アルベルト・ザッケローニ監督率いるサッカー日本代表は5月30日、国際親善試合・ブルガリア代表と対戦しました。結果は0対2の黒星。スタニスラフ・マノレフのFKを川島永嗣が止められず(4分)、再びFKから長谷部誠がオウンゴールを喫しました(70分)。前半は3-4-3、後半は4-2-3-1の布陣で臨んだ日本でしたが、一度もゴールネットを揺らせず。
4日のブラジルワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア代表戦(4日)はまもなくです。ブルガリア戦の結果を受けて、ただ「豪州戦に黄信号」と表現するのは簡単です。私なりにじっくり考えて「思い切ってミシャスタイルの3バック採用を」と「インテンシティーやコンディション、本当にそれらが問題なのか」にまとめました。今読んでいるあなたも一緒に考えてみませんか。それでは、ぼちぼち始めましょうか。
可もなく不可もない3-4-3、サイドハーフをうまく活用しているチームは…
最初はブルガリア戦の3-4-3をまとめてみます。全体的な印象は「悪くなかったが、良くもなかった」といったところです。ザッケローニ監督は「基本的に日本は多くチャンスを作っていたし、その割には招いているピンチの数は少ないと思う」と振り返っていました。完全に同意はできなくても、あながち的外れでもないと感じました。
守備面はどうだったか。開始10分過ぎ、吉田麻也と今野泰幸は「明らかに困った」顔を見せていました。最終ラインを3選手のみで構成する不安。それを解消するのは難しそうです。栗原勇蔵(3バックの中央)は実質1人でゴール前をプロテクトし、吉田と今野はサイドバックの役割が求められます。サイドハーフのマークの受け渡しはスムーズとは言えません。
頭の中が整理されてないのであれば、攻撃よりも守備でやられないことを考えるのが常。前線の選手は追い回しても、中盤以下はどうしても受動的な守り方になってしまいます。一対一を強化すべきなのか。それとも連携の質を高めるべきなのか。どちらも必要ですが、ザックはどう解決しようとしているのでしょうか。
続いて攻撃面を振り返ります。4バックと3バックで選手の配置が異なるので、守備の対応も攻撃の組み立ても慣れないものになります。ザックいうところの「判断力の遅れ」が目に付きました。「パスミス」というよりは「相手に狙いを絞らせやすくなる」問題が生じていました。そうであれば、なるべく手数をかけずに攻め切りたいところです。
いくつか解決策を考えましょう。もしサイドハーフが孤立した場合、サイドチェンジで逆サイドに展開するのは効果的です。また、最終ラインの吉田や今野が逆サイドの裏にロングボールを蹴るなどの変化も必要になります。何本蹴ったからと言って、日本のコンセプトを否定することには当たらないはず。最後の崩しは後述を。
結論は、やはりと言うべきか、モノにするには時間がかかりそうということです。少し視点を変えてみましょう。サイドハーフが最終ラインに吸収されること(5バック化)への批判がありますが、要は「5バックになろうが、攻守で人数をかけられればいい」と割り切るのもありでしょう。
攻守の鍵を握る3バックのサイドハーフをうまく活用しているチーム。ミハイロ・ペトロヴィッチが育てたサンフレッチェ広島、そして今育てている浦和レッズが思い浮かびます。今の代表と代表招集経験を有する広島・浦和勢を組み合わせると、西川周作、槙野智章、吉田麻也、水本裕貴、中村憲剛、阿部勇樹、駒野友一、長友佑都、香川真司、原口元気、佐藤寿人といったスタメンが組めます。決して悪くないと思うのですが、いかがでしょう。
今回はとりあえずここまで。「インテンシティーやコンディション、本当にそれらが問題なのか」へ続きます。