本日デビューする「週末モデル」というグループの楽曲を1曲100万円で売り出すという衝撃のプレスリリースが届いたのが4月3日のこと。
Facebookでいいね1件に付き1円を割り引き、100万件のいいねが集まれば0円になるというちょっと変わったというか、"ふざけた"企画をぶちまけたのはDRAW BOOKS & RECORDS。
いったい本当にこの値段で売るつもりなんだろうか。果たしてその楽曲とアーティストの正体は。そんな疑問と好奇心を持った記者は、早速同社にコンタクトを取った。
数度のメールや電話のやり取りで「週末モデル」というモデルなのかアイドルなのかアーティストなのか、正体がよくわからないので取材させてほしいとお願いしたところ、快諾を得たので指定された日時に事務所へ取材に向かった。
なお、この記事は楽曲リリースの数日前から前日に取材したものである。
事務所にお邪魔すると、プロデューサー・メロディーメーカーのSAKURA DROPS氏とサウンドプロデューサーの尾形光也氏(ex.THE CHERRY COKE$)が出迎えてくれた。
話を聞いてみると"ふざけた"どころではなく、当たり前だが大真面目なプロデュース意図をもってリリースされることが分かった。
そもそも「週末モデル」というグループは何なのか。様々な能力や魅力と仕事を持っている女性を多方向に開花させ、それらをライフワークとして膨らませていけばいいのではないかというコンセプトらしい。
要するに、普段はそれぞれの仕事をひとつのライフワークとして持っている女性たちに、もう一つのライフワークとして「週末モデル」という芸能分野を提供、活躍してもらい、そのライフワークそのものをコンテンツとして見てもらおうということだ。ということは既存のいわゆるアイドルグループとも異なるし、単なる歌い手さんグループとも異なる、まったく新しいジャンルのグループとみてよさそうだ。
例外なくメンバー全員がダブルワークとなることから、おのずと芸能活動を制限される人も出てくる。会社員であれば勤務先の承諾も必要なわけだが、それもメンバーそれぞれで状況が異なるので、露出媒体や場面、頻度もさまざまだ。
このような理由から「週末モデル」の活動はなにも歌唱に限らず、すでに広告のイメージモデルとして活躍しているメンバーも入れば週刊誌の連載グラビアに登場しているメンバーもいる。今回の楽曲に参加するメンバーも全員というわけではない。さまざまな分野で活動を行うので当然と言えば当然か。
ダブルワークが前提であることから、例えば芸能人一本、アイドル一本でやる場合には週末モデルからは脱退となる。
本業と副業のバランスはメンバーそれぞれで刻一刻と変化する。「週末モデル」という言葉そのものを、例えばいわゆる"読モ"(読者モデルのこと)のような、プロなのかアマチュアなのかアルバイトなのか社会一般には判断が付かないことを、新しい定義をもった言葉として根付かせ、そういった女性たちの新しい生き方を提案し、そのライフスタイルそのものを売り出そうという新しい試みであるとも言える。
さて、「週末モデル」のコンセプトとねらいはわかった。では実際にメンバーにお会いして話を聞いてみよう。今回発売される楽曲を歌う7名のうち2名が取材に応じてくれた。ラリソン彩華さん、ラリソン舞華さんの姉妹である。プロ的でもあるし素人的でもある、というのが言葉を交わす前の率直な印象だ。
まずラリソン彩華さん(28)に聞いてみた。
本業は料理研究家で、六本木において家族でダイニングバーを経営している。ラリソンというのはミドルネームでドイツ系のクオーターだ。得意な料理は「冷蔵庫の整理」。いやいや、それも難しいことなのですが、そういうことではなくて、もうちょっと…とあせる記者をよそ目に「味と料理が想像できますので、目の前にいる人が好きそうなものを作ることができます。」といい奥さんになりそうな頼もしい回答をしてくれた。
得意な分野は歌唱で、ギターを弾くのだそうだ。人を笑顔にすること、幸せになってくれること、元気にすることをいつも考えているという彼女の夢は、今の本業のお店をライブレストランにして世界を回り、たくさんお店を出したいということだった。
取材時点ではまだデビューしていないので、将来のファンへという質問には、「今ならお店でいつでも会えるよー。」と元気に微笑んでくれた。
次に妹のラリソン舞華さん(26)。本業は姉と同じお店でバーテンダーをしている。得意なカクテルはマルガリータとブラディマリー。とはいえ、イングランドのメアリー1世女王の怖いイメージとはかけ離れた素敵なお嬢さんなので安心してほしい。こちらは歌唱とハーモニカが得意だそうだ。
今の2つのライフスタイルが楽しくて理想的な生活と語ってくれた彼女にも同じく将来のファンに向けて語ってもらった。「いっしょにファンの方と楽しめるような空間が増えてくれたらいいと思います。」と、はにかんだ様子がかわいらしかった。
記者は「週末モデル」のコンセプトが2つのライフワークであるならば、本業のライフワークも見なければなるまいと考えた。この取材の後日、ダブルワークの本業であるダイニングバーでのライフワークを見せてもらうために実際に店を訪れて取材した。
ほんとにラフな店ですからー。と姉のラリソン彩華さんが言っていたが、六本木駅5番出口を上がったらすぐにわかるお父さんの名前を冠したお店は本当にラフだった。こぢんまりとした店内に店員はお父さんであるケニーさんと娘さん2人で3人。外部のテラスを使えばお風呂ではないが露天で飲める隠れ家的な存在だ。
ランチメニューでご自慢のカレーを運びつつ、ワインをテイスティングして、ギターも奏でる。誕生日ソングをお客さんにプレゼントすることもあるんですと、なかなか忙しいラリソン彩華さん。
一方で身支度を整え、キリッとラムトニックを作り始めるラリソン舞華さん。バカルディではなくマイヤーズ、シュウェップスではなくウィルキンソンとは恐れ入った。これは通好みの風味豊かな取り合わせだ。
テラスに出てもらってスチールを撮らせてもらったが、お姉さんが完全に客になってると突っ込みが入り、爆笑の渦が湧くほど楽しくて明るいお店だった。
仕事なので楽しいことばかりではないのは百も承知だが、この様子だとダブルワークは何とかなりそうだ。
歌唱メンバー7名のうちまだ2名にしか会っていないのだが、姉のラリソン彩華さんは何でも頼れる明るい大人のお姉さん、妹のラリソン舞華さんは守ってあげたいような、かれんな妹。と、姉妹像がそのまま記者の脳裏に焼き付いた形になってしまったが、他のメンバーも含めて魅力たっぷりの彼女たちに「推しメン」を求める価値はありそうだ。他のメンバーについては歌唱、モデル、執筆の分野を含めて「週末モデル」の公式ページを検索、参照してほしい。
さて、一番気になる楽曲の値段であるが、まさか100万円はいくらなんでも、と思っていたら本当にその値段らしい。正確にいうと、4月14日17時の時点で146いいねしか集まらなかったため、税込み999,854円となる。
ただし、購入特典もなかなか"ふざけて"いる。
購入者はアルバムの基本楽曲に加えて、原曲を元に購入者のイメージに沿った世界に一曲だけのremixをプロデュースできる他、プロデューサーとしてCDジャケット・ブックレット制作に参画できる。取材時点ではグアムでの1泊2日ロケを予定しており、購入者はプロデューサーなので当然同行してロケを指揮する。渡航費用込みの楽曲の値段だというから、その点では損はなさそうだが999,854円でプロデューサーの権利までも買えるというのは驚きだ。(当たり前だが部屋は別なのでお間違いなく)
企画そのものは失敗なのだろうが、その逆境をとんでもない購入者特典に変えてしまった。しかし、あなた好みの「週末モデル」CDをメイクすることができるチャンスだ。メンバーもプランナーの失敗に負けずに2つのライフスタイルを享受してほしい。
記者は引き続き「週末モデル」のさまざまな活動を今後も追っていきたい。
楽曲としての週末モデルはテンポ良いリズムだが、しかしライトな感じでそれこそ週末の昼下がりに部屋の窓を開け放って聴ける軽やかな曲だ。最後に歌詞を紹介して取材レポートを終えることとする。
週末モデル(曲名)
週末モデル(アーティスト名)
下田奈奈/ラリソン彩華/ラリソン舞華/平原歩/百済友希/友稀サナ/木藤菜穂子
週末のアフタヌーンティータイム 楽しむように
あなたに見せてあげるの 誰も知らない私を
新しい生活を 思い出にだけはしない
昨日見た夢の続きを 今日も楽しみたいから with you
早起きしてメイク アイロン・ヘアカールに パンプス赤ベージュ どっちででかけよう?
悩んではみるけど いつも背伸びするの 自信なんかなくて なのに着飾ってる
そんな毎日じゃ 本当の笑顔が泣く
踏み出すため今 自分を好きになる
週末のスケジュールオフタイム モデルのように
素敵な服で飾って あなたと踊りたいから with you
「はじめまして」「どうも」 のたびチヤホヤされて だけどリサイクルの 言葉だと知ってる
帰り道の電車 疲れた顔が映る 若さじゃない何か いつも探してる
そんな毎日を 過去の嘘にしたい
踏み出すためには 未来信じたい
いつまでもどこまでも 自信ある私がいい
大事なものを探しに すぐ街へ出かけようよ with me
週末のアフタヌーンティータイム 楽しむように
あなたに見せてあげるの 誰も知らない私を
新しい生活を 思い出にだけはしない
昨日見た夢の続きを 今日も楽しみたいから
週末のスケジュールオフタイム モデルのように
素敵な服で飾って あなたと踊りたいから
いつまでもどこまでも 自信ある私がいい
大事なものを探しに すぐ街へ出かけようよ with me
※写真はオフィシャルスチール以外はすべて記者撮影のもの。
取材協力・記事校正・掲載許諾:DRAW BOOKS & RECORDS。
歌詞の引用については著作表示を条件に権利者より許諾済み。
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