相手への過度な批判や侮辱、悪口、皮肉、あざけりなどのネガティブな言葉は人間関係を破綻させる大きな原因と考えられている。仮にネガティブな言葉を相手に一言も投げつけなければ人間関係が破綻するリスクは大幅に減らせるだろう。しかし、人間である以上、友人やパートナーに対してネガティブな言葉を一切ぶつけないというのはほぼ不可能である。ここでは人間関係の破綻を防ぐために役立つ、ワシントン大学の心理学名誉教授であり、夫婦関係を含めたパートナーシップ研究の権威であるジョン・ゴットマンが提唱した「ゴットマン率」について紹介していきたい。
相手との関係で変わっていく許されるネガティブな言葉の比率
「ゴットマン率」とはポジティブな言葉とネガティブな言葉の数を比率化して人間関係の破綻を予測する法則である。とはいえ、ゴットマン率を知らなくても身近な肉親やパートナーにだったら少しくらいネガティブな言葉をぶつけても嫌われないが、あまり知らない人間に対してネガティブな言葉を投げかければあっという間に嫌われてしまうことは経験則で分かっている人は多いだろう。そこで、ゴットマンはどのくらいのネガティブな言葉を相手に発すれば相手との関係が壊れるかを具体的に数値化している。
ゴットマン率
①親と子供のゴットマン率 ポジティブな言葉3:ネガティブな言葉1
②上司と部下のゴットマン率 ポジティブな言葉4:ネガティブな言葉1
③夫婦や恋人などのパートナーのゴットマン率 ポジティブな言葉5:ネガティブな言葉1
④友人のゴットマン率 ポジティブな言葉8:ネガティブな言葉1
⑤スポーツクラブのコーチと教え子のゴットマン率 ポジティブな言葉10:ネガティブな言葉1
⑥お店のスタッフとお客のゴットマン率 ポジティブな言葉20:ネガティブな言葉1
⑦相手の養母についてのゴットマン率 ポジティブな言葉1000:ネガティブな言葉1
例えば親と子供のゴットマン率は3:1なので、親が子供を3回ほめて1回怒ったりするだけならば、親子関係は破滅的にならない。ということを示唆している。夫婦や恋人などのパートナーに対しては5回ほめて、1回相手にネガティブな言葉をなげる程度ならばパートナーとの関係は破綻しないと考えられる。ゴットマンの調査結果によると1番繊細に接する必要があるのが養子との関係である。養子の相手に対しては例え900回以上ポジティブな発言をしていても、1回でも相手の養母についてネガティブな発言をすると関係が壊れてしまうようだ。
上記のゴットマン率は研究対象がアメリカ人である上にネガティブな言葉の質に対しては細かく言及していない。それでも人間関係を破綻させないための目安程度に利用するのならば、充分に役立つのではないだろうか。
写真素材足成より引用
http://www.ashinari.com/2012/03/04-358633.php