この世には様々な商売がありますが、サロン商法といえば極めてグレーなマルチ商法といえるのではないでしょうか?
マルチ商法とは警視庁では、販売員を増やすと同時に商品を買わせ、それを買わせる目的でさらにリベートが上がるといった口調で、会員を増やしながら商品を販売する商法とされています。
これは販売員になると高い利潤を得ようとして、過剰仕入れをするがため、予測どおりの会員の勧誘ができず、仕入れた商品が売れないため、多量に商品を抱えてしまうことになるといった問題が生じやすいことから、この商法は、”特定商取引に関する法律”により”連鎖販売取引”と呼ばれ、法律では規制されているそうで。
サロン商法は会員を募ってはいませんが、無料のギフトを用意し、「セミナーに参加すればもらえる」として、結局は威迫困惑行為 にも似てますし、長時間自分たちの商売目的を半ば強制的に特定の閉鎖的な場所で行って、最後は相手の良心に漬け込んで高額商品を売りつけようとしますから、本来、威迫困惑行為 とは”居座る’なんですが、販売目的のために滞在を強要してるようなものですので、悪質といえなくもないんですね。
しかしこの場合、”連鎖販売取引”にあたるのはどの部分かというと、この”集客”を得るには、お年寄りのネットワークが必要で、それには商店とかあらゆるところから、コミュニケーションが活発な場所やイベントを見つけ、あるいは電話勧誘によって、お年寄り同士が多ければ多いほど、より多くの無料ギフトがもらえるとすればいいわけです。お年寄りのクチコミ連鎖が必須なんですね。ここがマルチ商法の方法論を利用してるということ。欲をだすなら自分も集客に協力しろと。
では最後の、高額商品まではどうやってたどり着くのでしょうか?それにはソフティケートで、お年寄りが欲しがるものを与えればいいわけで、それが”人の良さそうな感じのいい若者”ということになります。つまり若人の親切心は、まるっきり”金目当ての笑顔”なんですが、それがお年寄りには”構って頂いた”に印象が変わるそうです。この手の商法は20~30代の若い人がセミナー講師というのが定番のなのか、実に多くの若者が関わっています。
ところが、こうした”グレーなマルチ商法”は、上がり、つまりは売り上げが芳しくないそうで、ほとんどが徒労に終始し、最後まで残って目的の商品を買ってくれるのは、ほんの僅かというのが実態。ですから利益のためには、仕入れを安くそれもできればタダで、しかも法外な価格にするしかありません。それとクーリング・オフを避けるため、当然こういう商法は同じところでいつまでも商売はできず、その結果最後の”商談”以後は、姿をくらますという寸法になります。濡れ手に粟どころか苦労報われずですね。ほとんどのご老人はタダで景品を持ち帰って、2度と来なくなってしまうそうです。
大抵のその高額商品でさえ倒産処分品を大量に購入したり、2級品の流通品だったりと出処が定かでないので、価格も勝手につけれるわけで。
この場合、ボトルネックとなってるのはこの物理的な移動コストと、集客のための労力ですが、これをクリアするために最近よく見るようになったのが、サロン型セミナーをネットで募るというもの。これが本当に多様化して様々な分野で出てくるようになりました。本当にキチンとした経営者セミナーならいいのですが、そうではなく、例えば以下のように、
SNSを活用したビジネスモデルを提案——会費5000円
登録にはFacebook、Twitterアカウントが必須
カリスマ美容整形外科が提案する肌トラブル解決法伝授
セミナー参加者募集—–登録はこちらへ
人とのコミュニケートで恋人もビジネスも
セミナー開催詳細はメールアドレスで簡単登録
こういった感じに、罪のない”会合”装ってはいますが、中にはセミナーという閉鎖的空間で入口で結局、著作本を渡され講演は数10分とか、募集だけして登録後はスパムメールだけが延々と毎日数十通、あるいは整形外科医という”美容サロン”の集客目的のセミナーで、無料診断で肌トラブルで「すぐに治療を受けないと大変なことになる」と煽って、結局は美容サロンの会員契約をさせるなど、どう考えても正に”サロン商法”そのものなのが非常に多くなってきています。
特にこのFacebookやTwitterなどは、スマートフォンなどで投稿する方が多いので、メールアドレスさえ手に入ればコッチのものと思われているようです。特にFacebookは、アカウント制御がちょっと複雑なものですから、スマートフォンからの設定ではなかなかしにくいのもあって、設定が甘い場合が多く、住居から家族構成、趣味や電話番号まで知られてしまいます。
詐欺ではないのですが、やり方がその昔’絵ウリアン”と呼ばれた商法にとてもよく似ていますね。
”絵ウリアン”とは知名度も怪しい一時的な場所を借りてのギャラリーで、ハガキを街頭で配り、手にとった人を閉鎖的空間に連れて行き、高額な絵を買うまで帰さない商法(展示商法)のことですが、こうしたサロン型商法もほとんど手法は同じです。展示商法自体は原価の不明な高額商品を売りつけるという点では、公序良俗違反となり、クレジット支払い停止などの判例があったので、この頃は下火になったとはいえ、まだ秋葉原に出かけるとやってはいるので、被害届も出さない人も多いし、判例も少ないため、生き残っているのでしょう。
敢えて”ネットサロン商法”と名づけましょうか。
”セミナー商法”として、かつては自己啓発セミナーとしてかなり広く行われていたローリスクでハイリターンの商売のため、形を変えて出てきたわけです。
しかしこの方法は、ハイリターンの代わり、展示商法やサロン商法とは異なり、同じ手口がそう何度も使えないことです。それは仕組みそのものにあります。
私が調査した事例では、まずブロガーと称してそれを総合して似たような記事を集めるため、よくあるWEBライター募集の場所に求人をかけます。これは数が多ければ多いほどいいわけで、体験談とか特定キーワードをいれた記事を一文字=1円程度で書いてもらうわけです。所詮は一文字換算ですから、600字でも600円程度。しかも選ぶ側の基準で精査すればいいので、評価基準はマイナスで始めますから、マックスで支払う義務はないわけでコストは非常に低く抑えられます。
今度はそれで集め回った記事組み合わせて、”独自’の記事を作成します。ネタはさがす必要がないので作業はアップロードだけです。問題はそれをどうやって見せるか?
今はGoogleの検索もページのMETA情報だけではキーワードで上位に上がってくることは難しくなってきました。そこでそうした記事ばかりを集めたサイトを、同じようなサロン型商法のつながりによって探して、あるいは類は友を呼ぶではありませんが、そうした方法論はある種の業界ではスタンダードでしょうから、そういったポータルサイトはすぐに立ち上げられるでしょう。電子コンテンツさえ揃えればなんとなく見た目はIT系ですからね。あとはもっともらしい架空ペーパーサイト運営会社を作ればいいだけです。これで背景は完成。
次に、そのポータルを知名度のあるSNSに広告を出したり、有名な掲示板にスレッドを立てて、自作自演の”炎上”を作り出したりして、ある程度のポータル閲覧者を作り出します。
しかし、話題に便乗してうまく引き込まれて内容を詳しく知ろうとすればするほど、そこのポータルでは、利用してるSNSサービスのアカウントを執拗に求められます。会員になるにはメールアドレスや携帯電話番号、あるいはFacebookなど登録して、友達認証さえ突破すれば個人情報がわかるようなSNSアカウントが必要になるようにしてあるんですね。
宣伝とは効果を上げるには、より多くの視認を必要とするわけですから、無駄な鉄砲でも当たる人は何人かいるわけです。
当てられた文字通りの”カモ”は、その後あらゆる手段、メールや電話によってセミナー勧誘を受けるわけで、そこから先は展示商法とほとんど同じ。
しかし個人情報に関しては、法に抵触する部分でもありますから、メールアドレスでログインできるような仕組みにはしてあることが多いようですが、そうした”逃げ道”は、大抵の場合は見えにくいか、わかりにくい、あるいは「WEBメールでの登録は迷惑メールになることがありますので、ご注意ください」などと、よく考えればそうした迷惑メール処理をしていない場合もあるにもかからわず、パソコンメールや携帯メールアドレスを即すなど、引き出すのが巧妙です。
なぜ別サービスのアカウントが必要なのか?と素朴な疑問。
恋人、失恋、婚活、就活、ITビジネス、こういうキーワードでのセミナーは、すべてがそうではありませんが、「このサイトの後半はメルマガ—–無料」・・・・やってみたら結局リンクばかりで肝心の中身は?のような、どうでもいいような自己啓発系セミナーが多いのは、背景として”濡れ手に粟の金儲け”が絡んでいるからかもしれません。
実際私が取材がてら、かつて健康サプリメントのセミナーに参加したことがあります。そこではまず兄弟や姉妹がいる家庭がターゲットになっていて、まずそのうちのひとりに近づくため、その人が自営業をやっていたらまずそこで常連になるわけです。
次に「こういう商売が副業で出来る」と持ちかけます。この「副業です」というのがミソで、あくまでも本業を邪魔しないということで警戒心を紐解きます。
あとはそのセミナーに親兄弟を連れて行かせる。
健康チェックと称して、よくわからない装置に手を入れ赤い光で照射。1秒しないうちに結果が出て、Windows2000が入ったノートパソコンでグラフを見せられる。
「これ以上この生活を続けると貴方はあぶない」といわれる。
「幸いご家族にサプリメントを販売してる方がいるようなので、継続して買ってください。」
この程度で騙されるひともいるのか?と思われるかもしれませんが、そのセミナーは結局如何に身内をマルチ商法に誘うかが目的なので、その後にちゃんと時間を設けて形だけの”タバコと健康被害と寿命’などと、もっともらしいセミナーが開催されます。
そこに講師でいるのは、なんと自分の親兄弟。つまりは騙された人たちです。向上心と名誉欲が満たされますから、見ている人たちの中には「自分も憧れの人になれる」とせっせと無駄な効果も怪しいサプリメントを大量購入。なんとも切ない気分にさせられましたが、結果私のところから誰もサプリメントを買う人は現れず、数年後にはその商品すらもこの世から消えました。
扱う商品は違えど、マルチ商法はこの世から消えないのは、未だに”楽して稼げる”と考える人がかなりの割合で存在するという証拠かもしれませんね。
ネットで募集で商売は依然と同じやり方。すべてがインターネットで完結しないのが唯一の救いでしょうか?