世界の多くの国では、その国のシンボルとして国花や国鳥が決められています。世界で最初の国鳥は1782年にアメリカ合衆国が指定したハクトウワシで、他に有名なところではインドのクジャクやニュージーランドのキウイ、パプアニューギニアのフウチョウ(極楽鳥)などがあります。イギリスの国鳥は1960年代初めに新聞社が行ったアンケート調査でも1位になるなど慣例的な扱いでヨーロッパコマドリ(ロビン)とされて来ましたが、これまでは明文でロビンを国鳥とする告示はありませんでした。
そのため、昨年の秋から今年5月にかけて「Vote for Britain’s National Bird Campaign」( http://www.votenationalbird.com/ [リンク])、言うなれば「国鳥選抜総選挙」のような公開投票が実施されていましたが、日本時間の6月10日に発表された開票結果ではロビンが全体の34%の得票を獲得。2位のメンフクロウ(barn owl)他の候補に大差を付けて選出され、政府による手続きを経て正式な国鳥に指定する旨が告示される見通しとなりました。
もっとも、一般に“国鳥”と認識されていてもこれまでのロビンのように明文の定めがなく、慣例上そう扱われている鳥は他の国でも珍しくありません。フランスのニワトリやイタリアのハトなどが代表例ですが、日本の国鳥とされるキジもこれに該当します。日本の国鳥をキジとする根拠は1947年に日本鳥学会がヤマドリ・ウグイス・ハトなど複数の候補からキジを選定したことに由来しますが、政府によって明文で国鳥や国花を定める告示は存在していないため現在まで“慣例上の国鳥”とされています。
地方自治体では47都道府県がすべて「都道府県の鳥」を指定していますが、当初はコウノトリを県鳥としていたのに絶滅してしまったためツグミに変更された福井県や、ホトトギスを指定したところ托卵の習性が敬遠されて国鳥と同じキジに変更された岡山県のようなケースもあります。
ところが、市町村になると花や木は合併したばかりで未定のところを別にすればほとんどの自治体で定められているのに対し「市町村の鳥」を指定している自治体は意外と少数にとどまっています。政令指定都市で市鳥を指定しているのは20市中12市で、東京都の特別区で区鳥を定めているのは23区中6区にすぎません。都道府県の場合は木・花・鳥が密接不可分な「3点セット」のような扱いになっている(一部に「県の魚介類」や「県の獣」「県の蝶」を定めている場合もある)のに対して、市町村レベルでは木と花だけがセットで扱われているようです。
画像‥ヨーロッパコマドリ、PixaBay( http://pixabay.com/ [リンク] )のソースを利用