さぬきうどんブームと言われて久しい。
さぬきうどんの震源地である高松にうどん巡礼に行くうどんファンというのもポピュラーになってきた。
高松県自体もうどん県を標榜してうどんアピールを始めたくらい観光資源としてのうどんは重要さを増している。
そんなうどん県に渡る交通手段としてジャンボフェリーというのはもっと注目されても良いはずだ。
公式ページを見てもらえば分かる通りジャンボフェリーは神戸の三宮から高松市までを結ぶフェリーだ。フェリーというと車で乗り込むものと決めがちだけど、もちろん身一つで乗り込んでも構わない。ここではむしろ一人旅をベースに、身一つでジャンボフェリーに乗船して、関西から本場のさぬきうどんを食べにいくという旅程を推奨してみる。
身一つでジャンボフェリーを利用するメリットとは?
1.料金が安い。
なんとたった3300円で三宮と高松を往復出来てしまう。関西から高松への移動では高速バスより遥かに安い。
2.ダイヤが素晴らしい。
三宮を深夜1時に出港して、早朝5時に高松に到着する便がある。
1についてはそのままだ。これより安く関西から高松まで往復するには18きっぷを使うしかない。18きっぷはシーズンが限られているので自由度という点でジャンボフェリーの圧勝である。
2については少し説明が必要だろう。さぬきうどん屋というのは元来とても朝が早い商売である。まだ暗いうちからうどんを打ち始めて、その日につかううどんは朝に打ったぶんだけという店も珍しくない。本場で最高のうどんを楽しむのならば午前中が勝負になるわけだ。昼時を過ぎると早々に店じまいしてしまうところもあるくらい。そうでなくても時間の経過した麺はどうしたってコンディションが悪くなっていく。そういうわけで朝早いうどん店というのは朝の5時ごろから開店している店もある。そんなところに朝の5時に高松南港に到着するジャンボフェリーは、狙いすましたかのようにうどん屋めぐり向きなのだ。
ジャンボフェリーの売店。ここでうどんを食べる事も可能だが……。
ジャンボフェリーでの過ごし方についてだが、乗船時間は約4時間だ。朝5時着を目指す場合は少しでも寝ていきたいものだ。船内は大まかにいって、雑魚寝ルーム、リクライニングシートルーム、売店、ゲームセンター、船外デッキの5つで構成されている。普通は畳敷きの雑魚寝ルームか、リクライニングシートルームを利用するのだが、いかんせんここは消灯という概念が存在しないので、明るいと寝れないという人には辛いかもしれない。そこで穴場になってくるのが薄暗いゲームセンターだ。船内にはゴザが用意してあり適当な床に敷いて寝ることも可能になっている。これをゲームセンターの床に敷いて寝るというのが意外にイケているのだ。もしくは船外デッキに敷いて海風に吹かれながら寝るというのも悪くないだろうが、これは真夏ならばともかく他の季節だと非常にハードかもしれないので注意が必要だ。今まで何人かがチャレンジしたが、ものの1時間もしないうちに船内にゴザを敷き直して寝ていた。
こちらのリクライニングシートルームで寝るのが無難中の無難だろうか。季節によればやや暑いかもしれない。慣れた人間はアイマスクなどを用意しているのもよく見かける。
うどんマークが入るようになった。シートの模様もすべてこれ。ジャンボフェリーがうどんフェリーとしての強い自覚をもった瞬間。これを読んだ皆様も、ぜひジャンボフェリーに乗ってうどんを食べる旅に出ていただきたい。
高松南港からは無料送迎バスが出ておりJR高松駅前まで運んでくれる。帰りも無料バスが出ているのでバス停の場所を覚えておこう。駅周辺に複数あるが非常にわかりにくいので事前に公式ページなどでよくチェックしておくのをお勧めする。
到着して最初のうどん屋は高松県庁裏のさか枝などはどうだろうか。ちょうどオープンの時間で最高に美味いうどんを味わえるはずだ。
さか枝→うどんバカ一代→松下製麺所→植田うどん→麺処綿谷……なんかがオススメの巡回コースだがこれは各自で考えてもらったほうが良いだろう。
是非うどんフェリーで本場のさぬきうどん文化に触れて欲しい。
片道4時間とはいえ、たまの船旅も楽しいものだ。