そうめんを超えたそうめんに出会った!

  by 戸田健太郎  Tags :  

これから夏に突入する。そうめんの季節だ。別に夏だろうが秋だろうが冬だろうが何時食べても良いものだが、事実この季節になるとスーパーには特設コーナーが設けられてそうめんを山盛りで売っている。そういう雰囲気に押されて特に好きでもないのに、シーズン1回や2回くらいはそうめんを食べてしまうという人も多いかと思う。そうめんというと夏バテであまり食べる気がしないからそうめん、手軽に作れて値段も手頃だからそうめん、に代表されるように、どことなくネガティブな印象がある。うどんやそばと違って、そうめん大好き!という人も何故か多くない印象がある。

 

そんなそうめんネガティブに待ったをかけたい。

何かの代替ではなく積極的に食べたいそうめん。

とくにコレじゃなければという、そうめんの認識を変えるそうめん。

日本には凄いそうめんが隠れていた。

 

徳島県産の半田のそうめんだ。

半田そうめんという名称は商標の関係で各製麺所が使えるわけではないらしく、写真のように竹田なら半田手のべ、小野なら半田めん、などとぼかした表現になっているが、これら総じて半田そうめんとして認識されている。

この半田そうめんは他と何が違うのか。そりゃもう圧倒的に、一目瞭然に違うのである。

 

太さ。麺の太さ。

 

他のそうめんと比較するまでもない太さ。

乾麺のうどんと区別がつかないくらいに太い。

そうめんとうどんの明確な違いは太さだと思っていた浅学な自分が恥ずかしくなる。

もちろん、油を練り込んで乾燥熟成させる製法が、うどんのそれとは明確な違いではあるのだが。

 

で、太くなったらどうだというのか。

うどんを食べる以上の価値はあるのか。

これがあるのである。

 

まず、ゆであがりが早い。5分ほどで良い具合に茹で上がる。同じ太さの乾麺うどんだと倍以上の時間がかかる。

さらに言わせてもらうと、うどんは本来は生麺を湯がくもので、乾麺はちょっと風合いの変わったものだ。ラーメンに対するインスタントラーメンのようなものであるのかもしれない。しかしそうめんは元々が乾麺のものなので、うどん職人が茹でるうどんと自宅で茹でる乾麺うどんとの差異のようなものは無い。職人が茹でようが、家庭で茹でようが、そうめんはそうめん。100パーセントの実力を発揮する。これが強みだ。

茹で上がりを冷水でよく洗ってザルにあげる。これをめんつゆに浸して食べるのが一般的。

見た目は細めのうどん。だが一口すすってみて驚く。なめらかな陶器を連想させるツルツル感。うどんではなく間違いなく素麺なのだと実感する。しかもコシが強烈。素麺の手間のかかる製造工程はすべてこのコシを出すためのものだが、この太さゆえに素麺本来のコシの強さが遺憾なく味わえる。同じ太さの讃岐うどんに勝るかもしれない。噛み締めると小麦の味。そうめんでここまでしっかり小麦が味わえるものがあったとは。

半田そうめん一束のボリューム、満足感はたいしたもの。麺類が好きなら続けて何束でもいってしまう。夏だからあまり食欲がないからそうめん、というのではなく半田のそれは食欲を起爆するそうめんだ。シンプルにめんつゆと薬味でも十分に美味しいが、これだけの太さがあれば、そうめん焼きそばにしても具材のこってり感を受け止めるには十分だし、温かいつゆにしても食べごたえがあるだろう。徳島ということでスダチを絞っても最高らしい。夢が広がりまくる。

かようなわけで、今年の夏は、半田そうめんをガツガツ(ツルツル?)いって欲しい。徳島が近いおかげか、関西のスーパーではよく見かける。他地域にもあるかもしれない。スーパーをチェックしてみよう。なければ通販しても損はない。ひとたびこの魅力を味わえば、色々な食べ方を試したくなるはずだ。そうめんの革命だ。半田そうめんの歴史は数百年あるらしいが。

夏バテ対策?

知らん!!

大阪よりインターネットラジオBS@もてもてラジ袋を毎週配信。 http://www.moteradi.com/ 市民生活の専門家。易者。自由律俳句を詠む。 旅と読書と麺類(特にうどん)とファストフードとアルコールをこよなく愛している。 日本各地の大衆居酒屋や立ち飲み屋めぐりも趣味。 JR天満駅周辺の格安飲み屋に常駐している。

ウェブサイト: http://butaosan.exblog.jp/ http://www.moteradi.com/ http://www.voiceblog.jp/tougou/

Twitter: kentlow