央区日本橋2-4-10 日本橋UKビル 1F【営業時間】
11:00~23:00【定休日】
月曜