ライターの丸野裕行です。
京都在住の筆者ですが、アフターコロナに兼行することを政府が打ち出す前から外国人観光客や国内旅行を楽しむ日本人観光客が一気に激増しました。
そんな京都では今、タクシードライバーが不足している状況なのをご存知でしょうか。
サービスが行き届いたタクシーの場合、アプリやコールセンターに連絡をとっても、45分待ちや1時間待ちなんてザラ。
タクシーだけでなく、バスや電車などの乗り物ももちろんありますが、外国人観光客や地元の足として利用している市民たちは、このタクシー不足に当惑しています。
京都の各タクシー会社はドライバーともども受電のコールセンター人員を募集し続けています。ただでさえ、人不足が叫ばれている中で、京都経済の3年間の溝を埋めるがために、すべての観光事業が一丸となってこの京都の活性化に躍起になっています。
そこで、今回は現役タクシードライバー歴24年の岩村歴彦さん(仮名、56歳)に現在の京都のタクシー事情をお聞きし、観光、宿泊、ツアーなどの内情をお教えいただきたいと思います。
公共機関がパニック
丸野(以下、丸)「日差しが照りつける夏本番の京都駅の白昼のタクシー乗車場で、関東から旅行に来ていた女性が熱中症で倒れたというニュースを見たことがあります。エアコンの効いたタクシーに乗れずに倒れてしまう状況というのに、違和感をおぼえたのですが……」
岩村さん「主要駅近くのタクシー乗り場では、週末・平日なんて見境なく、タクシー入場が難しくなってますね。国内外の観光客たちが40分以上待機させられるというのが現状ですよ。最低でも20分。この状況では、タクシーアプリなんて意味ないですよ。ホテルからでも予約をとれませんし」
嵐山も、河原町も、各神社仏閣にもにぎわいが戻る中で、京都はドライバー不足。観光需要に対して機会損失が大きく発生している状況です。
丸「しかし、なぜタクシードライバーが不足しているのでしょうか。不足していることで、京都市民や現場ではどのようなことが起きているのか疑問です」
岩村さん「先の見えないコロナ禍で、離れていったドライバーはすべての運転手人口のうち、2割にものぼるようです。会社都合、自己都合によって約18,000名が辞職し、コロナを乗り越えたあとにはかなり深刻すぎる事態に陥っているからです」
丸「なんと、ホントなんですか?」
岩村さん「顕著ですね。国土交通省の発表によれば、法人名義のタクシードライバーの数は、密室を嫌う客が増えたコロナ禍で、最高潮に減少しました。観光しないし、できないんですからね。全国的にそれりゃ減少しますよね、商売あがったりなんだから」
京都府内エリアでは23年4月の時点で7,000人弱、約3年前から2,000人(約2割)が減りました。京都府タクシー協会が認定した、外国人向けの《フォーリンフレンドリードライバー》も22年12月のころに50人足らず減少しています。
丸「えぇ。全国からの修学旅行も急増したらしいですよね。それに、高齢者の送迎などにも影響がでいる。通院の予約すら危ういとか。その不安は甚大ですね」
インバウンドのための研修を追加
丸「今後どうなるか、あるいはタクシードライバーとして稼ぐなら京都に来京するといいかもしれないのかですよね」
岩村さん「最近では、英語や中国語での簡単なやり取りができるような研修と簡単な観光地案内のマニュアル講座を受けた《認定ドライバー》が運転していますね。ほかにも、自分が知っている土産物屋や飲食店と話を取り付けてバックマージンをもらっている人間もいます。縁が取り持つといくらでも稼げる手段はあります」
丸「では今が狙い目ですね」
岩村さん「ええ。私は岐阜と大分でドライバーをしていて、クイブチに困っていましたが、今回の件で何とか稼ぐチャンスに巡り合えました。稼働率もコロナ前の4割ばかり下がりましたが……。紹介制度もあるんで、岐阜のドライバーを誘っています。岐阜はイマイチでしたからね」
丸「また辛辣な」
では京都市は?
京都市は各社に助成金を出し、AM・FМラジオ、ネットなどで新ドライバー確保に奔走しています。よく学び稼げる運転手を求め、47社あるタクシー会社は、運賃値上げを国土交通省に直談判し、秋の行楽シーズンまでに何とかしたいと画策しているそうです。
今、稼ぎたいなら絶対にインバウンド効果が大きな観光都市・京都のタクシードライバーです。かくいう私も少し考えています。
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