身は非常に美味しいのに、その内臓の臭さゆえに「バリ」(小便)や「ネションベン」などと呼ばれ、捨てられてしまうことが多い魚・アイゴ。
本当にそんなに臭いのでしょうか?
これは確かめずにはいられません。さっそく匂いを嗅いでいきましょう!
※本文には魚の内臓の画像がたくさん出てきます。苦手な人はご注意ください。
アイゴの内臓
海藻を食べる魚は腸が長く、うずまき状になっているそうです。
アイゴの内臓はその見た目から「ゼンマイ」と呼ばれています。
しかし瀬戸内地域では珍味として重宝されており、ときには内臓のみを食べることもあるらしいです。
そんな話を聞いたら食べてみたくなりますね! 食べましょう!
(ちなみにとっても美味しい身の部分の実食レポートはコチラです)
匂いチェック
まずは匂いチェックです。内臓だけを取り出して洗ってみました。
捌いたり洗っている時は匂いはほぼ感じず、鼻を近づけてみなければ分からない程度にしか匂いません。
野締めで15時間くらい経過してから捌いているのに特に臭くないです。
では卵巣らしきものから嗅いでいきます!
( ˘ω˘ )クンクンスンスン 若草をギューッと絞ったような苦い匂いの中に、若干柑橘系の香りを感じる匂いです。
悪臭というような感じではないし、鼻を近づけてよーく嗅がなければ分からない程度です。
続いて問題の(?)ゼンマイの部分を嗅いでいきます。
( ̄ω ̄)クンクンスンスン あーこれは……。
消化器官なんだろうなと感じられる、動植物問わずさまざまな生物を飲み込んで胃で混ぜて消化した匂いがします。
緑色の胆のうと思わしき部分は、若草の苦汁と魚の内臓を混ぜた感じの匂いです。まぁまぁ臭い。
赤い肝臓らしき部分は普通の魚の内臓の匂いでした。
でも総じて言うほど臭くないぞ? いや、臭いは臭いけど。
煮ます
アイゴの内臓には寄生虫がいる可能性があるので、食べる前に煮ます。
圧力鍋で10分ほど煮込みフタを開けてみると……
くっっっっっっっっっっっっさ!!!!!!!!!!!!
これは加熱したらアカン……匂いがものすごく強くなり、蒸気とともに部屋に充満してしまいました(((;´•ω•`;)))
食べる
まずは卵巣から食べていきます。
見た目は完全にタラコですね!
(*°~ °*)モグモグ ふむ。悪くないです!
タラコとジャガイモを混ぜたような味で、あっさりしつつもコクがあり、けっこう美味しいです。
食感はすり身のテリーヌのような感じで、なめらかさの中に魚卵のツブツブ感があります。
これは煮つけるなど、きちんと調理すればすごく美味しくなる予感です(*´ω`*)♪
続いてゼンマイ部分を頂きます!
あーくっっせーーーー食いたくねーなー、コレ。
緑の胆のうらしきものから食べてみようかな? えいっ!(。・н・。)パクッ
っっっっ!?!?!? にっっっが!!!!!! なにこれ???
たぶん臭いんだろうけどそんなもの全てを吹っ飛ばす苦さ!!
これはきっと世界目指せる。
あまりの苦みに舌が麻痺しつつも、いよいよゼンマイを食べてみます(`・ω・´)!!
割るとまたくっせーんだ、コレが(笑)
( -`ω-)モグモグ
38℃の炎天下の日に大量の草と生魚を混ぜて敷き詰めて発酵させたような匂いと味がします。
でも(胆のうの苦さで舌が麻痺して分かりづらいのですが)複雑に絡みあった旨みも微かに感じられます。
サザエの肝に近い味わいがあります。
また、脂のプリプリ感と甘味もあるので、胆のうをしっかり除去し、塩や牛乳に漬けるなどでしっかり臭み消しをしてから煮つけにすれば、美味しくなる可能性が見えないこともない気がします。
ちなみに赤い肝臓らしき部分は普通のレバーパテの味でした。
感想
胆のうさえしっかり除去できれば、クモの糸のような千切れそうで細い希望ですが、美味しくなる可能性は秘めていると思いました。
(胆のうを食べた後はあまりの苦味で舌が麻痺し、30分以上何を食べても味が分からない状態になりました……)
ただ、瀬戸内地域で重宝されているアイゴは20cmに満たないような小型で、内臓の臭みはあまりないらしいです。
今回私が食べたのは40cm以上の大きな個体の内臓だったので、臭みが強かったのだと思います。
それでも美味しくなる可能性を感じられるほど旨みはあったので、機会があれば小型のアイゴの内臓も食べてみたいです(*´ω`*)
※画像は全て筆者撮影