もうすぐお彼岸、お彼岸のお供え物に欠かせないのがおはぎです。秋はおはぎ、春はぼたもちと呼び方が変わることは知られていると思いますが、おはぎとぼたもち以外にも呼び方があるってご存知でしたか?今回は、おはぎの七変化ともいわれる、おはぎの呼び方について書いていきます。
おはぎはもち米やうるち米を炊いたものをつぶして丸めて、小豆やごま、黄粉をまぶしたものです。お餅は五穀豊穣、小豆は魔除けの意味があります。昔は甘いものが貴重だったことから、お祝いの席で振る舞われたり、法要の席でお供えされるようになり、お彼岸のお供え物になりました。
おはぎとぼたもちの違いですが、おはぎは、秋に咲く萩の花をイメージして作られたことから「おはぎ」と呼ばれるようになりました。『御萩』と書くこともあります。ぼたもちは、春に咲く牡丹の花をイメージしてつくられたことから「ぼたもち」と呼ばれます。『牡丹餅』とも書かれますね。おはぎやぼたもちに使われる小豆は、秋に収穫されます。新鮮な小豆を皮ごと使って粒あんにして使ったものをおはぎ、保存して固くなった皮を取り除いてこしあんにしたものを使ったのがぼたもちと、春と秋で呼び方を分けていました。また、お米を餅状のしないで半づき(通称半殺し)にしたものをおはぎ、餅状につぶした(通称皆殺し)ものをぼたもちと呼ぶこともあります。
また、おはぎはお餅のようにつかなくても作れることから以下のような呼び方が生まれました。
「つく」を「月」とかけて『月知らず』。
『月知らず』は、月が見えない方角をさすことから『北窓』。
「つく」を「到着する」の「着く」にかけて『着き知らず』。
『着き知らず』は、いつ到着したかわからないことから『夜舟』。
お米をついてる音が聞こえないことから『隣知らず』とも呼ばれます。
このように、言葉遊びを楽しむことが「おはぎの七変化」といわれた由縁ではないでしょうか。
おはぎは、甘いものが貴重だった時代に家庭でも作ることができた身近なお菓子です。今年のお彼岸は、おはぎをお供えして言葉遊びを楽しむのも素敵ですね。
今年のお彼岸は、9月20日~26日です。
参考文献
『和菓子のアン』坂木司(光文社文庫)
[暮らしの歳時記]All About http://allabout.co.jp/(リンク)
画像:ブログ用写真、画像フリー素材 http://blog.foto.ne.jp/(リンク)