先日親父が亡くなって、これで両親とも他界してしまった。実家はもぬけの空となった。
とは言え、これまで使っていた家財道具やら家具やら電化製品やらは、主を失ってもそこに鎮座している。こいつらをどうにかしないといけない。
一人でゴミ出しし、大きな家電などは市の廃品回収に出すにしても、とても全てをやりきれるものでもない。そこで、今回、不用品回収業者のサービスを利用することにした。
最近は、この手のサービスをしてくれる業者も多くなってきた。ハウスクリーニングやエアコン回収、それから今回のうちのように、遺品整理もしてくれる。
身内が亡くなって、身の回りの物を処分することになった時、処分しにくいのはどんな物だろう。
今回の経験で、こういうものが自分たちだけでは難しいのではないか、と感じた。
・写真・アルバム
・絵画、書、焼き物
・日記
・盆栽、鉢植え、土、石
遺族としては、生前に肉親が残した、特に”作品”となるものを捨てるのは、あまりにも忍びない。
(ただ、僕は断腸の思いで捨てたけど。)
しかし、業者はそこに私情を持ちこむことはない。淡々とゴミとして処分する。
この”情”を挟まないところが、ある意味、業者を使うメリットとなる。自分たちで処分しようと思ったら、思いを断ち切るまでに時間がかかる。なにより、処分の前に選別しようとし、その間に、思い出を掘り起こしてしまい、ますます処分できなくなってしまうのだ。
物はどんなものでも、そこに思いが込められてしまったら、なかなか手放すことができなくなる。それを無情にも手放すことにするなら、迷わず業者を使うことをお奨めする。
さて。不用品回収業者は、いったいどのくらいの費用で回収してくれるのか。
利用して初めてわかることもある。
参考までに、うちの場合。
不用品は、単体が大きい場合は、個々の物で見積もられることもあるが、それほど大きくない物が多数ある場合は、”かさ”で量る。つまり容積。2トントラックの荷台に、どのくらい積載するか、で大体の見積額が決まる。この容積の単価は、当然業者によって違うと思うが、僕が利用した業者は、
・1立方メートルで、21,000円。
だった。(作業費、解体費は込み)
今回は4立方メートルだったので、84,000円。比較検討したわけではないので、これが高いか安いかの議論はできないが、年末の時期にも対応してもらったことを考慮して、これで妥当と考えている。
注目すべきは、”かさ(容積)”であって、”重さ(重量)”ではないことだ。
そのため、見積もってもらう際には、できるだけ容積が大きくなさそうに見せる方がいい。
僕がやった一つは、
・カラーボックスは自分で解体する。
・プラスチックの衣装ケースは、蓋をとって複数を重ねる。
といったこと。なるべく、重ねたり分解したりして、重くなっても小さく見せることが大事。
それから、作業を短時間で完結してもらうために、
・物はなるべく一部屋に押し込むこと。
こうしておくと、業者に見積もりをしてもらう際に、「この部屋にあるもの全てです。」と言える。
これとこれと、これです、みたいな指示を、あちこちの部屋でするより簡単だし、業者にとっても、その部屋を見て、「6畳一間の半分くらいを占めてるから、だいたい容積はこのくらいか」、と見積もりやすくなる。結果、査定も早い。印象も良い。
回収の当日も、一部屋から出すだけなので、そんなに時間はかからない。押しこむ部屋が、入り口に近いほどいい。作業時間が早そうだと見込めれば、見積もった容積以上に持って行ってくれることもある。
注意点は、まあ、業者に頼むほどなので、ここまでしないかもしれないが、
・細かいものを段ボール箱に詰めるのは避ける。
という点くらい。
中身が何かわからないと持って行ってくれないので、段ボール箱に入れるくらいなら、透明のゴミ袋に入れる方がいい。ただ、どうしても入れるものがなければ、箱に入っていてもいい。その際は、梱包しないこと。業者が勝手に梱包してくれるので、箱は開いているほうがいい。
日本はこれから、超高齢化社会となっていく。不謹慎かもしれないが、お年寄りが今まで以上に亡くなっていく。その際、多かれ少なかれ、物を残していく。残された誰かが、その物を”どうにかしなければ”ならない。
・自分で預かるか。
・捨てるか。
しかないのだ。捨てると決めたら・・・と言うか、日本の住宅事情と、人一人の持つ資産を考えれば、”捨てる”というニーズはどんどん高まるだろう。
そこで、不用品回収業者は、ますます忙しくなる。今後も、さまざまなサービスを産み出す余地がある業界だ。世の中を見て、ニーズを想像して、そして誰もが便利と思えば、そうしたサービスは長く使われていく。
今回は、そんなことも考えさせられた。
日本ならではの、不用品回収というサービスが、今後も発展するに違いない。

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