3/13(木)、電車を乗り継いで熊谷まで足を伸ばし、夕方から駅前のティアラ21で映画『漂泊』を観てまいりました。群馬を中心に多くの「まち映画」をつくっている藤橋誠監督の作品です。
映画の主人公は群馬県立女子大の4年生。就活に奔走する彼女のもとに女優志望の妹が突然東京から転がり込んでくるところから物語はスタートします。
学費を稼ぐために地元の焼肉店でアルバイトしている主人公。そこでは同じ大学生で映画づくりに情熱を燃やしている店の息子が一緒に働いています。やがて彼の映画に妹が出演することになり・・・
藤橋監督の映画を観るのはこれで3作目になります。今回はどんな内容なのかあまり先入観のない状態で作品に臨みました。群馬県玉村町を中心に撮影された作品ですが物語の導入部では地元PRの要素がほとんどなく、自然にストーリーの中へ入っていけました。
真面目タイプの姉がバイトと就活に明け暮れる一方、女優をめざすといいながらフリーター同然の生活をおくる妹は映画づくりに関わってなんだか充実している感じだ。映画づくりが夢なら就活は現実。将来について真剣に考える姉は、好き放題に生きている妹を批判しながらも思わず「いいなあ」と本音をもらしてしまう。
彼女がバイトする焼肉店は、地元の学生たちのたまり場となってて和気あいあいな雰囲気ですが、店のバイトという立場上、彼らと一緒になって楽しむわけにいきません。自分を抑え、みんなの輪から一線を引いている主人公の姿は、どことなく周囲から孤立しているようにも見えます。
対照的な姉と妹、そして映画青年とその元カノ(?)も登場し、複雑な人間関係がからみあいながら映画づくりは進んでいきますが・・・。
映画づくりに打ち込む若者たちの姿がまぶしく、同じ年代をバイトバイトで過ごしてしまった自分にはとてもうらやましく感じられました。クライマックス、河原に立つ主人公たちの髪が黄金色にきらめくマジックアワーも素晴らしいです。
『漂泊』は熊谷ティアラ21で公開されたあと、4/6に高崎映画祭特別上映作品として高崎シティギャラリー・コアホールでも上映されます。<高崎映画祭HP>