ブルックリンの満開のさくらに少し感傷的になる

  by あおぞら  Tags :  

 さくらの季節になるとニューヨークに住みながら日本の『さくら開花予想』を調べます。日本人はどこに住んでもさくらの季節にはさくらの開花に思いを馳せるようです。

 桜木は花が咲かないとその木がさくらであることに素人目にはわかりません。さくら満開の姿を見てその木がさくらであったことを知るのです。こちらニューヨークには意外にさくらの木が多いのです。いくつかマークして開花をチェックするのですが、さくらの種類も多く、時に判断に迷うこともあります。

 今週、徒歩でメトロポリタン美術館に行った際、帰路はセントラルパーク側の5番街舗道を歩きました。これだと信号待ちが省かれるので妙なイライラもないですし、セントラルパーク横の五番街の舗道は石畳で趣もあります。それに右を向けばそこはもうセントラルパーク、多くの樹々にそれぞれ異なる色の花が芽吹いています。まさに春たけなわの季節です。

 そこにさくらの木を見つけました、あの日本のソメイヨシノの淡いピンクです。久しぶりの青空の下、色の対比がとてつもなく美しかったのです。その咲き誇るさくらを見て、数日以内にブルックリンへ行こうと決めました。ブルックリン美術館の前に石のベンチがあり、ベンチのすぐ上にはさくらの木が植えられていて、さくら咲く頃の風景は絶景なのです。また、ブルックリン美術館もメトロポリタン美術館のように立派な美術館で、メトロポリタン美術館より小規模ではありますが、それでも近代美術館やホイットニー美術館のニューヨークの有名美術館より、規模は相当大きいので見ごたえがあります。しかも、マンハッタンの美術館ではないので人入りがいつも少ないのも魅力なのです。

 ニューヨークは青森と緯度が近いです。ニューヨーク州自体は大きいので、この場合、ニューヨークシティーと明確に言った方がいいでしょう。同じニューヨーク州でも北部のバッファロー市は北海道に緯度は近いです。さくらの開花予想を青森を基準にするといつも外れるのです。緯度は近くても、摩天楼の密集や人口の多さ等でさくらの開花はいつも青森より早いのでしょう。今まで青森のさくら開花を調べてブルックリンに向かうとまだまだ開花には程遠い蕾だったことが何度かありました。ですので、それから学びマンハッタンでさくらの開花を確認して、いざ、ブルックリンへ出陣なのであります。

 今週半ば向かったブルックリン美術館前のさくらは満開でした。しかも、地面に花びら一片も落とさず、見上げるとこれから咲き始める蕾も確認できました。ユーミンの『14番目の月』の歌詞にある🎵次の夜からは、欠ける満月より、14番目の月が一番好き🎵の、あの美意識のさくらと申しましょうか…

 その歌を思い出すと共に、竹内まりやの『人生の扉』が浮かびました。なんだかやたら感傷的になりました。ベンチの周りには談笑する人たちや、地下鉄駅から美術館に向かう人の姿が階段を上りながら地上に顔を出し、まるで相談したかのように同じようにスマホを取り出し満開のさくらを皆がカメラにおさめていました。

 同じ光景はもう二度となく、時は過ぎていく実感がありました。そして思ったことはさくらは日本人だけでなく、誰の心にも響くのだなぁ…と🌸 さくらは生きていることを教えてくれるようにも感じたのです。さくらの散り際が美しいと思うのは日本人の特別な感性だと聞いたことがあります。これは日本人の侘び寂びの感情なのでしょう。そして、さくらの花も愛で、散りゆく潔さもなお愛でたい…そんな気持ちになりました。

 あなたのお住まいの場所では、さくらは咲きましたか? 咲いていますか? 散りましたか? いずれにしましても良き春をお迎えください。

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