今やだれもが持っているワイヤレスイヤホン。そしてコロナ騒ぎでオンラインミーティングが盛んになったことにより企業を中心に普及し始めたヘッドセット。どちらも便利なものだが、実際にはスマホで音楽を聴いたり、オンライン会議の時だけの使用になったりしていないだろうか。それではもったいないので、若干マニアな使用方法と最新のワイヤレスイヤホン・ヘッドセットの機能についてお伝えする。
Jabra Elite 5
Jabraは北欧・デンマークの補聴器メーカーで耳に関してはプロ中のプロだ。Jabra Elite 5は数あるシリーズの中でも上位モデルに属する。コーデックにはaptXが搭載され放送や映画といったプロ分野で使用されてきた実績をもとに高音質・低遅延で耳に届ける。
ハイブリッドアクティブノイズキャンセリング機能は当然搭載なので、電車の中でも耳からはほぼ音楽しか聞こえてこない。ただし乗り過ごしには注意だ。そしてノイズキャンセリング機能搭載ということは、マイクを使用してその逆の機能(ヒアスルー)も搭載できるわけで、周囲の音を積極的に増幅してイヤホンから出力する。これにより徒歩で使用しても周囲の音がよく聞こえ安全だ。
さて、バイクに乗車するときにイヤホンはしてもいいのかどうかについて、法律に明確な禁止規定はない。ただし都道府県の規則で規制があるが、それでも具体的な数値での制限はない。例えば東京都の場合は「安全な運転に必要な音や声が聞こえないような状態で運転しないこと」となっており、緊急車両の接近や他車の警笛等が聞こえなければ危険という考えからで全国で概ね同様の規則のようだ。よって片耳であろうが両耳であろうが、周囲の音が聞こえない状態では違反ということになる。
当然ながらノイズキャンセリングは厳禁と考えた方が良さそうだ。逆にヒアスルーモードを使用すれば、スマホのナビの案内や音楽はもちろんだが、周囲の音を積極的に増幅してくれるので救急車が近づいてきた音や、後ろから大型車が迫ってきているエンジン音もよく聞こえ快適だった。頻繁にツーリングに行くような方はヘルメットにインカムを装着するケースが多いが、たまにしか乗らないのであれば普段は電車や徒歩で使用するインナーイヤータイプのワイヤレスイヤホンが一石二鳥で使用感もよい。ヘルメットを装着しても違和感はなく耳が痛くなることもなかった。夏のツーリングシーズンにヒアスルーモードで快適なお出かけはいかがだろうか。
Jabra Evolve2 65 Flex
Jabra Evolve2 65 Flexは折りたたみ可能なワイヤレスヘッドセットで、オンライン会議に向いている。機能はイヤホンと同様だが、会議に特化した便利な機能もあり在宅ワークの割合が多い方には必須アイテムだ。
これも会議の時だけ使用するのはもったいない。そこで若干特殊な使用方法だが、アマチュア無線のトランシーバーに接続してみた。アイコムのIC-705はbluetoth機能が付いているので、ペアリングしてみたところ何の問題もなく接続でき、一覧に表示された。問題は送信するときのPTT(push to talk)だが、最も簡単に使用するにはマイクも接続しておき、マイクに付いているPTTボタンを押すことにより、マイクをPTTボタンとしてだけ使うという方法だ。押している間は本機のマイクから変調がbluetoothを経由してトランシーバーから送信される。実際に交信してみたところ、相手局からの変調レポートも良好でマイクを持って口を近づける必要がなく相手局の信号は耳から聞こえるのでクリアな送受信が可能だった。
さて本機はインナーイヤータイプよりも物理的に大きいのでバッテリー容量も大きい。結構使用してもスマホアプリで表示される残量はほとんど減らない。毎日使用しても、頻度にもよるが1週間くらいは持ちそうだ。充電はワイヤレスでUSBに接続した充電台に置けばよい。自立するので本当に置いておくだけだ。そしてType-Cポートも備えているので、有線での充電も可能だし、そのまま有線ヘッドセットとしても使えるので非常の際は有効だ。
業務用PCの場合は情報漏洩防止のためにbluetooth等の機能が省かれている場合がある。本機のケースにはちゃんとblutoothドングルが付属しており、外出先でbluetooth機能がないPCを手にした場合でも使用に困らないように配慮されている。ちなみにJabraの製品はアプリで各種設定が可能で、補聴器メーカーらしく耳の聞こえ方が個人で違うことから、最初に使用する際に聴覚検査のようなトーン信号が出て個人別プロファイルを自動作成して最も聞こえがいいように周波数特性を調整している。もちろんノイズキャンセリングの特性やカット度合いもマニュアルで調整可能なのはプロ仕様ならでは。
黄色い厚紙が差し込まれているポケットにbluetoothドングルが入っているのがわかる。このキャリングケースもフエルト状のもので自立するオシャレなものだ。充電台は入らないが、外出先で必要な場合は必ず持っているだろうモバイルバッテリーとType-Cケーブルで充電できるので困ることはない。もちろんスマホ用ACアダプターでも使用可能だ。
今回は通常の使用に加えてマニアックな骨の髄までしゃぶりつくす使い方を紹介したが、bluetoothでペアリングさえできればどんなマニアックな場面でもたいていは使用可能だろう。個人のライフスタイルに合わせて使い方を見つけ出していただきたい。
※写真はすべて記者撮影