ゴリ押しによる宣伝の末路【前編】

  by 赤いからす  Tags :  

今年7月21~22日にフジテレビで放送された毎年恒例の27時間テレビ。

テーマは「団結」だった。

総合司会のタモリさんが「団結、団結と言って、団結したんですけど、その分、国民から離れたかもしれません」と言っていた。

そのとき、TVを見て納得する人は多かったのではないだろうか。

最近、フジTVで制作された映画が軒並みヒットを続けている。

『BRAVE HEARTS海猿』と『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』である。

『踊る…』は公開4週連続1位、観客動員数が300万人で興行収入も40億円を突破。

どちらもフジTVのドラマから映画化され、今年の邦画(実写)の1,2位を独占する勢いである。

自分も『踊る…』はテレビドラマから見ていて、ドラマSPや映画も全部見ている。

ただし、映画は劇場まで行って観ようとは思わなくなってしまった。

しかも今回は主演の織田さん自身が「最後…」と名言しているにもかかわらず、である。

原因は過度な宣伝に嫌気が差してしまったようだ。

新しくドラマが始まるときもそうなのだが、フジTVは公開日が近づくと、決まって朝の情報番組から出演者が出まくるお決まりのパターンを続けている。

『お昼の『笑っていいとも』ではテレフォンのゲストで連続6回も『踊る…』の出演者が宣伝をした。現在は友達繋がりではないとはいえ、うんざり感は拭えない。

バラエティー番組でめったに見られない俳優さんの姿は斬新で真新しく、トークも面白い場合もあるだろう。

全日(6~24時)ゴールデンタイム(19~22時)プライムタイム(19~23時)の視聴率三冠が当たり前だった同局は今年に入ってから、TV朝日、日本TVに続いて一気に3位に落ちた。ラテ欄が右端になったから、などいろいろ噂はあるみたいだが、原因ははっきりしている。

すべてはゴリ押し。

まずは韓流のゴリ押しで、スポンサーの不買運動まで発展し、千人規模のデモまで起きたにもかかわらず、自社の立場を視聴者に伝えてこなかった。

それが、竹島問題で爆発した。

フジTVだけではないが、最近のテレビはジャニーズかAKBしか出ていないのか?と思うくらい選択肢がない。ドラマ、バラエティー、歌裏番組、CM、そしてまったく関係のないスポーツのキャスターにまで起用することがある。特に夏季ロンドンでもその傾向があった。

ネット世代の若者はTVなんて見ない。スマホやPCで十分時間を潰せるはずで、地デジ化で新しくTVを買わなかったのは若者ではないのだろうか。

TV朝日が三冠になったのも若者路線の番組が少ないのが要因かもしれない。

せめて映画でも、という焦りがあるかぎり、フジTVのゴリ押しはさらに拍車がかかるかもしれない。同局には宣伝すれば何でも売れる、宣伝したもん勝ち、という風潮が漂っているのではないだろうか。

映画のレビューでも『海猿』」や『踊る大捜査線』は意見が分かれている。昔、前売り券をばら撒いて、大ヒット!でも、実は公開一週間後で映画館はガラガラという現象が起きていた。それが邦画を低迷させた原因のひとつである。

そして、一番『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で気になったのがTVCMである。

青島刑事扮する織田裕二が撃たれて終わるCMバージョンがある。あれは、死ぬ、死ぬ、詐欺ではないだろうか。サブタイトルのTHE FINAL、イコール青島が死ぬ、という暗示をかけるかのようなCMで、これも一種のゴリ押しのような気がする。

別にあのCMを見て映画に興味を持たせるのは悪いことではない。でも、本当に映画が好きな人、15年も『踊る…』を見続けた人達は、映画の内容を重視しているはず。

主役が死ぬかどうかを知りたければ、映画のラストだけを見ればいいのだ。

映画館で観る気はないので内容はわからないが、『踊る…』の傾向からすると、たぶん青島刑事は死んでいないと思う。

映画が面白ければすれば、じわじわと観客が増え、コンテンツとして信じられないパワーが生まれてくる。その反面、見てよ!見てよ!と盛んに呼びかけたあげく、駄作だった場合、信用はガタガタと崩れる。

こんなゴリ押しばかり続けても、いいことはないように思う。

邦画の映画離れが加速するだけだろう。

 

画像:from flickr YAHOO! (http://www.flickr.com/photos/shisho_1975/7948516376/)

「野いちご」で小説を投稿しています。

ウェブサイト: http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/58505

Twitter: @rusubin