
狂犬病の予防接種に関しては、この国では、法律で犬への接種が定められています。
獣医師としては、接種を促すのが、決まりなんです。
一部では、狂犬病予防接種は、獣医師の利権だ!とも言われています。
そういう一面は否定しません。獣医師免許がないと接種もできないのですから、
国家試験を合格して、免許を持つものとしての、義務であり、権利でもあります。
それらを総合すると、利権にもなるのでしょう。
この日本では、もう50年以上も発症がない病気です。
と書かれていますけど、海外で感染しての発症はあります。
例えば、京都市在住の60代の男性がフィリピンで犬にかまれ、狂犬病を発症しています。1970年以来36年ぶりの日本での発症でした。狂犬病予防法が制定されて、保健所では野犬狩りが行われ、狂犬病の予防接種については多くの愛犬家が認知するようになりました。今、自分の犬にワクチンは、「狂犬病の予防接種だ。」と認識している人が、狂犬病の接種現場では、ほぼ100%です。一方で、動物病院で行われていたりする伝染病についての予防接種ですが、どんな病気の予防が含まれているかを知っている人は少ないのです。有名なところでは、パルボウイルス感染症やジステンパーといったものでは、知っている方も多いでしょう。しかし、うちの犬は9種ワクチンを接種してるんです!という方でも全て言える方は少ないんじゃないでしょうか?
狂犬病の予防接種に関しては、認知度は本当に高いと思います。
それについては、この法律が浸透したという言い方でいいでしょう。
それにしても、もう、この法律は非常に古い!そろそろ改正を!と、個人としては真剣に思います。
WHOの報告では、狂犬病の死者は、1995年で35583人、1996年に33209人、1997年に33221人です。世界的に見ると、決して甘く見てはいけない病気だと思います。あ、ちなみに、このWHOの数値は、インドでの死者の3万人を含んでのものです。ずっとインドでは、3万人と言われています。そして、狂犬病のこの調査に協力したのは、世界で110カ国ですので、全世界の数値ではないというのもミソです。
では、日本は国内での感染例がないということを踏まえてどうするか?
ですが、今の検疫の現状を考えると簡単には入らないでしょう。
しかし、万が一に備えて予防はしておいた方がいい。
せめて、生涯に一度は接種をしていただきたいものです。
そして、その後は定期的に、ワクチンにより得られた免疫が存在するかどうかの抗体価検査を実施していただければと思います。
すごく理想的な感じですけど、狂犬病の抗体価の検査ができるところが非常に少ないのもまた現状です。
海外に犬を持って行く際には、この抗体価の証明書をつけるのですけど、
検査にも時間がかかるし、ワクチン接種後一か月の測定なので、海外への移住準備でドタバタしている場合には、
ひじょうにスケジュールがぎりぎりになります。
抗体かをもっと一般的に広く測定できるシステムがあれば、接種に変えて、抗体価測定を用いたらいいのだと思います。
これは、他の伝染病の予防も同じで、免疫が切れたら、ウイルスが体内に入った場合に感染が成立しますので、
免疫の切れるタイミングで接種というシステムにしたらいいと思います。
狂犬病もしかり、、、、です。
狂犬病の予防接種は、数千円で行われてますけど、抗体価測定となると10000円を超えます。
そこは飼い主さんへの負担になるのかもしれません。そのかわり、犬への負担が減少できます。
とりあえず、狂犬病の予防は接種をすることが重要ではなく、
狂犬病のウイルスに対して抗体価を持つ犬が国内の80%以上いれば、蔓延は防げますので、それが重要になります。
今の狂犬病接種率から考えると、本国に狂犬病が入ってきて、早期に対策が講じられない場合には、蔓延します。現在の接種率は発表されているものよりもかなり低いと予想されます。(意味がないので、数値を用いることはやめときます)
犬を飼育してますって、役所に登録をしていない人だっていますし、何の予防もする事なく、誰かからもらった犬を飼っている人もいます。いったん蔓延がスタートすると、かなりやっかいです。
だからこそ、犬を飼ってます!の登録については、飼育後すぐに役所に提出を徹底すべきです。
そして、狂犬病の接種を受けてない飼い主さんがいれば、国内に狂犬病が入った際には
一斉連絡をする。これである程度の早期対処はできるでしょう。
少し視点を変えるだけでも、こうやって対処法はあります。
いかがでしょうか?
犬は家族というのであれば、役所に登録してあげてください。
きっと、それが、家族への第一歩になる。
その業務は、ペットショップさんに任せてもいいのでは?と思います。
動物取扱業というカテゴリーがあるのですから、そこで代行したらいい。
そして、国内の犬の状況も把握できれば、万が一狂犬病が入ってきても、拡大は防げる。
実際に、海外の船に乗った犬が着岸した際に行方不明にあったケースも聞きます。
その犬が持ち込めば、国内で感染が成立してしまう可能性もあります。
せっかくの狂犬病の清浄国なんですから、それは守り通していきたいです。
清浄国というおかげで、海外に犬や猫を出す際の書類検査は非常に簡単です。
狂犬病予防法というものは、大きな効果をもたらしたと言えます。
一方で、そろそろ真剣に考え直す時期に来ているのではないでしょうか?