問題社員対応に特化したSaaS!? じわじわ盛り上がりそうな「オフボーディング」について

まず「HRって何の話?」から少しだけ

HRは、「Human Resources(ヒューマンリソース)」の略で、「人的資源」や「人材」を意味します。
日本では、「人事」という言葉が最も近いところかと思います。
一般的には、採用や人事評価、給与計算などのことだと思われがちですが、最近のHRはもう少し広い意味で使われています。

簡単に言うと、「人が会社に関わり始めてから、働き、関係を築き、やがて離れていくまで」。
その一連の流れを、どう設計するかを考える領域です。

「オンボーディング」も「エンゲージメント」も昔からやってたこと

HRの世界を眺めていると、課題が先にあり、名前が後から付く、という順番で領域が広がっていることが多いように感じます。
実際、ここ数年で一気に「オンボーディング」「エンゲージメント」「人的資本」といった言葉の重要性が謳われ、定着しました。
どれも急に生まれた概念というより、昔からやっていたことに、後から名前が付いたものに近い気がします。

現場ではずっと対応してきた。
ただ、それをうまく説明する言葉がなかった。
それが整理され、共通言語になった瞬間に、「一つの領域」になります。

例えば、オンボーディングについては入社後のフォロー自体は昔からありましたが、名前が付いたことで、ようやく体系的に語られるようになりました。
HRは、そうやって少しずつ輪郭を広げてきている分野のように思います。

最近じわじわ耳にする「オフボーディング」という考え方

ここ最近、その流れの中で耳にすることが増えたのが「オフボーディング」という言葉です。
文字通り「オンボーディング」の反対で、従業員が会社を離れるまでのプロセスを、「一つの体験として捉え直そう」という考え方です。

1人の退職を、機械的な手続きやアカウント削除だけで終わらせるのではなく、
「なぜその選択に至ったのか」「どう関係を終えるのか」「次につながる余地をどう残すのか」。
そうした点まで含めて考える動きが、少しずつ広がってきました。

転職が特別なことではなくなり、一度離れた人が別の形で関わることも増えてきた。
人が会社を去ること自体が、ネガティブな出来事ではなくなりつつある。
その変化が、オフボーディングという言葉を前に押し出しているように感じます。

問題社員対応に特化したサービスが出てきている話

調べてみると、オフボーディング領域に関しても、新たなサービスが登場しているようでした。

「MONTAI」という、問題社員対応に特化したSaaSです。3月から本格ローンチ予定のようです。

「問題社員に特化したSaaS」と名前だけ聞くと少し強く感じますが、実際には、人を評価したり処分したりする話というより、
組織として、どんな判断を積み重ねてきたのかを後から振り返れるようにする部分を強調しているサービスのように見えます。

オフボーディングの場面で話がこじれるとき、多くの場合、原因はその直前ではありません。
もっともっと前の段階での判断や対応が、整理されないまま積み重なっている。
その部分を適切な記録で支援する、というありそうでなかったツールです。

そう考えると、このサービスは「出口そのもの」ではなく、
「出口に向かう前段」を経営者や人事労務担当の視点から支えるものと言えそうです。

これから広がるかもしれない、「オフボーディング」領域

オフボーディングという考え方は、一時的な流行というより、
これから本格的に整理され、拡張されていく領域のように感じます。

人の出入りが前提になり、キャリアが会社の外へも続いていく時代において、
「どう迎え入れるか」だけでなく、「どう関係を終えるか」「どう次につなげるか」は、
組織の姿勢そのものとして問われるようになってきました。

個人的には、この周辺にはまだ余白が多いとも感じています。
制度や根性論では拾いきれなかった部分を、もう少し丁寧に支えるサービスがあっても不思議ではありません。

オフボーディングを起点に、その前段のプロセスまで含めて整理しようとする動きは、
これからじわじわと広がっていく気がします。
MONTAIのようなサービスが出てきたのも、そうした変化の一つの兆しなのかもしれません。

気づけば、オフボーディングは特別なテーマではなくなり、「当然考えるもの」として扱われるようになる。
そして、その周辺にある実務や判断も、少しずつ名前を与えられていく。
今後もそのように、HR領域は新しい輪郭を帯びていくのかもしれません。

kakifurai

いい記事書きます。