獣医師が語る(その1) 動物病院をどう選ぶか? Part.1

  by いまもとしげき  Tags :  

動物病院の見分け方というテーマです。
あ、写真は、保健所において、処分される犬が最後に歩く廊下です。
さて、なぜこの写真を使ったかは、あとでわかると思います。

では、動物病院との関わり方について、少し獣医師として書かせていただきます。
人間の方でも、よい医療との関わりは、良い人生を歩めると思います。
逆に、医療により不幸な人生に転落することもあるでしょう。
どんながんばっても、命あるものは、いつか死にます。
ただ、医療の役目は、その死に方をより幸せなものに、するためでもあります。
これは、人間でもそうですけど、犬や猫をはじめとしたペットでもそうです。
きっとこれを読んでいる方は、ペットを飼って、動物病院へ行ったことがある人たちでしょう。
そして、できるだけ、家族の一員でもあるペットが、病気で苦しんだ時に、できるだけいい治療を受けさせたいと思っているのでしょう。
語り始める前に、、、、最初に、
獣医師というのは職業である。
ということを頭に入れてください。
ボランティアではありません。したがって、獣医師という職種には、多くの人間が存在します。

 
動物が大好きな獣医
動物は嫌いな獣医
犬だけは好きな獣医
猫だけは好きな獣医
獣医という職業が好きな獣医
金儲けのための獣医
本当に困った動物を助けたい獣医

 

色々とあるのです。どのような批判があっても、これらの獣医は存在しています。
多分、金儲けのための獣医という言葉に対しては皆さん嫌悪感を抱くと思います。また、動物が大好きな獣医という言葉に対しては、なんだかやさしい獣医さんというイメージを持つと思います。

 

では、聞きましょう。
あなたの近所に2件の病院があったとします。

 

1、金もうけ主義だが腕がいい獣医師
2、動物が大好きだが、どうも治療成績は今一つの獣医師

 

どちらを選びますか?

悩みどころですね。

こういた悩みに対して、ずばり答えて、、、、それは、できるわけないです。
決めるのは飼い主さんです。
どちらを選んでも、私はいいと思います。

理由は、
「殺そうと思って治療している獣医師は、いない」
からです。

自分の仕事として、失敗しようという気持ちでやっている人は、誰もいないでしょう。
それだけのことです。人により、考え方が違うので、私は、先ほどの質問には正解はないと思っています。
もし、いい加減な気持ちで治療をしているのであれば、それは最悪だといえるでしょう。

「僕は、お金が欲しい。」

そう言いながらも、患者さんには非常に丁寧な対応で、患者さんからも喜ばれている獣医師がいました。
患者さんから見たらいい先生ですよね。

私は、こういう先生でもいいと思います。

 

逆に、動物は好きだけど治療成績は今一つの先生。
こちらは、ひじょうによく親身になってくれます。
そして、時に、治すために知ってる先生に相談したり、手を尽くしてくれるでしょう。
しかし、こういった側面は、飼い主さんは、見ることはできません。
だからこそ、私が言いたいのは、

「親身になってくれて、勉強もしていて、いい獣医師に出会ってくださいね。」

ということなんです。
そのためのアドバイスとしては、
まずは先生とよく話をしてみる。
時間がなさそうだからと言っても、やはり獣医師は飼い主さんが心配なら話を聞くべきでしょう。
そして、その話の中で、その先生の人となりを理解していけばいいです。
動物病院とは、長く付き合う方が絶対いいです。
動物病院を転々とするジプシー生活で、幸せはつかめません。それは、言いきっていいと思います。
信頼できる獣医師を見つけることは、飼い主さんの大切な仕事の一つです。

 

では、次です。

 

以下ような評判の2件。どう選ぶか?

あなたの近所に2件の病院があるとします。

 

1、獣医師がたくさんいるバリバリ診察をする院長の動物病院 でも高い。

2、開業30年の院長先生と、スタッフ一人の動物病院で良心的な診療価格

 

これは、どちらを選びますか?
この問題はどう考えるのがいいか?
結果は、どちらの病院も正解。
いっぱい獣医師や設備を入れるとしたら維持費だけで大変。
そう、獣医師は職業です。
より良い診療のために、多くの動物を治すために設備を導入したんです。
そして、多くの獣医師により、様々な特殊診療もできる病院が、それだけの収入を得ようとするのは必然です。
経営者の視点で見ると、設備をどんどん入れて、それで価格を安くして、赤字一直線というのは、明らかにおかしいでしょう。
高い分、いい設備を使えます。
そこにいる獣医師が、どうなのかはここでは別問題です。
では、次です。
開業30年の院長先生。ここがポイントです。
30年の経験は、大きな知識の宝庫です。最新の治療はできないかもしれないけど、
多くの経験の裏打ちされたインフォームドができると思います。
何より、この業界で30年やってこれたのは、患者さんからの信頼の証ともいえるでしょう。
このように考えると、甲乙つけがたいものです。
前者の病院では徹底した検査の上に、診断が下されて、治療がされます。
後者では、経験に裏打ちされて、治療されます。
検査代金の分、飼い主さんが支払う分は異なりますよね?
でも、同じ治療なら、経験30年の先生の病院の方が、お財布にやさしいのです。
しかし、科学的根拠はありません。経験だけです。
さて、あなたはどちらを選びますか?
このように考えていくと、動物病院の選び方って、正解はないように思えます。

 

生きてる限り、死へ向けて歩いてます。

その道がせめて、明るいものでありますように・・・・。
今日は、ほんのさわりの部分だけになりましたが、これからシリーズ化して書いていこうと思っています。

奈良県で新庄動物病院を開業しております。獣医師免許とともに、将棋3段(アマチュアですが)北里大学獣医畜産学部卒業 東京大学農学部研究生 を経て新庄動物病院開業。 東日本大震災後は、警戒区域の動物問題に関わり、現地視察を継続。 専門は、ペット問題、動物愛護問題、犬の遺伝性疾患。現在、大阪府立大学にて、犬の腫瘍免疫療法の研究に従事。

ウェブサイト: http://www.youtube.com/watch?v=J_7yPbiYgRM http://www.youtube.com/watch?v=9turtcjBX28 http://www.dogactually.net/blog/2011/07/1-5.html http://www.rafu.com/2012/02/%E4%BB%8A%E6%9C%AC%E6%88%90%E6%A8%B9%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%B8%AB%EF%BC%9A%E3%80%8C%E9%85%AA%E8%BE%B2%E5%AE%B6%E3%82%89%E3%81%AE%E5%BF%83%E3%81%AE%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%82%92%E3%80%8D/ http://784press.navvita.under.jp/?eid=100 http://www.peppynet.com/sns/view_diary_23714_48492/

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