【デマ拡散注意】ネット右翼発信の「不法滞在外国人通報祭り」 安易な参加で偽計業務妨害に問われるおそれも

  by 84oca  Tags :  

2012年に旧外国人登録制度が廃止され、新たに常時携帯義務を負わない『在留カード』の公布が始まった際の切り替え経過措置が7月8日までだったことを理由に挙げた一部の右派系ブログや『Twitter』のいわゆる「ネトウヨ」系アカウントが「不法滞在外国人通報祭り」と称して、9日になった直後から入国管理局の通報用フォームに一斉通報を行っていることが問題になっています。この「7月9日問題」と呼ばれるデマの発端は、例えば読売新聞の7月6日付夕刊に掲載された『在留カード』への切り替えが済んでいない在日外国人が5万人前後に及び、連絡が付かないケースが多いため入国管理局が対応に苦慮していると言う記事で罰則規定について触れられていることなどが基になっているとみられます。

しかし、ブログや『Twitter』で拡散されている一連のデマは在留管理制度および特別永住者証明制度の手続きについて正しく把握していないものがほとんどであり、また『在留カード』切り替えの経過措置が終了したからと言ってただちに強制退去となるわけではありません。不法滞在者の情報受付ページにも「なお,本メールは不法滞在者と思われる外国人に関する情報を受け付けるものであり,適法に滞在している外国人に対する誹謗中傷は固くお断りします」と明記されており、また誹謗中傷の防止措置として発信者のIPアドレスを記録している旨の注意書きが記載されています。それにも関わらず「通報祭り」に乗ったという報告が『Twitter』で相次いでおり、中には「余りの通報件数の多さに入国管理局のサーバが一時ダウンした」との情報までが飛び交っている状態です。
「7月9日問題」がデマであるという注意喚起は有志の手で早くからなされて来ましたが、安易な「通報祭り」への参加は入国管理局の適正な業務を妨害する行為に他ならず、逆に通報者や通報を煽った側が偽計業務妨害に問われるおそれもあります。特に「通報リスト」と称して在日韓国・朝鮮人とされる人物名を列挙した一覧を掲載しているブログは2006年の『WiLL』事件と同様に名誉毀損で訴えられる可能性もあり、リツイートなどで拡散した場合も名誉毀損に加担したと取られる危険性があるので安易に紹介すべきではありません。

『Twitter』では「ネトウヨ」系アカウントが大挙してデマに乗せられ「通報祭り」に参加する様子を指した「#ウヨマゲドン」なるタグも登場しており、事態の収束にはまだしばらく時間がかかる可能性もあります。

画像‥新しい在留管理制度がスタート!(法務省・入国管理局)
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/ [リンク]

1975年、兵庫県姫路市生まれ。商工組合事務局勤務を経て2012年よりウェブライター活動を開始。興味のある分野は主にエンターテインメント、アーカイビング、知的財産関係。プライベートでは在野の立場で細々と文学研究を行っている。

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