by takagishigemi  Tags :  

アメリカで教師をしていた英検1級講師は「京大」英語で何点取れたのか?

はじめに

  このタイトルを見て読み始めてくれた人は京大受験生、あるいは難関大学受験生の方か英語をマスターしたい方だよね。結論から言うと「81%」の得点獲得率でした。言うまでもないかもしれないけど、この得点獲得率は最難関の医学部でも合格できるレベル。

「予備校で英語を教えているなら当然じゃん!イキるな!」

 と思うかな?でもね、キミの学校の英語の先生、あるいは塾の英語講師はどうなの?私は名古屋の7つの予備校や塾で英語講師をしてきたけど、英検1級の講師に出会ったことはないよ。旧帝卒の講師に会ったことは一人だけ。

「ウチの先生は英検1級だから大丈夫」

 とか

「私の塾の先生は京大卒だよ」

 というのもひっかかる。何でかと言うと、英検1級と京大二次の問題は違うもんな。京大卒っていっても、京大のボーダーは65%前後が多いから80%を狙う医学部受験生の指導はできんよ。

 キミのクラスに帰国子女はいない?ALTの先生はいるんじゃないかな。私が学生時代に帰国子女がいたけど英語で1番じゃなかったよ。ALTの先生に英検1級の問題をやらせてごらんよ。制限時間内に100点取れるか試せば分かる。

  最近は「TOEIC満点」というキャッチコピーで集客を頑張っている講師が多いよね。その先生は英検何級かな。学歴は?本当に京大二次試験で8割とれるのか?

 京大二次で8割を超える受験生なんて、医学部か各学部でトップ合格するような人だけ。医学部を卒業して塾講師なんて超少数派だろうし、各学部のトップクラスの人は研究者になるもんだよ。

 だから、河合塾、駿台、東進といった大規模予備校にも「理Ⅲ」や「京医」の受験生を指導できる講師なんてほとんどいない。Z会の添削者は誰だか分からないし。

第一章

 大雑把に言って日本には3種類の英語が存在している。学校や塾で指導する「受験英語」、ECCジュニアなどの英会話学校で教える「資格英語」、そしてALTが教える「ネイティブ英語」。

 TOEICやTOEFLはリスニング重視だから、TOEIC満点なんて言っても受験英語では高得点がとれない。逆に、東大や京大に合格できても英語を満足に使えないのは知ってみえるでしょう?ネイティブは日本の受験事情や入試の出題英語には全くの無知。

 私はアメリカで教師をしていたので「ネイティブ英語」を知っているし、英検1級やTOEIC800点超えだから「資格英語」も知っているし、京大二次で8割超えだから「受験英語」も知っているよ。

 だから、耳を傾ける価値があるかもね。説明させてもらいます。

 

第二章

   最初に
「何かおかしいぞ」
 と気づいたのは、1982年にアメリカのユタ州ローガン中学校で社会の授業をしている時。同席していたネイティブの教師が、しばしば私の授業を中断して生徒に向かって説明し始めた。
「ミスタータカギが今使った単語の意味はね、---」
 と解説を始めた。それで、一番仲のよかった理科教師のアランに
「なんで私の授業を中断するのかな?」
 と相談したら
「お前の英語は綺麗だけど、ビッグワードを使いすぎなんだ」
 とアドバイスをくれた。それで、注意して職員室の会話などを聞いていると、確かに中学レベルの英語を使っている。自分が受験勉強で習った難解な単語など全く出てこない。
 not more than と no more than の違いなど、使わないのだからどうでもよかった。私の塾生たちは、高校で与えら得た「システム英単語」を使って単語をいっぱい覚えているが、多分ムダになる。
 アメリカから帰国した私は公的な資格を取ろうと思って、とりあえず英検1級の過去問を書店で入手した。そして、知らない単語や表現を見つけてウンザリした。
  もはや、高校生の時のように
「頑張って勉強しないと」
 と自分を責める気になれなかった。私はネイティブの助けを借りて問題を解き始めたが
「これは何だ?なんで、日本人のお前がこんなものを」
 と言う。それで、
「どういう意味?」
 と尋ねると
「こりゃ、シェークスピアの時代の英語だよ」
 と笑っていた。
  しかし、アメリカから名古屋にある7つの予備校、塾、専門学校に履歴書を送付しても全て無視されたので、私は日本の英語業界で認知されている資格を取らざるをえなかった。
  事実、英検1級を取ったらどの予備校、塾、専門学校も返事が来るようになった。結局、コンピューター総合学園HAL、名古屋ビジネス専門学校、河合塾学園、名古屋外国語専門学校などで14年間非常勤講師をすることになった。
 その間に出会った英語講師の方たちの中に、英検1級を持っている人はいなかったし、旧帝卒の講師の方はアルバイトの一人だけ。資格を持たないと雇ってもらえないという私の見方は誤っていたかもね。
 私はその頃には受験英語を捨てていた。どの資格試験の英作文も面接試験も、すべてアメリカで使っていた英語で通した。つまり、中学生レベルの英語を使って難解な内容を表現する英語だった。
 ところが、今はまた受験英語を指導している。高校の入試問題も、大学の入試問題も30年前から何も変わっていないのだ。受験参考書の構文も、相変わらず take it for granted that や not until の世界なのだ。
 日本にやってくるALTが増えて、
「日本の教科書はクソだ」
 とか
「英語が話せない教師が英語を教えている!」
 と言っても誰も耳を貸さない。そして、偏差値追放、小学校から英語を、と意味不明の政策を打ち出す。私のいる予備校、塾業界も暴走族講師やらマドンナ講師やらパフォーマンスばかり。
 そして、それをマスコミが煽る。賢い生徒はあきれ返っている。
 一体いつまでこのような状況が続くのだろうね。

第三章

 京大は英語の試験が和訳と英作文という珍しい大学。それで、まず「京大模試」とZ会の「京大即応」を受講してみた。京大模試は河合、駿台、代ゼミなどを10回。Z会は8年間やって、じっくり研究してみた。
 ランキングに載り、Z会からは「六段認定証」というのももらったが、毎回の添削は納得がいかなかった。京大模試の採点も同様だ。それで、
「いったい、だれが採点してんだ?」
 と思い調べてみた。しかし、企業秘密で分からない。ただ、自分が勤務していた予備校の講師レベルだろうとは推測できた。受験参考書どおりの訂正がなされていたからだ。
 京大を受けた時は、最初の2回は「受験英語」で書いてみた。すると、6割正解くらいだった。私の英語がそんなレベルであるはずがない。それで、次の2回は「資格試験」の参考書に書いてあったような古い口語で書いてみた。それでも、7割くらいの正解率だった。それで、最後の3回はアメリカで使っていたような中学レベルの英語で書いてみた。すると、8割正解に跳ね上がったのですよね。

第四章

「京都大学の英語で8割を越える」ための一考察  

1、問題意識

  私は名古屋大学の教育学部を卒業し、アメリカの公立中学で教師をし、30年以上予備校・塾・専門学校で受験指導を行ってきた。その関係で多くの英語教師、英語講師に接する機会があった。アメリカ人はもとより、イギリス人、オーストラリア人、アイルランド人など多くのネイティブと接する機会があった。

  それで、ある程度は「受験英語」「資格英語」「ネイティブ英語」の3つを書き分けられるんだよ。

「京大の入試の英作文ではどのタイプの英語が評価されるのか」

が、この考察の問題意識です。

 

2、研究方法

 京都大学を実際に6回受験してみて、成績開示をする。その際、最初の2回は「受験英語」、次の2回は「資格英語」、最後の2回は「ネイティブ英語」を意識した書き方をしてみる。

  その結果の平均値を比較することにより、どのタイプの英語が高く評価されるのかを考察する。年度による難易度の差、学部により採点者が異なると思われるので、そこも考慮して考察してみる。

 3、調査の実施

平成18年、20年( 文学部  )正解率の平均 66% (受験英語) 

平成21年、22年(教育学部)正解率の平均 76% (資格英語)  

平成24年、25年(総合人間)正解率の平均 79%(ネイティブ英語)

 

  最高が81%であったので、Youtube 、 ブログ、ホームページ上において

「私以上の人がいたらお知らせください」

  と挑発したところ、2件の報告があった。82%であった(本当かな?)。また、京大が公表している最高点は総合点だけであるが、8割程度なのでこの8割は英語単独の最高点と考えてよいと思われた。

 4、結果の分析と考察

 この結果によると、サンプルが7個では有意差の検定が出来ない。しても、意味がない。 

1、私が受験慣れした。

2、受験、資格、ネイティブの訳し分けが曖昧。

3、年度、学部による難易度、採点の厳しさの違い。

  などの変動要因が考えられて、単純に「ネイティブ英語が最も評価される」と結論づけられないかもしれない。

第五章

  実験だけでは納得してもらえないと思うので、私が得た経験を実際に通塾生の方や、通信生の方の指導に使ってみました。

 A子ちゃんのこと

  もう10年以上経ったから書いても人物が特定できないだろう。長く受験指導をしていると忘れられない生徒がいる。A子ちゃんも、その一人だ。

  私の塾に来てくれたのは彼女が小学6年生の時のことだった。最初に面接した時に、一目見て

「この子は賢い子だ」

 と分かった。学力を確認しようとプリントを渡したら、いつまで経っても提出しようとしない。完全に仕上げるまで粘る子だった。

  彼女は小学校の時から

「私は医者になりたい」

 と言っていた。私の塾はそういう子が多い。しかし、家庭は金持ちではないので何がなんでも国立大でないといけないと覚悟していた。私の小学校時代とはえらい違いだ。

 中学校では猛勉強して常に学年でトップクラスだった。そして、

「自治医大だと無医村に行けば学費が浮くとか聞いた」

 とお金がなくても医者になれる情報を集めだした。私もできるだけ協力して情報を収集した。

 そう思わせてくれる塾生だった。

  灘やラサールや東海の過去問を集めて練習する授業も彼女から始めた。そして、当然のように四日市高校の国際科に合格した。

 その頃、メールやファイルが普及し出したので私はさっそく

「家庭学習中に出た質問はなんでも送れ」

 と塾生に檄を飛ばした。私は中学生は5科目、高校生は英語と数学に対応できるのだ。

 A子ちゃんはほとんど毎日ファイルを送ってきた。その質問の内容も勉強していないと出来ない質問ばかりで感心することが多かった。私は、A子ちゃんからどれほどの力をもらったことだろう。実は、白状するが高校の数学を指導しようと決めたのは彼女の影響が大きい。

  英語に関しては、高校の時に英検の準1級に合格した。だから、英検1級の先生が必要になった。私は彼女の書いてくる英文の日記を読みながら添削をし始めた。これが、後にネットによる通信生の募集につながった。まことに、A子ちゃんが私に与えた影響は大きい。

  1級レベルのアドバイスをすると、たいていの生徒の方は

「何を言っているのか分からない」

 という反応だったけれど、A子ちゃんは私の意図することを即座に理解するため、授業も楽しかった。語彙や文法が正しければ良い英作文が書けるわけではない。

  当たり前だが、マナーやエチケット、採点官に対する思いやりが欠ける英作文は高く評価されない。学力だけではなく、そういう人間的な深みがないと合格の見込みがない。浅い理解では京大などの難関大は合格できるものではない。

  実は、私に京大を7回も受けさせたのも直接的にはA子ちゃんの影響が大きい。

「この子は日本の宝だ。何としても志望校に合格させなければ」

  と思った。出来ることは何でもやる。娘以外の人間で、私にそんな思いをさせたのはA子ちゃんが初めての生徒だった。

  A子ちゃんは、あるクラブに所属して大会で入賞する成績をおさめていることは耳にしていた。ところが、高校2年のある時、自主的にそのクラブを引退した。理由は分からなかったけれど、成績が伸び悩んでいたのが理由だということは推測できた。

  私は、彼女の覚悟というか気魄に驚いた。

「先生はバツイチでも、1回結婚できたからいいですよ」

 と笑っていた。言葉の端々にクラブばかりか、彼氏も結婚も何もかも犠牲にしても医者になるんだという強い決意が満ちていた。彼女のクラスがある時は、楽しかったけれど緊張した。

 「この仕事を始めてよかった」

 私にそう思わせてくれた塾生の子は多いが、彼女はダントツの存在だった。

    A子ちゃんは家庭環境にも、経済的にも恵まれていなかった。多くの生徒は、過酷な環境に置かれるとグレるか性格が歪む。しかし、彼女は厳しい環境を自分を育てる肥やしにできる稀な子だった。

 「政策金融公庫と奨学金と私のバイトで何とかする」

 そういうA子ちゃんだった。そして、ある時ボソっと

「お母さんが生命保険を解約するって・・・」

 と小さな声でつぶやいた。しかし、その目には絶対に合格するという覚悟が見えた。

  そんな貴重なお金を塾に提供してくれるのだから、リキを入れないわけにはいかない。損得勘定などなかった。何としても合格してもらわなければならなかった。彼女が多くの患者さんを救うことは間違いない。待っている人がいっぱいいる。

  私は中学・高校時代を通じて、A子ちゃんと言えばジャージと思っていた。たまに制服で来てくれたけれど、可愛い髪飾りを付けるでもなく、フリフリの洋服を着るでもない。もちろん、髪振り乱して勉強ということはなく、清潔にしていたけれどファッションに時間も金もかけるヒマはなかった。 

  A子ちゃんは、その後「国立大学医学部」に現役合格して「旧帝の大学院」で学び、現在は研究職に就いている。私はA子ちゃんを長く見ていて思うことがある。

  A子ちゃんは気づいていなかったが、当塾では彼女の指導から生まれた教材群のお陰で、その後なんと「京大医学部」合格者が4人も続出した。私の塾の救世主でもあったのだ。

 

第六章

 私の経験によると各テストの水準は以下のようでした。

Aランク(京大医学部医学科の合格ライン)

Bランク(英検1級、通訳ガイドの国家試験合格ライン)

Cランク(医学部以外の京大のボーダーライン)

Dランク(TOEIC満点レベル)

Eランク(英検準1級レベル) ここ以上のランクなら仕事につながる。

 今の日本で生き残るためには、中学・高校時代は「学歴」を手にするため「受験英語」を身に着けるのが現実的。大学に入学したら留学かECCのような英会話学校で「資格英語」を磨く。そして、無事に就職できたら海外勤務などで「ネイティブ英語」に慣れる。

 しかし、最後に言っておきたい。日本人がノーベル賞をとった時に英語でスピーチをしますよね。私には未熟な英語の発音に聞こえます。でも、その話される内容が素晴らしい。つまり、英語は単なる道具にすぎない。大切なのは道具ではなく仕事であること。

 ここを間違うと単なる英語屋さんになってしまうので、注意して下さいね。A子ちゃんのような子でないと英語だけの人になって、使いものになりません。生き残れません。

「ポケトークのような翻訳機が普及しているから英語なんか必要ない」

 って、思いました?

「スペルチェックもPCがやってくれるし」

 って、思いました?

 甘いですね。確かに実務は大丈夫かもしれません。でもね、信長のように部下の才能を見抜く慧眼なんて平凡な人には無理。だから、大学も企業も良い人材を発掘するには何かしらのフィルター、つまりテストが必要なんですね。今のところ、学歴や資格かな。よく考えてください。

高木繁美

 「高木教育センター」塾長。名古屋大学卒業後、アメリカユタ州のローガン中学校で教師をした後、帰国。英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などに合格。京大二次試験英語81%の正解率。少林寺拳法二段。ジャッキー・チェンの前でヌンチャクを披露したことが自慢。「私の京大合格作戦」(エール出版)2020年度版から2022年度版に漫画化されて掲載。チャットワークを用いた質問無制限の通信添削を全国の難関校受験生対象に募集中。「高木教育センター」検索。

 英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などを持つ英語講師。京都大学を7回受け、英語8割、数学7割。名古屋の河合塾学園、名古屋外国語専門学校などを歴任。アメブロ「受験生」ランキング1位。youtube 動画38万回再生。「英語の資格を取ろう」(法学書院)で紹介されました。アメリカの中学校で英語指導経験あり。少林寺拳法二段、ジャッキー・チェンと一緒にテレビ番組に出たことあり。

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