さよならテレビ。2011年7月24日正午をもって、地デジ難民になりました。

  by 池沢智史  Tags :  

7月24日。本当にこの日がやってきてしまいました。そう、地デジ対策をしてこなかった者にとってはまさに暗黒の日、「地上波アナログテレビ放送の終了日」です。福島・宮城・岩手県以外の44都道府県で、この日の正午ちょうどに、アナログ放送から地上波デジタル放送に完全移行したのです。

その瞬間、当然ながら全てのアナログテレビは一斉に放送を停止。それまでに地デジチューナーを取り付けるなど、対策済みだと思っていた人たちの一部も急にテレビが観られなくなり、「地デジ難民」になってしまっていると報道されています。

筆者も地デジ難民の一人ですが、みずから進んでそうなった点では「なんちゃって地デジ難民」なのかもしれません。24日午後はまだ各局とも、「総務省 地デジコールセンター」などを案内したブルーバック画面でしたが、25日を過ぎた今では完全にどの局も「砂嵐」です。

「えー! まだ地デジじゃないのー? 7月なんてすぐ来ちゃうよ!」筆者が、一向に地デジ対応をしていないことを口にするたび、このような反応が返ってきました。それもそうです。どうしてクリアで便利な地デジにさっさと乗り換えず、今じゃ砂嵐なんか観ているんでしょう?

別に「国家の横暴だ!」などと反抗しているわけじゃなし、地デジチューナーを買うお金に困っているわけでもなし、ましてや、24日になる直前に総務省が「やっぱ延期! だって全然普及してないもん!」というドンデン返しを期待してたはずもなく……。

特に深い理由もなく、ただ「7月24日」までの日々を無為に過ごしていたのです。あえていえば、「ここ最近、テレビほとんど観なくなっちゃったし、観ようと思えばいつでもテレビは買えるし、まぁいいか」といったところが正直な気持ちだったのです。そうこうするうちに24日の朝を迎え、電器屋さんに走るどころか、「この歴史的瞬間を見逃してなるものか!」とばかりに、正午に向けてテンションがヒートアップしていく始末です。「これは、頑なにアナログテレビ主義を貫いてきた者のみが味わえる恍惚だ!」とか言って。

どの局も、だいたい「アナログ放送58年の軌跡」のような、テレビとともに歩んだ「古き良き昭和」を懐かしむ番組を流しはじめました。今まで何万回も観てきた、昭和34年ご成婚パレードや東京オリンピック、アポロ月面着陸などの映像がこれでもかというほどループされ、気づけば時刻は11時半過ぎ。

日曜お昼のおなじみの番組でも、画面右上に「地デジ移行まであと○分○秒」「アナログ放送終了まで○分○秒」などのテロップが表示されています。地デジ移行が完了した人たちにとっては、アナログ放送終了の瞬間はお祭り騒ぎらしいのです。そりゃ大歓声も湧き起こるでしょうよ。しかし筆者にとっては、さよならテレビ、また会う日まで、なのです。笑っていいわけありません。アッコにおまかせできません。

そして11時59分、筆者はチャンネルをフジテレビに合わせていました。画面はやっぱりタモリです。タモさんが、節目の仕事『地デジ化ウォッチング』をきっちり歌い上げると、スタジオはもうカオス。出演者もテンパりまくりです。カウントダウンが10秒を切る頃には、ナインティナイン岡村と見知らぬ若手芸人が、グダグダながらもなんとかポーズを決めようと頑張っています。そして……

スタジオ内の歓声が、「……3、2、1、」といったところで、突然放送が終了しました。ブルーバックに、

ご覧のアナログ放送の番組は

本日正午に終了しました。

今後はデジタル放送をお楽しみください

という文字の表示。

お問合わせ先として「総務省 地デジコールセンター」(0570-07-0101)のご案内とともに、「フジテレビ視聴者総合センター」の電話番号が表示されています。

「今ごろデジタルの世界では、タモさんやアッコさんは完全移行を祝して大騒ぎなのだろうな……」そう思った私は、いつしか携帯を握り締め、いつまで経ってもつながらない「地デジコールセンター」に何度も電話をかけていたのでした。

ちなみに26日現在、今から都内の大型家電量販店で「4~5,000円台の地デジチューナー」をゲットするのはかなり至難の業とのこと。2万円台のチューナーか、地デジ対応テレビを買ってしまう方が早いかもしれません。チューナーを買う場合、テレビが対応するかも確認してくださいね、とコールセンターの方に注意されました。

また、集合住宅等にお住まいでチューナーを買う方は、建物自体のアンテナが対応しているかどうを、あらかじめ管理人さん等に確認しておきましょう。苦肉の策ではありますが、ワンセグ携帯をお持ちの方は、つなぎとしてデジタルテレビ視聴に利用するのも手なのかも……しれません。

元・個人トレーダー。現在はWEB業界・広告業界を渡り歩きつつ、心の拠りどころはテキスト書き。おもな執筆ジャンルは投資全般で、日本株・FXに関しては単著もあります。ニュースサイトに配信しにくいネタは、気まぐれでブログに書いたり書かなかったり。

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