第3回とありますが、これまでの流れとこれからの流れは「攻撃はキーパーからスタートする意識、なぜ水本ではなく伊野波なのか」の冒頭に記してあるので、ここでは割愛します。また、前回「ボールの預けどころとしてピッチに立つことに意味がある」もどうぞ。
今回招集されたFWは前田遼一、岡崎慎司、ハーフナー・マイク、乾貴士、香川真司、清武弘嗣、工藤壮人、東慶悟という顔ぶれ。今ひとつコンディションが判然としない本田を除けば、トップ下とウイングは香川、清武、乾のセレッソトリオがスタメンに近い存在です。ザックは清武により信頼を置いているイメージがありますが、私は「ゴールの匂いがする」点で乾を買っています。
ロシアとドイツの国内カップ戦決勝を控えている本田と岡崎はオーストラリア戦前日の合流となる見込みです。初招集の工藤と東にチャンスがないわけではないでしょう。戦術を擦り合わせる時間を大切にして欲しいと思います。ザックにケチを付けるとしたら、ブルガリア戦で起用しないケースでしょうか。「お試し枠」が意外な掘り出し物になる。そんなこともあるはずです。
センターフォワードのポジション争い。ハーフナーはオランダリーグで11ゴール・6アシストと結果を残しました。私は「代表だと中盤の選手との効果的な絡みに乏しい」と感じていましたが、どれだけ成長しているかが楽しみです。ライバルと目された森本貴幸や李忠成との差は明らかに開きました。そして前田も不本意なシーズンを送っています。W杯予選の先にあるコンフェデ杯でも結果を残し、自らの地位を確立できるでしょうか。
どうして待望論が強いアタッカーは外れたのか。
さて、ここからは待望論が止まない選手たちについて。例えば、佐藤寿人、豊田陽平、柿谷曜一朗といった実力者。呼ばない理由はそれぞれ違うと思いますが、ザックは前田やハーフナーに相当な信頼を置いているということでしょう。これは細貝や高橋にも言えます。豊田は今シーズンも結果を残していますが、タイプが似ているハーフナーを外す理由が見当たらないのでしょう。
メディアも選出を後押ししていたセレッソ大阪の柿谷を呼ばなかった理由。私は「もっと高みを目指せ」というザックからのメッセージのようにも思えます。ポジションがかぶる香川、清武、乾らを外してまで起用することは頭になかったはずです。そしてウイングやトップ下の若い才能、これまでザックが呼んできた選手(宮市亮、宇佐美貴史、大津祐樹ら)が期待に応えられていない点も見逃せません。今はクラブに集中を、ということなのでしょう。